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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

わんにゃん支援活動

2016年03月04日

「アニマルレスキューシステム基金(ARSF)」さまの活動レポート(2015-16前期)

フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。

実施場所:福島県全域 / 船橋市 / 横浜市 / 神戸市

福島・・・引き継がれる猫おじさんの意志)
9月4日のことでした。フクシマスペイクリニックにボランティアさんたちと協力してTNRするために、いつも猫たちを運び込んでいた男性「シンキチおじさん」が、大動脈瘤破裂で突然他界されました。
シンキチおじさんは不妊去勢手術を地域に広めた福島の真の愛護家で、エサやりをするだけでなく、新しい愛護観を根付かせてくださいました。私たちのクリニックを最大限利用してくださり、住民に「地域を管理する」という重要なメッセージを残してくれた方でした。
シンキチおじさんが亡くなったことを地域の住民がスタッフに知らせてくださり、残されたご遺族の方々や地域住民の考え、そして何よりもシンキチおじさんの猫たちへの想いが何だったかを確実に受け継ぐことにしました。現場の大部分の猫たちはシンキチおじさんの努力で不妊去勢手術が施されていましたが、今回はアニマルレスキューシステム基金自らが現場に出向き、住民と対話し、重点的に捕獲・輸送スタッフを2日間4往復のTNRに配置することで、シンキチおじさんに恩返しをしたのでした。

横浜・・・多頭飼育崩壊現場に医療で対応する)
福島でのクリニックに大きく貢献していただいた横浜のボランティアスタッフたちの地元の深刻な問題に注目しています。横浜で愛護推進員を務めるボランティアスタッフらが、横浜市都筑区から猫の多頭飼育崩壊現場(約50匹)の下見に同行を要請されました。発覚したのは6月のことです。
ところが、現場を8月下旬に確認した後に、行政職員は本件に具体的な対応協議を市内で行わず、市の動物愛護センターに報告すらしていませんでした。
一方、過去3年間の多頭飼育崩壊事例の集計を愛護センターに求めたところ、このように18の区に寄せられる相談や苦情は全て区レベルで留っていたことが分かり、全国随一の年間6000匹以上の不妊手術助成金を誇る横浜市でも、猫の引き取り数減少に目に見える効果が出ない理由が明らかになりました。
この事実を知った私たちは、善意の獣医師たちを横浜市内に集結させ、同時に地元開業医の手術時間短縮を図るべく「デモオペ(手術トレーニング)」を開始しました。現在50匹中30匹を捕獲し、不妊手術や駆虫を済ませました。

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福島県の沿岸部地域で対応した多頭飼育崩壊現場のTNRの最中、敷地内で低体温症でひん死状態だった仔猫。フクシマスペイクリニックで2日間保温と治療を施し、その後に横浜市のボランティア宅へ持ち帰った。横浜市内でも継続的に医療ケアを行った結果、チビオ君はやっと安定域に入った。ちなみにこの現場では24匹が生存し、3匹が死亡。共食いも連続的に発生していた。クリニックスタッフは死骸を直接確認している。

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伝える医療。広げる医療。そして、行動する医療。アニマルレスキューシステム基金が今最も力を入れているのは獣医師の実践トレーニング。活動は福島に留まらない。この日は横浜市の開業医へ2度目のトレーニング。持ち込まれた猫は、横浜市の職員が同市の愛護推進員と共に現場に行き、直接確認した多頭飼育崩壊現場の猫50匹の一部。
おかしな話だ。23億円をかけて建設した横浜市動物愛護センターのピカピカの手術室は、同市が通報を受けたこのような事例には一切医療面の対応をしないばかりか、全て推進員の自己負担になるのだそう。そこで、アニマルレスキューシステム基金が地元病院を説得して場を開放してもらい、そこに遠藤文枝先生が無償でトレーニングに出向くことに。多頭飼育崩壊現場には必ず仔猫が大量にいるため、正に「高回転の早期不妊去勢」の技術が問われてくる。

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喜びの瞬間 TNRのRの時間。過剰繁殖を止めるだけでなく、虫下し、ワクチン接種、インターキャットなどを施す。片道2時間の行程だからこそ、猫たちがクリニック滞在中に最大限のことをしてあげたい。依頼者がいる場合もそうでない場合もあるが、私たち「アニマルレスキューシステム基金」に寄せられる善意がどう使われているか、可能な限り「見える化」に努めたい。

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現場が見えるクリニックであるためには、クリニックのスタッフ自らが現場に行くことが大切。避難した老夫婦の世話していた半ノラ半飼い状態の猫たち。フクシマスペイクリニックで7匹全てを手術したことをこの日直接確認できた。(置きエサのため)やや太り気味の猫たちの人との距離感も程よいものだった。この距離感は継続的に村に通い続けた全国のボランティアさんらの努力の賜物だ。

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日本で3番目に大きな福島県。その中の飯舘村。手術日の前後にスタッフは原発20km~30km圏を巡回し、村の状況を可能な限り細かく把握する。ゆっくり流し運転をしていると突然首輪のついた犬が放浪していた。車を停め、そこからは飼い主が近くにいないのかを探すことに。幸い、この犬の飼い主が村の自宅に荷物整理をしに帰宅した際にリードを放したことが10分後に分かった。その飼い主の家族と丁寧にコミュニケーションをはかり、徐々に不妊手術をするように話を持っていく。巡回は「出逢い」であり、動物を助ける「チャンス」に他ならない。

<ご支援くださっているみなさまへ>
皆様方がフェリシモ基金を通じてご支援くださることで、「動物医療支援のプラットフォーム」が徐々に、そして確実に築き上げられてきました。神戸と福島の被災地で二度のクリニック事業(計10年間)を通じて、慈善医療事業に参加した獣医師たちが今また新たな慈善獣医師を生み出しています。
アニマルレスキューシステム基金は今後もさらに「動物を助ける人々を助けるシステム」を創りあげる ことに、時間とお金、エネルギーを注いで参ります。そして、その活動の「可視化」に最善を尽くし、国境を越えて次世代の人材を輩出する慈善医療活動の準備に取り組んで参ります。
どうぞ今後とも引き続きご支援のほど賜りますようよろしくお願い申し上げます。


「アニマルレスキューシステム基金(ARSF)」
http://www.animalrescue-sf.org
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