もし、引っ越し先が違っていたらいまの愛猫とは出会わなかったかも?そんな風に思われる方も少なからずいらっしゃるのでは?そう、猫との出会いは突然やってくるのです。
突然?偶然?必然でしょ?三毛猫うに、子猫のような16歳。
猫助けは人助け
飼い主のせい子さんと三毛猫「うに」の出会いは今から16年前。その日、せい子さんはアパートの入居を終わらせ、近隣へ引っ越しのご挨拶に出かけました。
そう、出会いは突然やってくるのです。隣の建物の入り口に不自然に置かれた「ダンボール箱」、しかもそこは「動物病院」という状況で、せい子さんは"ピン"と来ました。その日はあいにく病院の休診日で、おそらく第一発見者であろう彼女は、意を決しその蓋を開けました。
せい子さんの悪い予感は的中しました。箱の中にはまだ産まれて間もない子猫が複数匹いて、残念ながら生きているのは1匹だけでした。せい子さんは一時保護をして、次の日、事情を説明しに再び動物病院を訪れるのです。「よくあるんだよね。」と。いまだに病院の前に猫を捨てていく人が後を絶たない現状を先生は憂いていました。「これからどうする?また里親を探す?」といった議論の中で「私が飼います!」とせい子さんが手を上げたのは、子猫の命を救いたいという気持ちだけではなく、人も助けたいと思ったからに違いありません。それからまだ目の開いていない子猫はお隣さん(動物病院)の全面協力の元、すくすくと成長し、近所でもちょっと評判の美猫になりました。
ちょっと早くキレイにしてよ!撮影はじまってるじゃないの!
どう?和室もいいでしょ?
見返り美猫。
「いつ死んでもおかしくない。」
うにが13歳の時でした。なんの前触れもなく「壁にぶつかる」「同じ場所をぐるぐる回る」といったうにの行動に異常を感じたせい
子さんは、すぐさま動物病院へ。検査の結果は最悪なものでした。
「光は感じているが、目は見えていない。」
原因は10歳のころに手術した「脳梗塞」が考えられると、さらに先生は「いつ死んでもおかしくないよ」とせいこさんに告げるのです。
飼い主のせい子さんと。
甲状腺の手術をするか?これ以上進行しないよう薬で抑えるか?の2択を迫られ、頭を悩ますせい子さん。そして十分に先生と
話し合った結果、薬で抑えていくことを選択します。それはうにの13歳という年齢を考慮して、リスクの高い手術は見送ったという判断でもあります。そしてあの決断から3年、うに16歳。今、私の目の前でぐるぐると元気に動き回る姿はまさにミラクル!感動です!涙でファインダーが、ピントが合いません!
くんくん。頼りになるのはにおいとひげ。
目が見えなくても歩けるニャー!猫って本当にすごい!
食事と薬は同じタイミングで
うには昔からよく食べる猫で、カリカリが大好き。けど今は毎食ウエットフードでドライフードは補助的な役割へ。それは「薬」を飲ませるための策であり、とくに「スープ仕立てのウエットフード」は重宝しています。なぜなら「錠剤の薬を砕いてスープにまぜれば同時に食べてくれるので」とせい子さん。うにが今飲まなければいけない薬は全部で6種類。それは甲状腺、心臓、腎臓、便秘などの薬で、なにより簡単に薬を与えることができるのはお互いにとって負担が少なく嬉しいことです。
年々増えて行くという薬の量は嬉しくないが......。
また薬の他に、ひと月に3〜4回、動物病院へ通い、点滴(人間でいう人工透析)を受けています。薬と病院、ご家族の健康管理
が十分なうにだからここまで長く生きて来られたのでしょう。納得。
病院に連れて来るのにひと苦労のうにだけど、診察台では「借りて来た猫のよう」。
はい。終わったよーと院長先生。
現在の体重はかよわき女の子のわりに4kgと、間食のドライフード「モンプチ 15歳以上用かがやきサポート」のサポートがあるのも特筆すべき点(?)で頑丈な胃袋は今も健在みたいです。
あれ?もしかしてお腹たぷたぷしてる?
信頼出来る動物病院探し
せい子さんは現在の家に嫁いで来るまでに5回もの引っ越しを経験。もちろんうにも同様で入居した最初こそ緊張するものの、どの家にいっても、うにはマイペースで適応してくれました。環境が大きく変わるのはむしろ人間の方かもしれません。中でも信頼出来る動物病院探しは重要な作業。うにが「脳梗塞」で倒れたとき、せい子さんは手術をしてくれる病院を探し回ったといいます。(なかには「安楽死」をすすめてくる獣医も......。)そういった経験があるせい子さんなので、より慎重になるのは無理もありません。幸い現在の家からは徒歩5分圏内に動物病院がありました。それが「いつ死んでもおかしくないよ。」と宣告された病院なのですが、それは「このまま放っておけば」という仮定の話でもあって、事実、うにをここまで生かしたのもこの病院の先生たちなのです。的確に処方された薬で病気とうまく付き合きあいながら、うには今、生きています。
うにの長寿の秘訣、それはせい子さんの諦めない気持ちと、うにと向き合ってくれた動物病院(しかも今は徒歩5分!)に巡り合ったこと、今回はこれに尽きる!と思った猫又トリップでした。
旦那さんのご実家も動物大好き家系。家族みんにゃに守られて。
きょうはお義父さんの書斎で寝るニャー。
おまけ
「え?わたしのことは...??」と突然、次女の小町ちゃん登場!(アメリカンカール・7歳)
もちろん!「多頭飼い」も重要なご長寿ファクターですよ!でも今回はゴメン!
【撮影協力】
町屋動物病院
ケニア・ドイ ファースト写真集『
ぽちゃ猫ワンダー 』(河出書房新社)好評
発売中
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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さかのぼって見ています。
うにちゃん、高齢とは思えない容姿でうらやましい!
by ミギ 2016-01-19 12:13
ミギさん
うにちゃんは18歳になったといいます。
追跡取材をお楽しみに!
by ケニア・ドイ 2017-12-23 08:51