みなさんこんにちは! 猫部のMです。
前回に引き続き、アニマルレスキューシステム基金(以下、ARSF)さん訪問記をお送りいたします。
ARSF直営のクリニック内で基本的な説明を受けた後、私たちは代表の山崎さんと神戸市内の野良猫調査に同行させていただきました。野良猫がどのような場所に多くいるのかを神戸市内の各地を車で回りながら実際に見せていただくのです。
1ヵ所目は海辺にかかる橋の下。工場が立ち並び、寒風が吹きすさぶ寂しい場所ですが、乗り捨てられた車の中や物陰に多くの野良猫たちの姿を確認できました。
「何しにきやがった?」と言わんばかりの堂々たる風情ですね^^ こんなへんぴな場所にも"えさやりさん"は想像以上にたくさんいるので、野良猫であってもたらふく食べて健康な場合が神戸には多いのだそうです。
この子の耳を見てもらえば分かるように、不妊去勢手術の終わった猫は右耳をVの字にカットしてあります。これは遠くからでも手術の済んでいることを識別するための印になっています。すこしかわいそうに思われるかもしれませんが、こうすることで、一度手術した猫を再び捕まえてしまうことを防いでいるのです。また、地域住民の方にも「もうこの猫はこれ以上増えないから」とギリギリ譲歩をしてもらえるポイントにもなっています。このV字カットは東京や神戸では常識となっていますが、地域差があるようです。
私の飼っている猫も元捨て猫で里親さんから譲り受けたのですが、このV字カットがされています。山崎さんに意味を教えてもらうまで、カラスにでもかじられたのだと勘違いしていました。周りの人に聞いても、一般にはまだまだ認知度は低いようですね。
2ヵ所目の調査地は巨大な市営住宅の団地です。猫を飼うのは規約で禁止されてますが、共有廊下に猫のえさの容器があったり、小屋が置いてあったりと実質飼っているような状態もあちこちで見られます。住民間のトラブルの種にもなっているそうです。震災後にできた団地などではお年寄りも多く、寂しさから野良猫を半分飼うようなケースもあり、そうした心の問題とも野良猫問題はつながっています。確かに猫はいやしの存在ですが、人間の都合で猫の運命がほんろうされないようにしてあげたいものです。
3ヵ所目は、詳しくは書けませんが、飼育状態の異常なお宅に調査訪問。管理の行き届いていない家の中で猫が繁殖を繰り返し、27匹ほどいるとのこと。ご近所からの連絡にARSFさんが動いたという形です。飼い主さんから不妊去勢手術を受けさせる同意を苦労の末に得て、今後クリニックで手術を施す予定です。地域住民と連携して、猫たちの劣悪な環境を改善すべくがんばっておられる姿には本当に頭が下がります。
最後の4カ所目は、小さな漁港に。神戸にも意外と漁港はあるのです。小型漁船が停泊し、フォークリフトが行きかうような漁港では、大量に積まれたパレットや倉庫内でたくさん繁殖していました。
漁港でくつろぐ猫たちの姿は一見のどかな風景で、愛好家の写真スポットにもなっているそうです。ただ、増えては保健所へ持って行かれ、事故にあったり、病気をしたり、カラスやタヌキに襲われたり、を繰り返す野良猫たちの運命は見た目よりもずっと過酷なものです。
以上、神戸市内の4ヵ所見て回りましたが、視点を変えてみると街のさまざまな場所で野良猫たちはたくましく住んでいるものです。そして、そんな野良猫たちにえさを与える"えさやりさん"も早朝や夕方の街に本当にたくさんいらっしゃいます。
次回は、そんなえさやりさんのことと、ARSFさんの取り組みによりどれぐらい神戸市で効果が上がっているかをご紹介します!