昨年10月に「
ダムのさっちゃん」「
ダムの猫たち」というタイトルで2度、そして、今年6月にも「
仔猫の季節」というタイトルでご紹介した、千葉県富津市「花はなの里」にある喫茶店ダムで暮らす猫たちは、現在20匹。
さまよいこんできたノラ猫のマミちゃんが産んだ「ウメ、シソ、ミント、バジル、葉っぱ」のキジトラ5きょうだいもすくすくと成長しています。こっち向きだと、ダムのマリコさんにも見分けがつかないほどのそっくり5匹ですが、しっぽの微妙な形や細さでなんとか、マリコさんは見分けているそうです。そっくり5きょうだいは、広い里山で遊びまわっていて、揃った写真が撮れなかったので、成長ぶりは、また今度。
さっちゃんがマリコさんに抱っこされて、店内にやってきました。6年前、街なかに捨てられていた、半身麻痺の仔猫だったさっちゃん。安楽死をのがれてこのダムに迎え入れられた話を覚えていらっしゃるでしょうか? さっちゃんを見て、後ろで嬉しそうな顔になったのは、雌犬のハッピーです。
ハッピーは、さっちゃんがやってきた少し前にここにやってきました。近くの保育園にお腹をすかせてさまよいこんで、2ヶ月、貰い手がみつからなかったため、マリコさんご夫婦がひきとったのです。さっちゃん同様、しあわせになって、との思いからハッピーとなづけられました。
ハッピーは、ここで出産し、息子のマーくんと、娘のカナちゃんを育てました。子どもたちと一緒に暮らせる幸せな毎日です。でも、子どもたちがすっかり大きくなった今、溢れ出るハッピーの母性は、さっちゃんに注がれたのでした。
さっちゃんの四肢は麻痺のため、爪がにょっきり出たままです。さっちゃん自身が懸命に練習した結果、生まれたてのバンビのように歩けるようにはなりましたが、バランスをくずしてよくバタンと転びます。そんなさっちゃんをいつのころからか、ハッピーは、かいがいしく面倒を見始めました。さっちゃんが椅子の上で、毛づくろいに難渋しているのを、ハッピーは心配そうに見守っています。そして・・・・。
椅子に前足をかけて、さっちゃんをなめ始めました。さっちゃん、おかあさんに甘えるように、さっちゃんの胸に顔をうずめています。
耳の下まで、カジカジ、ペロぺロ。さっちゃんが自分で毛づくろいできない場所が、ハッピーにはよくわかっているようです。じつは、さっちゃんも、捨て猫だったミカンちゃんの仔猫時代は、りっぱにお母さんをつとめたのです。ここでは、誰が教えたわけでもないのに、動物たちが、捨てられていた者同士、愛情を循環させているのです。
ダムを訪れていた、小さな男の子ふたりを連れた若夫婦が、思わず、つぶやきました。「平和だなあ・・・」。
ハッピーちゃん、一番のお気に入りは、もちろんさっちゃんなのですけど、ごらんの通り、ほかの猫たちとも、仲良しなのですよ。(一緒にくつろいでいる白黒猫さんは、がっちゃん。去年、傷だらけでやせこけてダムにあらわれた猫ですが、いまはふっくら)
ハッピーちゃん、 ダムのコになってほんとうにハッピーだね!!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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是非行ってみたい。
豊かな愛が溢れているのですね、
ありがとうって言いたい。
by じゅんこ 2012-10-09 13:11
素敵な心温まるお話を今日もありがとうございました。
by ますきち 2012-10-09 15:04
ハッピーなお話、ありがとうございます!
by しのりゅう 2012-10-10 16:32
恥ずかしながら、涙が出てしまいました。
みんな、幸せに過ごしていけますように・・・
by tamanegi 2012-10-10 20:42
ハッピー、さっちゃんに会いに行きたいです・・。ハッピー、優しいね・・。
by りんりん 2012-10-12 17:36