以前このブログでご紹介した「盲目のラブリーふくちゃん」のおうちに遊びにいきました。
ふくちゃんは、よく陽のあたるソファーのうえで、心地よさげにお昼寝中でした。相変わらず、子猫のように愛らしいふくちゃんです。
前にお話したように、ここチセさんのおうちは、ルイさんとチセさんが保護した猫たちに里親が見つかるまでの一時避難所ともなっています。ここから巣立ってしあわせになった猫たちが何匹いることでしょう!
チセさんは以前は室内犬を飼っていて、その犬を亡くした後、「こんどは猫を」と思っていたら次々とわけありの猫たちが舞い込んできた、というわけです。いまは、ふくちゃんのほかに、へその緒がついた状態でゴミ袋にいれられてゴミ集積所に捨てられていたリュウタ13歳、公園のノラの子だったハナコ12歳、やはり公園出身フータ10歳、これも公園出身ナッツとピーの姉弟4歳がいます。
フータは誰に対してもフレンドリーで、玄関までお迎えしてくれるのですが、ハナコ、ピーとナッツの3匹はとてもシャイで臆病で、たちまちベッドの下に逃げ込んでしまいました。
手前がピー。真ん中がハナコ。いちばん奥がナッツです。私には区別がつかないほどそっくりなピーナッツですが、弟のピーは口周りが白く、姉のナッツは目が濃いオレンジ色とのこと。ベッドの下ではたしかめようがありません(笑)。
このザ・ピーナッツ。じつは里親先から揃って逃亡、37日間の逃亡の末、ルイさんとチセさんに探し出してもらった「出戻り」なんです。
ピ-ナッツはノラの両親から生まれた公園猫でした。ルイさんたちに保護され、一緒に飼ってもらえる里親さんが見つかるまでを、チセさんちで過ごしました。警戒心のつよいきょうだいで、ようやくなれ始めたころ、里親が見つかりました。車で1時間の町です。
「すっかりなれるまではケージから出さないで」とお願いしていたのですが、「朝、浴室の網戸をこじあけて2匹とも逃げた」という連絡が入ったのは翌日の夜でした。見知らぬ土地で、しかもいなくなってかなり時間がたっています。すぐに駆けつけたルイさんとチセさんでしたが、手がかりはありません。
次の日から、朝に夜に、ルイさんたちの必死の捜索が始まりました。絶対に見つけだしてあげる!という思いのもと。ポスターを貼り、チラシ700枚を配り、メガホンで「ピー~~ナッツ~~」と呼んで「ピーナッツ売り」と間違えられることもしばしば。「スーパーで見た」などという情報があれば飛んでいきましたが、別猫でした。
2匹が一緒にいることも確かめられないまま1ヶ月。ピー情報が飛び込みました。うちの畑に来ている、とのこと。写真を見せると確かにこの猫ということで、餌を置いてもらい張り込み開始。林を横切ったのはピーです! 「ピー!」と呼ぶとちょっとこっちを見てすっと消えました。ナッツも見かけました。ルイさんとチセさんが切り株に腰をおろして、二人の声を聞かせていると、どこからかカリカリカリと爪をとぐ音。その音を2匹からの「そろそろ出ていこうか」の合図だと思った二人は、捕獲器を2台用意しました。
餌につられてピーが入り、続いてナッツも。そのまま獣医さんに直行すると、「前歯が欠けてるから苦労はしたんだろうね」との見立てでしたが、あとは異状なし。
「それで、うちにつれて帰ったときの2匹ったら。以前うちにいたときにはまるで見せたことのない喜びようと甘えよう。『ここが僕たちのうちなんだから!」やっと帰れた!』といわんばかりにごろんごろん(笑)。他の猫たちも「どこいってたの」と歓迎してました。大変だけど、もうこの子達はうちの子にしようと(笑)」
写真は、出戻った日のピーナッツです(ルイさん撮影)。
かくして、チセさんちには猫がいつのまにかふえていき、あっちでごろん、こっちでごろん、のあたたかい初冬の午後なのでした。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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私も飼う前までは猫さんはクールなイメージしかなかったんですが、半野良だった猫さんの里親になって半年、膝の上に乗ってきたり、遊んでと甘えてきたり、出かける様子を寂しそうに見ているのを見て、ワガママ猫さんのイメージはどこへやら、人の生き方に似たようなものさえ感じます。猫さんの方がもっと素直で羨ましいくらいです。ザ・ピーナッツの二匹も幸せそうでなによりです。また素敵な猫さんのお話を楽しみにしてます☆
by amamtaike 2012-11-20 15:20
いやん。
超ぷりちー。
慣れた頃によそんちに連れて行かれたので、おうちに戻る~~、ってな感じだったんでしょうか。
ピーもナッツも、ルイさん、チセさんが迎えに来てくれるのを待っていたかのようですね。
お幸せに~。
by しのりゅう 2012-11-20 16:06
にゃんこに囲まれての生活…
憧れます(=*^^*=)~♪
ピーちゃん☆ナッツちゃん、お帰りなさい!!
チセさんちに帰りたかったんだよね
チセさんちのニャンコさん達、ずっとずっとお幸せに~☆
by くろやぎ 2012-11-20 17:43
ピーもナッツもそろって見つけることができて、無事に帰ってこれて、本当によかったですね。
帰ってきた日の安心しきった写真を見ると、涙がでそうです。
本当によかった!
みんないい子ちゃんです♪
by たいみみ 2012-11-20 21:54
amamtaikeさん
ノラ経験のある猫さんは甘えるのにおずおずしたところがあって、いじらしいですね~
しのりゅうさん、くろやぎさん
「里親さんに連れて行くとき、ずっと啼きっぱなしだったのは、行きたくないよーって言ってたのね」とチセさんは言ってました。
たいみみさん
帰ってきたとき、げっそりのきょうだい、今じゃタプタプお腹の幸せ太りです~
by 道ばた猫 2012-11-21 10:19
読んでいて、最後の写真を見たら涙が出てしまいました。
ほんと、安心してる根方ですもんね。
無事に帰ってこれてなにより♪
by 坂ち 2012-11-22 12:50
ふくちゃん、可愛いですね~。写真からも柔らかい感じが伝わってきます。
ピーナッツの帰ってきた日の写真も最高♪
実は、我が家の猫も約1か月の家出を経て、今日帰ってきました!
一日中私のそばにべったりで、しきりに何かを伝えようと鳴いています。きっと、一ヶ月の出来事をずっとしゃべっているんでしょう(笑)。ピーナッツちゃん達も、ずぅーと2匹仲良くチセさん家で
幸せにね!
by ちぃこ 2012-11-22 22:08
ピーもナッツも悪気はなかったんでしょうけど、チセさんのところが良かったんでしょうね!!安心して寝てる姿がいじらしいです・・。
by りんりん 2012-11-25 20:51