印旛沼〈千葉県)を見下ろす小高い丘のうえ、コナラの木々に囲まれてギャラリー風草はあります。ランチも珈琲もおいしく、オーナーで陶芸家の松平美子さんのお人柄も温かく、大好きな空間です。
それに・・・・ここには、かわいい猫も2匹。風ちゃんとクックちゃんがいるのです。2匹の紹介は、また今度にして・・・
ここを訪れた人たちが自由に散策できる林のかたすみに、らい、と書かれた大きな半月形の石があります。印旛沼がすぐそこに見える場所です。
それは、交通事故で天国へいってしまった雷ちゃんの眠るお墓。風神雷神にちなんで、風ちゃん雷ちゃんと名付けられたのですって。
雷チャンは、高い木から降りられなくてないていたちびねこのときに保護され、ここにやってきました。先輩の風ちゃんとともに、広い林を駆け回りすくすく成長、ある日、通りに出て車に轢かれてしまいました。たった2年と1ヶ月をここで過ごして。
でも、その2年は、どんなに愛され、木々や草の匂い、光、季節の色に染まった日々だったことでしょう。
雷ちゃんが大好きだった丘に、彼は今眠ります。らい、と石に書いたのは美子さん。
コナラの枝で塔婆をつくり、戒名を書いて供養してくださったのは、近くの松虫寺の住職さまだそうです。スミレやスイセンをお墓のそばに植えていくなじみ客もいるとか。
わたしは、残念ながら雷ちゃんには会っていないのです。会いたかったなあ。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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