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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2010年12月14日

海辺の美女

neko-blog12.jpg

 猫びより新年号が発売になりました。特集で、里親さんのもとから行方不明になり、出戻ってきたプリティーちゃんの記事を書いたのですが、早速猫を愛するルイさんからメールが届きました。

 「ハッピーエンドのエピソードにうるうる、私も、里親さんのもとから逃げ出して1ヶ月と1週間かけて探し出した猫がいます。ずっと一緒に暮らそうね、と話しかけたら、目の輝きが変わりました。人間が猫を選ぶのではなく、猫に選ばれたように感じました」と。

 この写真の猫は、私がよく行く房総の小さな漁村のノラです。ノラといっても、仲間たちと一緒に村の人にご飯をもらっています。ここで生まれたのか、捨てられたのか、彼女は一匹だけ長毛で、ひときわの美貌です。人間を怖がるでもなく、媚びるでもなく、いつもぼろマットの上で、ひとり潮風に吹かれています。

 彼女に魅了された隣町の少女がいて、もらっていったそうです。次の日だか、彼女は家出しました。そして、一週間以上たって、海辺に戻ってきました。何キロもさまよい、車がビュンビュン走る国道を横切って。痩せこけて、毛並みはよれよれ、でも何事もなかったかのようにぼろマットの上に座りました。
 猫にもちゃんと意思があって、自分の人生を決めるときがあるのですね。潮風に吹かれている彼女を見るたびに、「たかが猫」ではけっしてない気高さを感じます。寿命は短いでしょうが、彼女はこの村で、仲間とともに生き、この村で死ぬことを選んだのに違いありません。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

(こちらのブログを最近知ったので、今更のコメントとなりすみませんが・・)
自然体であり、なおかつ1枚でも十分伝わる写真に感心しつつ・・
ヒトに飼われることを良しとしないネコちゃんも、もちろんいるのですね。
本当に気高い表情をしていて、なんだか胸を突かれました。

by リリー 2015-01-19 11:28