この前までの入道雲が、いつのまにか秋の雲です。ぽっかり雲をみるたびに思い出す猫がいます。雲を眺めるのが大好きだったミュウミュウです。
ミュウミュウとの出会いは、文字通り道ばたでした。たぶん生まれてひと月くらいだったのでしょう、側溝の中でぶよぶようごめいていたのです。拾い上げると、ミュウ、ミュウと必死で啼きました。目やにで目がびっしりつぶれたブサイク猫でした。
子猫用スポイトも大きすぎて吸いつけず、食パンの耳にミルクをひたして、2時間おきの授乳。獣医さんに連れて行くと、白血病のキャリアとのこと。「2ヶ月もつかなあ」と。
でも、ミュウミュウは生きました。おまけに天使のように愛らしい猫になりました。いつまでたっても小さくて、牙なんてつまようじのようでしたけど。我が家の他の猫たちとちがってまるで自己主張しないひっそりとした猫。食べる量は小鳥のえさ程度で、昼間は、窓辺か門柱の上で飽かず流れる雲を眺めて過ごし、夜は必ず私の左手を枕にして眠りました。
12年と半年、ついに白血病を発症してしまったミュウミュウ。いまは、庭の片隅に眠ります。そこは、雲がいつも眺められる場所なのです。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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とてもかわいらしいねこちゃんですね
雲を眺めるねこちゃんの写真を見ると
感動して泣いてしまいました
きっと空であなたのことをずっと見守ってると思います。
by miku☆ 2011-09-29 19:59
空を見上げる表情が、なんとも物悲しくそして、穏やかな印象をうけました。
12年も生きたなんてすごいですね。
きっとお庭から佐竹さんにありがとうっていっているのかもしれません。
by ETE 2011-09-30 06:45
優しい飼い主さんに出会えてミュウミュウちゃんは幸せでした。
お空を眺める表情がいいですね。
by ももあんず 2011-10-11 17:48