人間たちの不安を知ってか知らずか、外で暮らす猫たちは、一日一日と春めくなか、ひなたぼっこを楽しんでいます。人間たちが空気を汚してごめんね。
津波がやってきた房総の漁村のなじみの猫さんたちも、みんな無事だったようで、ひと安心。私がよく行く漁村では、漁協の中は水浸しになり、自動販売機も壊れたほどですが、そのあたりをぶらついていた猫たちは、無事。やはり、外で暮らす猫たちは、身の危険を察知する能力をちゃんと備えているのでしょう。えらい!
原発情勢などで落ち着かない気分のなか、千駄木の喫茶店乱歩に行ったついでに近くのR寺に寄ってみました。昨年10月に乱歩で写真展をやったころ、R寺の境内でころころ走り回っていたチビのらちゃんはどうしているかな、と。
いました、いました。10月には、3ヶ月くらいだったのですが、5ヶ月たったいまでは、ほら、こんなにお兄ちゃん。でも、首をかしげるくせは変わりません。グレイの瞳が、オレンジ色っぽくなっていました。
このお寺では、8匹くらいの猫が、面倒をみてもらっています。猫たちと遊んで、つかのま震災後の憂いを忘れました。青空に白い雲がきれいな一日でした。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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