ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2012年09月11日

茶々とハタケヤマ氏

nekoblog98-1.jpg
 彼女は茶々。推定4歳。(たぶん)捨て猫でした。というのは、ことし2月のある朝、とある中学校の校庭にすわっていたからです。毛並みもよく、人なつこいので、飼い猫だったと思われます。
 
 女子中学生たちが、学校の物置の片隅で、交替で餌をやり、面倒を見始めました。先生たちに見つかったら、追い出されるにきまっているので、こっそりです。ところが、2ヶ月ほどもたつと、こっそりというわけにはいかなくなりました。校内に入り込んで猫嫌いの生徒に蹴られたり、猫アレルギーを心配する父兄の口にのぼったり・・。
 
 大人たちの「保健所に・・」という話を耳にはさんだ中学生たちは、そんなことはけっしてさせないと、茶々を連れ出します。ある生徒の家に行っては「うちでは飼えない」と、次の家に。転々とした挙句、ハタケヤマくんの家に。「一晩だけ」という親との約束でした。というのは、ハタケヤマ家には、すでにゆめちゃんという愛猫がいて、2匹はとても飼えなかったからです。
 
 ところが、ハタケヤマくんのパパのハタケヤマ氏は、一晩一緒にいて、茶々がなかなかにお利口さんで器量よしなのを、気にいってしまいます。でも、先住猫ゆめちゃんは、しゃ~~、ふう~~。
 
 著述業のハタケヤマ氏は、近くのアパートの一室を書斎として、借りていました。もちろん、ペット禁止です。ダメもとで、大家さんに聞くだけ聞いてみることにしました。
 
 「あのう・・・猫をここで飼ってはだめでしょうね・・・・?」
 
 「猫ねえ・・」と大家さん。続けて「まあ、いいでしょう。トクベツ!」。思いがけない返答でした。聞けば、大家さん、猫にはまったく興味がなかったのですが、息子さんが中学生だったとき捨て猫を拾ってきて以来、猫好きになってしまったのだとか。
 
nekoblog98-2.jpg
 というわけで、茶々は、ハタケヤマ氏の書斎猫になりました。可愛がられて、毛並みもどんどんつやつやに。白ソックスをはき、白ストールを首に巻いて上品に窓辺にくつろぐ姿は、もと捨て猫とはとても思えません。その後、本宅のゆめちゃん急死のため、茶々は本宅猫に昇格しました。ハタケヤマ氏に連れられて書斎にも行くので、別荘持ち猫です。
 
 ところが、ハタケヤマ氏の言うには、「自宅のほうがずっと広いのに、書斎で見せるほどくつろいだしぐさや表情をしないのはどうしてでしょうね?」
 
 そして、こんなことも言います。「家族が言うには、僕がいるときといないときと、まるで態度が違うのだとか。僕が帰ると、きゅうに、しおしお、なよなよ、おんなっぽくなるんです。僕に惚れてる?」
 
 ハタケヤマ氏の見せてくれた書斎での茶々の写真は、「仕事なんかさせないわ」とばかり、パソコンの前にごろんとくつろぐ姿でした。
 
nekoblog98-3.jpg
 それにしても、茶々のいのちを救った中学生たちのチームプレーには、拍手!です。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

顔の良い猫ちゃんですね。
私の働いていたお茶工場にも、毎年子供を産んで行く猫がいました。
2匹産んで1匹おいて行く。
で、貰い手が見つかるまでミルクをあげたりシモの世話をしました。
皆、元気に大きくなっています。
田舎で山を歩いているそうです。
会社が倒産して建物が無くなってからはわかりませんが、
何処かで子猫を産んでいるのかも。
親猫は見たことが無いので少し不安です。

うちの子も頭が良くて甘えん坊で助かってます。
今日も教えた通りに自分でゲージのドアを開けて入りました。
親バカの限りです。

by 名無し 2012-09-11 18:39

我が家の猫も学校に捨てられた4匹の兄弟の1匹です。やはり生徒たちがこっそり部室で飼っており、やがて見つかり…そして行き場のなくなった猫たちがひょっこり私の前に表れ、いきなり4匹の面倒をみることに(笑)
それから生徒の中に里親が見つかり、一番病弱だった最後の1匹が我が家の猫になりました。今ではすこぶる元気で、とってもおしゃべりな甘えん坊さんです!生徒の優しさと運命の出逢いに感謝ですね。

by きなこ 2012-09-12 00:56

世知辛い世の中、子供たちが必死に命を守ろうとしたことがホッとしました。
昔はダメもとで連れて帰る→親に怒られるという経験を誰もがしたものですよね。
茶々のその後が平穏なのは、守ろうとした子供たちの念が通じたんでしょうね。
いいお話ありがとうございました。

by 6猫姉 2012-09-12 01:13

いいお話を聞かせてもらいました。
私も昔猫や犬を拾ってきては、飼えないでしょ!と言われました。
今では子供に、「あなたのぜん息が出ちゃうから無理でしょ」と言う方になってしまいました。
それでも飼いたい気持ちは息子達と一緒。。。
家族がひとり増えるというきちんとした覚悟を持たなければ無理なのよ~。と自問自答しています。

by りょう 2012-09-12 09:26

茶々ちゃん、幸せそうですね。
ハタケヤマさんが気に入ってくれたのを、きっと分かってるんですね~。
あまえる茶々ちゃんが可愛いです。

それにしても、中学生たちの行動はすばらしいですね。
ありがとう!!

by 名無し 2012-09-19 18:21

茶々さんのおててばってんこの写真、とっても素敵。
中学生のチームプレー、素晴らしいですね。
猫の「里親詐欺」なんて事件もある世の中・いじめによる自殺も後を絶ちませんが、こういう話を聞くと「まだまだ捨てたもんじゃないよね」と思います。

by みゆ 2012-09-20 09:46

かわいくて綺麗な猫ですね。飼い主さんが大切にされているのがよくわかります。我が家の猫も昼間私一人でいるときと夫が帰宅したときの態度は違います。夫が帰ってくると、急に甘えモードになり{抱っこ}をせがむんです。誰が一番かわいがってくれるかわかるんですね・・・。

by 匿名 2012-10-21 20:47

いいお話ですね!
茶々が中学生やハタケヤマ氏に
たすけてくれてよっかたですね!

by ねこねこ 2012-11-03 18:04