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寒空の下、こころが暖まった話』というタイトルで、大怪我をしたあと、やさしい栃木のおじさんにもらわれていった、東京の下町立石の路地猫ユキちゃんの話をこのブログでご紹介したのは、昨年の12月13日でした。
ユキちゃんは立石の駅前商店街裏に捨てられて以来、丸吉玩具店の晴美さんはじめ、商店街の人たちに可愛がられていました。でも、他の猫たちとうまくやっていけない性格のため、はぐれ猫として生きていました。そのころのユキちゃんは、つりあがった険しい目つきでした。
悲願の家猫に戻ることのできたユキちゃんは、いま、どうしているのかな・・・。きっと皆さんもそう思っているでしょう?
お盆休みに、栃木は宇都宮まで、はるばるユキちゃんに会いにいってきました! もらわれていくとき、おもちゃ屋の晴美さんは「このこは他の猫とうまくやっていけない猫だから」と心配したそうです。 栃木のおじさんこと板橋さんの家には2匹の猫がいたからです。でも、板橋さんは「どうしても仲良くなれないときは1階と2階で住み分ければいいから」と言ってくださったのでした。
これが、現在のユキちゃんです!目も体もまあるくなっていました。ユキちゃんって、こんなに綺麗なエメラルドグリーンの瞳をしていたんですね。それに、外暮らしのときはグレーに見えたりキジトラっぽく見えたりしていたのですが、毛並みが綺麗になってよくよく見ると、うっすらだけど、三毛さんだった(笑)。
あ、そうそう、名前はユキちゃんからミーちゃんに変わりました。捨てられてから、モミちゃん、マリちゃん、ユキちゃんと何回も名前が変わったミーちゃん。もう名前が変わることはありません。
板橋さんは、奥さんと、高校生の娘さんのゆずちゃんとの3人家族。みんな大の猫好きですが、ミーちゃんはやはり板橋さんにいちばん甘えるのだとか。板橋さんが仕事から帰ってくると、ニャッ、ニャッ、ニャッと啼きながら玄関にお出迎え。家族3人で外出して帰ってきたときなんかもうたいへん、ニャッ、ゴロゴロゴロッ、ニャッ、ゴロゴロゴロ~。すぐ板橋さんの膝に乗りたがり、寝るのも板橋さんと一緒。後追いをするので、階段の上り下りが、骨折後のいいリハビリになったそうです。
先住猫さんたちともうまくやっているそうで、めでたしめでたし。来たばかりの時は、退院直後だったこともあって大きなケージの中。ケージの中からシャーッと先輩たちに向かって威嚇ばかりしていたそうですが、シャーッと言わなくなったころにケージから出され、そのまますんなり仲間入り。
ミーちゃんの仲間を紹介します。ボスは、サバ白の美形雄猫、6歳のギンちゃん。とっても人懐こい社交家です。こう見えて元ノラです。
ギンちゃんより2年後に、首に怪我をして軒下で啼いていたのを助けられた子猫が、いま4歳の茶トラのチャーくん。ギンちゃんを父とも兄とも慕っています。かなりの人見知りです。この体形は、よほどストレスがなく、いいものを食べているのでしょう(笑)。
新入りで、最年長(推定15~6歳)のミーちゃんの立場はというと、「別格」だそうです。食欲もミーちゃんが一番なのだとか。このぶんでは、大食の甘えん坊さんでかなり長生きしそうですね~。
板橋さんに聞いてみました。「ユキちゃんのことを気にかけるようになったのはなぜですか」と。返事は、「ひと目で年寄り猫だとわかりました。いつもひとりだった。若い猫がくると遠慮して餌皿から離れてた。だから、気にかかっておやつをもっていくようになったんです。高齢猫用のをね。僕の足音を聞きつけて遠くから走ってくるようになりました。それで、うちの子にしてやりたい、と」。
ユキちゃんが公園から姿を消した後、「あの猫はどうしたの?」と丸吉さんに聞きにくる町のひとが何人もいたとか。「あのこは、いま、栃木で幸せに暮らしてる」と晴美さんが伝えると、「ああ、よかった、よかった!」とみんな喜んだそうです。
ユキちゃん、あ、いまはミーちゃんだったね、でも、もう一回ユキちゃんと呼ばせてね。いまは申し分なくしあわせな老後をむかえたけれど、ユキちゃんは立石の町でもみんなに愛されてしあわせだったんだね。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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立石の晴美です。板橋さん、ユキちゃんを幸せにしてくれてありがとうございます。みんな喜んでいます。また機会がありましたら遊びに来てください。佐竹さん、いつもいろいろとありがとうございます♪
by ナツキチの母 2012-08-21 22:05
板橋さん、晴美さん、立石商店街のみなさん、ろっちさん(「街を歩けばそこに猫」というブログでユキちゃんをなんどか紹介) ありがとうございます!! ゆずちゃん、ツイッターコメントありがとう!
宇都宮にお訪ねして、「このまま穏やかに長生きしてくれればね」と言っていた板橋さんの言葉が印象的でした。みんながそれぞれできることをして見守っていくのが、ほんとの人と猫との共生ではないかと、あらためて思いました。
by 道ばた猫 2012-08-22 10:39
立石でユキちゃんの姿は数回見ていたのですが、その時はうつむいてばかりでした。そのユキちゃんが、こんなに幸せそうな顔になるなんて!
板橋さん、ありがとうございます!佐竹さんも幸せなユキちゃんの様子を伝えてくださってありがとうございます!
丸吉さんも立石商店街の皆さんも、捨てられていたユキちゃんを面倒見て下さったからこそ板橋さんへの幸せのバトンタッチができたのだと思います。ありがとうございます!
by ろっち 2012-08-23 09:40
猫って・・・環境次第で人相(猫相)が変わりますよね!ミーちゃん、愛されて愛されて愛くるしい顔になってます。もうずーっと前から暮らしているみたい・・。今までの分も含めていっぱいいっぱい幸せになって長生きしてほしいです。
by りんりん 2012-08-24 21:00
はぁ~。
ユキちゃんの頃にはキリッとした美猫さんでしたが、
ミーちゃんになった今はめっさ可愛くなりましたね~。
まったく違う猫さんに見えますね。
愛情を受けると本当に猫の顔って変わるんですね。
甘えられる人が出来てよかったね、ミーちゃん。
お幸せに~~~!!
by しのりゅう 2012-08-27 14:28