[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2010年11月22日

しあわせになった黒猫

　「ネロは二倍の大きさになりました」というハガキをいただいて、埼玉県の川口までネロに会いに行きました。

　ネロは都内の神田川べりに捨てられていたクロネコです。二ヶ月足らずくらいの大きさで、暑い盛りに捨てられました。やさしいホームレスのＩさんが数日面倒を見て、餌やりグループのNさんたちが保護し、やはり保護活動をしているTさんが里親が見つかるまでの一時預かりを引き受けました。そして、私が里親さんを見つけ、川口まで運びました。そんな連携プレーでネロはしあわせをつかんだのです。

　２ヶ月で、ネロはりりしい少年顔になっていました！ベッド用の箱がそろそろきゅうくつになりそう。ネロのあたらしいおうちは、川口駅から歩いて７～８分のカフェ・ド・アクタというアットホームな喫茶店です。そこの３歳の坊やユイトくんときょうだいのようにつるんで、すっかりカフェのアイドル猫になっていました。

　よかったね、ネロ！　おじさん猫になっても、おじいさん猫になっても、アイドルでいてね。

　ところで、黒猫の撮影はいちばん難しい。目鼻立ちがなかなか生かせません。ビロードのような光沢とピカピカの瞳。それを写すには、光をうまく取り入れるしかありません。〈私は、絶対にフラッシュは使いません〉　　ガラスドアから射し込む光を半身に浴びて、ネロがふと上を見上げたときにシャッターを押しました。男前でしょう？

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹茉莉子（さたけまりこ）

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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