フェリシモは、熊本地震の被災地域の動物保護活動の支援を目的に、当該地域で活動を行う動物愛護団体に対し、
猫部商品価格の一部である「フェリシモの猫基金」、「毎月100円 フェリシモわんにゃん基金」、
「フェリシモのお買い物ポイント"メリーポイント"による支援基金」から基金の緊急拠出を行いました。
今回はその支援先団体からの活動レポートです。
実施場所:熊本県益城町,熊本県阿蘇郡西原村
2016年4月14日夜、熊本で震度7を記録する大地震が発生、その後、この地震は大分までの広域で連続して続き、甚大な被害をもたらしたことはご存じのとおりです。
CAPIN代表は、4月末から合計3回現地に入り、土砂崩れや路上に転がる岩を避けながら、現地ボランティアの協力を得て、被災ペット救援、避難所に入った飼い主の援助(不明ペット捜索、フード等支援物資、環境省、熊本県、熊本市、自治体への要望書提出)、熊本県動物管理センターでの犬猫の世話と引き出しを実施しました。
6月1日朝、熊本県動物管理センターに入りました。
災害時には平時に比べて保護犬猫の数が増大します。
案の定、たくさんの仔猫が保護されていました。
しかし、人手が足りないのか、全く世話されていません。ガリガリで、冷たい。自力ではあまり食べられない仔猫たち。
目薬も必要だが無い。早く眼球につけないと眼が開かなくなり一生眼が見えなくなります。
たまたま持っていた薬をさしました。
仔猫フードはなく、哺乳瓶もなく、おやつにしかならないヤギのミルクしかない。それを1本しかないシリンジで与えました。みなひどい風邪で、低体温。
昼食抜きでとにかくミルクやりをします。
お湯も沸かせないので、お湯をいちいち貰い、ミルクを作ります。
なぜこんなに痩せて、下痢をしているのか。みな、とっても冷たい。暖め、とにかく、暖めます。生きてほしい、の一心でした。
結局このままでは生かすことは難しいと判断し、仔猫24匹・成猫5匹の合計29匹を一度に引き出しました。
頭数が多いので、動物病院や預かりさんの段取りをつけるのが大変でした。
病院は、遠路宮崎までの大搬送でした。
頭数が多く、必要最低限の診察だけで3時間以上かかりました。
このうち、幼いため世話が大変な14頭は、宮崎の「愛護・四季の会」が引き受けてくださり、後日全頭譲渡できました。
現地で預かりさんが見つからない犬猫は全部空輸です。
空輸した猫たちの大半は譲渡できました。
写真は、熊本県動物管理センターから引き出した黒白だんご3兄弟で、足立区の素敵なご一家に、3匹揃って貰われました。
御船保健所に猫の乳飲み子が5匹、運び込まれました。
ちょうど、飼育放棄となった益城の成猫2匹を保健所から引き出す手続きをしていました(この成猫は都内でNさんが引き受けてくださることになり、船橋のUさんが、なんとトラックで田園調布まで運んで下さりました)。
そのとき、この保健所に来たばかりの乳飲み子について相談を受けました。
世話をする余裕はないし、ミルクもない、このままでは死んでしまうだろうと。
乳呑み仔猫の世話は誰でもできるわけではありません。
この5匹について、災害で亡くなったペットの命展を全国でやっていらっしゃる、うささんに相談しましたところ、命展の支援者であるMさまをご紹介頂きました。
益城からすぐの八代におられ、動物看護士さんをされている方で、授乳はプロ。
1ヶ月、5匹を預かってくださることになりました。
今回の被災動物救援活動は遠隔地であったため、このように多くの現地の個人および団体の協力が必須でした。
お世話になった個人・団体は、現地近辺だけでも熊本、宮崎、福岡、大分に及びました。
知り合いの知り合い、といった繋がりが、活動を通じて広がっていくのを感じました。
また、WEBで被災ペットの預かりを募集したところ、多くの方からお申し出を受け、多くの小さな命をつなぐことができたのです。
菩提寺が京都にあり、お父様が西本願寺の僧職でいらしたという、熊本の南阿蘇在住のA様(74歳)ご夫妻。
4月の地震と土砂により南阿蘇のご自宅が倒壊し、避難所を転々とされていましたが、京都で熊本地震の被災者を対象にした受け入れ公営住宅があるのを知り、これを機にふるさとの京都に戻りたいと、入居を希望されてきました。
しかし、A様は、老いておとなしいメス犬ペレちゃん(14歳)を抱えておられ、ご夫妻が入られる京都の市営住宅はペット禁止。
我々は、何とかペレちゃんの公営住宅への入居をと、色々な方にあたり、可能性を探りましたが、公営住宅にペットの入居を例外的に認めるわけにはいかないとのこと。
今の避難所にいられるのもあと数日。如何ともし難く、やむなくペレちゃんの一時預かり先を、京都市内に探すことにしました。
メールやLINEであたりましたが、老犬の長期預かりのため、なかなか見つかりません。
それでもようやく、当会の保護犬の預りさんである大阪在住Kさんが京都のお知り合いに繋げてくれました。
室内飼育、広いおうち、保護犬猫の預かりボランティアさんで経験も豊富なやさしいご夫妻、在宅仕事なのでお留守番なし、飼い主さんの面会はもちろんOK、という好条件でした。
写真は別れを惜しむご夫妻
と預かりさん宅でのペレです。
なお、Aさんご夫妻は、犬同伴で市営住宅に入りたいとの旨を、京都府知事、京都市長宛てに嘆願書を出されました。
その文中には震災時の様子と14年連れ添った犬へのお気持ちが吐露されていますので、一部を以下に引用させていただきます:
「土砂の中携帯のとぎれ、とぎれた明かりを頼りに、目の上を切った犬を抱え夢中で道も無くなり、田んぼをよじ登った所で救出されました。
そのキズも治った今の犬と最後まで一緒にいたいと願っています。
この犬は、村の牛舎に生まれたまま、一匹だけ牛とウンチの中にいました。
回りは雪一面。寒い中、その姿を見た時、毛布に包み連れ帰りました。
火山の女神ペレと名付けました。そして14年目です」
ペットの同行避難を許可しない避難所が、幾つかありました。
われわれは、環境省、熊本県、熊本市、自治体へ同行避難の要望書を出しております。
最後に、フェリシモを通じた皆様のご援助にお礼申し上げます。
皆様のご援助があってこそ今回の活動が実施できました。
心より感謝いたします。
<ご支援くださっているみなさまへ>
此の度は、多額のご寄付を本当に有難うございました。
熊本地震被災ペット救援のために使わせていただきました。
合計3回現地入りしました。今回は遠隔地、しかも被災地現場における限られた時間内での活動でしたので、日程の大半は車中で寝泊まりし、野外で煮炊きのマネをしたこともありました。
このように頑張れたのも、皆様から応援をいただき、それが心の支えになったからに他なりません。
災害では、ペットの命は二の次にされ、悲惨な状況に置かれることが多いのです。
当会は、東日本大震災、常総水害、そしてこの熊本地震と、被災したペットに関わってきました。
今後も災害時のペット救援に携わってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご援助、本当に有難うございました。心より感謝申しあげます。
「特定非営利法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク」
http://www.capinew.jp/