着いて、歓声をあげました。山々の緑を背景にコスモス咲き乱れる敷地。店の前の石段に人懐っこい猫さんがお出迎え。店内に足を踏み入れると、老犬がのんびりと横たわり、あちこちの椅子では猫たちが昼寝中。なんと、ここで暮らしている猫は、14匹、犬は5匹とか。ミニキャンプ場が地続きなので、子どもたちが猫や犬とあちこちで触れ合っています。犬も猫もみんな思い切り人懐っこい。いわゆる流行の「猫カフェ」のくくりからはどーんとはみだしてしまう、あまりにも自然体であたたかい桃源郷でした。
店内で女の子が「だいじょうぶ?」とその顔を覗き込んでいる、椅子の上の猫がいました。バンビ色の毛並みの、賢そうな瞳のその猫は、さっちゃんという若いオス猫で、どうやら下半身に麻痺があるようです。しゃっくりのような発作も繰り返しています。椅子の上の生活なのかなあ、と思いつつ、裏庭をひとめぐりして店の前に戻ると、さっちゃんは庭の草を噛み噛みしている最中でした。生まれたてのバンビのようにぐらつく足を必死でふんばって。
そこへ、元気のいいわんちゃんが「遊ぼうぜ」とばかり走ってきてじゃれつきます。さっちゃんは、すたこらすたこらという感じで、足をもつれさせながら、石段を下りて店内へ一目散。その逃げ足の速いこと。
ここへよく来ているらしいお客さんの話では、さっちゃんは、子猫のときに街中に捨てられていたとか。何が原因だったのか、半身不随で、保護した人が獣医さんに安楽死を頼んだそうです。獣医さんの返事はきっぱりとひとこと、「いやです」。
そして、さっちゃんはここにもらわれてきました。さっちゃんの話を私にしてくれたお客さんは言います。「たくさん犬や猫がいるところにもらわれてきたのがよかったんだね。いちいちかまってられないから、さっちゃんはここでみんなとやっていくために自立しなくちゃならなかった。そのおかげで歩けるようにも走れるようにもなったんだから」
「ほんとうに!」と大いに同感した私でした。「可哀そうな猫」とトクベツ扱いされるより、ずっとずっと大きな自然体の愛情を受け、さっちゃんは里山の子としてすくすくと育っています。安楽死を拒否した獣医さんも、さっちゃんをさらりと受け入れた「ダム」のひとたちも、ステキです!
素敵です!!
by as 2011-10-26 17:01
胸にジンとしみるお話ですね。
by たこやき 2011-11-14 22:06
じ〜ん。鼻つ〜ん。
分け隔てない、ヒトも同じであって欲しいです。
by くま 2013-08-30 10:54
足掛け18年、2年前に亡くなったねこが「さっちゃん」でした。三毛猫の雌で、正確な名前は「サーサ」でしたが、略していつも「さっちゃん」。偶然(必然か?)拝見しましたが、作者の温かい(暖かいかな?)眼差しが伝わってきます。素敵な記事をありがとうございます。
by はつのすけ 2013-11-28 18:20
>asさん
たこやきさん
くまさん
はつのすけさん
お返事が遅れてごめんなさい!
さっちゃんは、いまも元気で仲間たちと里山に暮らしています。新しい保護猫が来たら、添い寝もして
やるやさしい子です。
by 道ばた猫 2015-08-12 11:40
さっちゃんは今や人気者になりました(^-^)
by 山猫 2016-09-10 00:26
>山猫さん
ひっそりと粋ななコメントをありがとうございます!!
今日、ダムに行ったら、さっちゃん、ずいぶん元気そうで一回りふっくらしていました~
by 道ばた猫 2016-09-27 02:27
今、改めてこの日記を読み返すと、サチは一筋の光のような印象を受けました。
サチが幸せで良かった。
サチを知れて良かった。
私は幸せです。
by 名無し 2019-06-01 17:54