「転がっている猫の写真が多いですね。よくそんなに出会えますね」と、写真展などのときに言われます。
そういえば、転がってる猫さんによく出会います。というより、私を見るなり、転がってしまう猫が多いんです。「久しぶり、元気にしてた?」とか「あれ、前に会ったよね」とか話しかけて(まだコンパクトカメラは構えずに)フツーに近づいていくと、猫さんはたいてい安心します。「このへんの子?」とか「きょうはあったかいねえ」とか話してるうちに、猫さんはなんだかうれしはずかしで、ごろんごろんしてしまうようです。そこで、仲良くなった記念にパチリ。顔なじみの猫は、遠くから私を見つけて、転がって待ってたりして。猫の転がる姿は、その町ののどかさの象徴のような気がします。
どんなときに、猫は転がるの?とも、よく聞かれます。
それは、たぶんこんなとき。出会えてうれしいとき。遊んでほしいとき。気持ちのいいとき。不安を感じないとき。ちょっと照れてるとき。退屈だったとき。人恋しかったとき。空が青いとき。風がここちよいとき。
大震災のあとの原発事故以来、わたしは外で暮らすすべての生きとし生けるものたちに、「人間が空気を汚してごめんね」と心のなかで謝らずにはいられませんでした。猫たちが、気持ちよくごろんごろんできる未来がありますように。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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