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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2012年09月25日

ゴハン待ち

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  夕方の南房総の海辺。コンクリート塊のうえで、一心に、町から海辺に通じる角のほうをみつめているキジトラ猫がいます。
 
 彼女の名は、マリちゃん。4年ほどまえにこの浜に捨てられていたそうですが、毛並みもよく、ふくふくしています。なぜなら、毎日、この時間にゴハンを運んでもらっているから。ついさっき、お魚食堂のおばさんにカリカリをふるまわれたばかりですが、こうして、いつものおいしい夕食を一心に待っているのです。
 
 あ、千鶴子さんの白い車が角を曲がってきました。どんなに遠くても、エンジンの音でマリちゃんには分かります。くさむらのかげから、ブーちゃんも、白黒母子も飛び出してきました。カリカリと猫缶ミックスのディナーは、食後のミルクつき。しあわせそうに、むしゃむしゃ、ペロペロ。
 
 パッパッとかたずけて、猫たちに変わりはないかをみて、千鶴子さんは、車に乗り込みます。まだまだゴハンを待ってる猫たちが、あちこちにいるからです。
 
 千鶴子さんの車にのせてもらって、一緒に回ることにしました。行く先々で、千鶴子さんの車が遠くに見えたときから、猫たちが集まってきます。みんなと一緒に食べるのが苦手な気の弱い猫は、ちょっと離れたところでこっちをじっと見ています。千鶴子さんは、そんな猫たちが安心して食べられるように、ゴハンを離れた場所に置いてやります。
 
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 小さな駅の物陰に暮らす猫たちも含め、ゴハンを待っている猫は、50匹くらい。雨の日も風の日も、体調の悪い日も、毎日毎日。「猫たちが待っているから」と、千鶴子さん。
 
 じつは、このゴハン運びは、3年前に亡くなったお母さまから引き継いだことだそうです。お母さまは、海辺に愛犬と散歩に行くのが日課で、海辺に捨てられた猫たちを見かけてゴハンを運んでいらっしゃったとか。
 
 千鶴子さんは結婚して遠くの町に暮らしていたのですが、母亡き後、その死を知らず、待っている猫たちをみすごしにはできなかったといいます。受け継いだときは、ゴハン待ちの猫は、25匹。手術はしているものの、毎年ダンボールで捨てられる猫や、よそから流れてくる猫もいて、増えていきました。
 
 現在、千鶴子さんはお母さんの住んでいた実家に住み、猫たちの世話に奔走しています。仕事のためにこちらに住む事はできないご主人は毎週末にやってきて、一緒に猫たちの面倒をみます。お二人は、昨年、ドリームキャットというNPО法人を作りました。どんな猫も幸せに暮らせるようにとの思いからです。
 
 母猫がいなくて育たないような仔猫や、病気や怪我をしている猫、外ではいじめにあいそうな弱い猫は、家の中に保護しています。先日保護した目の悪い仔猫の面倒をせっせとみているのが、以前海辺で同じように保護されたリンゴちゃんです。
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 千鶴子さんはこう言います。ほんとうは、猫たちは海辺でのんびり暮らすのがいちばん。気候も温暖だし、漁師さんたちもやさしい人が多いし、広々とした中を走り回ってストレスはないし、なんといっても、海辺の猫たちは、人間に支配されることのない自分自身の「猫時間」を持っているから、と。釣り針をのみ込んで手術入院後、しばらく家で面倒を見たシロちゃんも、海辺に戻ったとき仲間たちに迎えられ、、それはそれはイキイキしていたとか。ゴハンタイムのあとも、猫たちは思い思いにくつろいで、猫時間を過ごしていました。
 
 それでも、海辺の猫たちがひもじくないように、のびのび暮らせるように、短めでも幸せに寿命をまっとうできるように、千鶴子さんの奮闘は続きます。
 
 活動の日々でいちばんうれしいことは、「保護した猫に里親が決まること、海辺の猫たちがおいしそうにゴハンを毎日食べること、『ごくろうさま』と声をかけてくださるかたがふえてきたこと」だそうです。
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フェリシモ猫部スタッフより:
佐竹 茉莉子さんの『道ばた猫日記』は、おかげさまで今回で100回目を迎えました!
今後とも応援よろしくお願いいたします!

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

読んでいて、涙が出ました。
お外にいるからって、可哀想では無いンですね。
猫は野生が多く残る動物。
寒くても、暑くても、お外でのびのびもいいのかな?

苛めたり、害を為す人も今は多い中
千鶴子さんの様な、優しい人の優しい好意(行為)は
心が温かくなります。
野良猫にご飯をあげると、目くじらをたてる人がいますが
私達人間だけの地球じゃないんですから
もう少し、優しい気持ちになって欲しいです。

千鶴子さんも、お体に気をつけて
これからも猫ちゃん達の事、ヨロシクお願いいたします。

by 坂ち 2012-09-25 13:18

『道ばた猫日記』100回目おめでとうございます♪

今回のお話も素敵な心温まるお話でした。
私も読んでいて涙が出ました。
猫ちゃん達のためにこんなにも一生懸命世話をされている方がいることに感動いたしました。

by ますきち 2012-09-25 15:41

100回おめでとうございます!
いつも優しい気持ちにさせて頂いてありがとうございます。

by レオ 2012-09-25 23:32

100回目おめでとうございます♪
いつもいいお話ありかとうございます。
また楽しみにしています!

by ナツキチの母 2012-09-26 07:09

心温まる話し、感動しました。
なかなか持続できないことです。
千鶴子さんのような方がもっともっと増えて欲しい、そうしたら初めて衣食中足りた先進国日本に、本当の動物愛護が生まれるはずです。
それまで、どうか千鶴子さん、よろしくお願いいたします。

by カナダバンクーバーで猫救っているヒロ子 2012-09-26 13:53

佐竹さん、100回目の連載おめでとうございます!
いつか本にして欲しいです。
FELISSIMOさん、お願いしますね!!

家猫になるのがシアワセなコもいれば、お外でみんなと暮らすのが幸せのコもいるんですね。
人間と一緒で性格なんですかね~。
自分では出来ないけど、千鶴子さんのような方がいると安心します。
NPOまでだんな様と作って活動するのも立派です。
これからもお体に気をつけて、がんばってください!!

by しのりゅう 2012-09-26 15:25

100回目おめでとうございます!
これからも、たくさんの道ばた猫たちの、それぞれのストーリーを楽しみにしています。

すべての自由猫が、ひもじい思いをせずに、寿命を全うできるようになりますように。猫にご飯をあげるな!という看板を見ると、とても悲しくなります。同じ地球に住むもの同志、相手がお腹を空かせてつらい思いをしていたら、食べ物を分けてあげるのは、当たり前のはずなのに。お一人で50匹は、さぞ大変だと思います。千鶴子さんの活動が、”特別”ではなく、みんながそれぞれできるような世の中になれたらいいですね。
きっと、千鶴子さんの優しい思いは連鎖していくと信じています。

by ちぃこ 2012-09-26 20:58

100回目、おめでとうございます。

いつも楽しく見させて頂いています。

また我が家の猫たちにも会いに来てください!

by コースケ 2012-09-26 21:02

100回おめでとうございます。
佐竹さんの「道端ねこ日記」毎回、拝見しながら涙しています。
よかったね~。の時もあれば、考えさせられるような時もありなんです。
南房総ではご飯をあげる活動をされても大丈夫なご様子ですが、ここは住宅地、何かとうるさい人が居てなかなかそのようなことは出来ません。
千鶴子さん、50匹もの猫たちのご飯を毎日というのは真似出来るものではありません、お体に気をつけて下さいませね。
フェリシモさん、「本」にして欲しいですよ~~!

by りょう 2012-10-02 11:30

坂ちさん、ますきちさん、レオさん、ナツキチのお母さん、カナダのヒロ子さん、しのりゅうさん、ちぃこさん、コースケさん、りょうさん。そして、いつもこのブログを楽しみにしてくださっている皆様。おかげさまで、いろいろな猫さんたちの物語を100回!もご紹介できました。あたたかな励ましをありがとうございます。どんな猫も人の温もりに寄り添って懸命にいきています。そして、わたしたちに温もりを返します。同じいのち同士が紡ぐささやかなものがたりを、これからもお伝えしていきたいとおもっています。

by 道ばた猫 2012-10-03 10:43

昨日から、よんでいますが
とてもおもしろく
ジーンと
できるお話がまんさいですね!
これからも読んでいくのでよろしくおねがいします!

by ねこねこ 2012-10-30 20:57