余震と原発の不安で、気分も春めきませんが、それでも、町は、すっかり春。あちこちで、気持ちよさそうにひなたぼっこをしているノラさんを見かけます。
東京、京成線沿線の小さな駅のあたりを歩きました。路地から路地へとたどっていくと、ぽっかりと昭和の匂いのする路地にたどり着きました。小さな飲み屋さんが立ち並んでいますが、開店前の午後は、人通りはありません。
いた、いた。黒猫さん、キジトラさん、黄色さん、白黒さん・・・。いろんな路地猫さんが、まったりと寝そべっています。あちこちのお店のドアのわきに、お皿やお水が置いてあるところをみると、猫たちは、この路地の人たちにかわいがられているようです。
飲み屋のママさんらしき女性が、さっそく猫缶をみんなにふるまっていました。次に通った自転車のおじさんもカリカリ持参です。
路地猫軍団のなかでも、ひときわなつっこく、ころころしていたのがこのこ。チャームポイントは、このおちょぼぐち!
以前、なにかの本で、猫科のオスは、メスにもてるために、青年期にほっぺたが盛り上がってくるというのを、読んだことがあります。顔の面積が広いほど、また、体臭がきついほどもてるのですって。
このこも、青春のほっぺたのせいで、おちょぼぐちに見えるのかなあ〈笑)。いずれにしても、こんなかわいいおちょぼぐちには、お目にかかったことはなく、思わずにこにこしてしまった春の午後でした。
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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