2年前の3月11日に、私は旧東海道を歩いて、春を満喫していました。運河の土手には、春に浮かれた猫たちが菜の花の間を駆け回っていました。
去年の春はとても歩く気はしなかったけど、思い立って2年ぶりに旧東海道を、大森海岸、立会川、鮫洲、青物横丁、新馬場、北品川と歩きました。
運河沿いの土手では、モエちゃん、シーちゃんはじめ、古参の猫たちが「久しぶりじゃない~」とばかり、フレンドリーに迎えてくれました。「日本は変わってしまった」というあてどない思いをいつも抱えて生きている私にとって、猫たちのなにひとつ変わらぬ、身一つの暮らしぶりはじんわり心に沁みるものがありました。2年前に土手で出遭った、M青年にまたもばったり出遭えて、変わらず毎日猫たちにゴハンをもってきている姿にも、頭が下がる思いでした。
「変わってしまった」ことを「けっして忘れない」日々のなかで、変わらない大切なことを探して見つめて暮らしていこうと、あらためて思った寒い春の一日でした。
M青年がモエちゃんたちに持ってくるカリカリが自分もほしくて(きっとおうちのカリカリと違う味なのでしょう)、どこからか土手まで出張ってくる飼い猫さんが1匹。青い首輪をした彼(?)は、ピカピカの瞳や毛並みからして、初めての春のよう。
土手の下にある小さな公園のふたこぶらくださんのところに、いそいそと駆け寄り、チューするやら、抱きつくやら、すりすりするやら、もたれかかるやら。相当らくださんに恋しているようでした。もしかしたら、お母さんがわりなのかな。らくださんのほうも、可愛くてしようがない、といった表情でした(笑)。
春は巡ってきています。変わることなく。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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らくださん、すきー♡って伝わってきます。
猫を見てると、悩んでる自分が小さく見えます。
by もりゅこ 2012-03-13 21:18
うちの猫もあの日からずいぶん怖がりさんになってしまいました。職場から家に戻って、まず猫が無事だったことに安堵しました。そしてたくさんの悲しみを知り途方にくれました。
猫の気持ちは謎だらけだけれど、
どんなに疲れていても
頼ってくれてるあまえんぼうさんがいるから
がんばれます。
by よーこ 2012-03-14 00:23