先日の夕方、房総・明鐘岬の喫茶店岬に行った帰り、すぐ近くの、ロープウェイのふもとの漁村に立ち寄りました。
石段を上り、ちいさなちいさな路地に足を踏み入れたとたん、14~5匹の猫軍団の出迎えを受けました。
一枚の写真では、収まりきりませんが、極小、小、中、大、極大と、あらゆるサイズの猫たちです。チビ猫の写真を撮ろうとカメラを向けると、すっと、あいだに割ってはいる極大のキジトラがいました。見かけない侵入者から、チビ猫たちを守ろうという動作です。
どの猫を撮ろうとしても、その猫が割ってはいるのには、ほんとうに感心してしまいました。カリカリのおやつをふるまっても、私から他の猫が食べるのを守る位置に座ります。これだけの数の猫軍団を統率するとは、たいした器のボスです。
ちょうど前の家から出てきた、年配の女の人が、笑いながら話しかけてきました。
「いっぱいいるだろ。あのおっきいキジトラがボスで、「トラ」って名前。トラは面倒見がよくてやさしいから、ここでは、みんな仲良しなんだ。トラの子どもたちも何匹かいるけど、捨てられた子猫もちゃんと仲間に受け入れる。あの、片目の白黒は、オス猫なんだけどね、捨てられた子猫の面倒を見るのが好きなんだよ」。
トラさん一族の度量の広さを示すエピソードを、おばさんは聞かせてくれました。
「ほら、そこの縁の下をのぞいてごらん。なにか寝てるだろ。むじなだよ。あのむじなは、ごはんの時間に猫に混じって、ごはんを食べてんだ。自分じゃ、猫にまざったつもりで、バレてないと思ってるらしいけどね(笑)。トラたちはやさしいから、しらんふりしてやってんだよ」。
むじなという動物は、地方によって、たぬきをさしたり、あなぐまをさしたり、ハクビシンをさしたりするそうですが、房総のむじなは、見たところ、あなぐまのようでした。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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トラさん、優しすぎる***
by バロン 2011-12-25 00:09
素敵…(*´ω`)v
by まいこ 2012-02-17 13:11
最後のトラさん、はにかんだ顔に見える。。。
な、なんだよ。
と、撮らなくていいんだよ、俺(私)は。
by くま 2013-08-30 09:55