今年最後の取材の仕事は、湯川れい子さんでした。まだ駆け出しライターの15年前、湯川さんに取材させていただいたことがあります。「けさ、ゴミ収集車に入れられる寸前の、ダンボール入り子猫を保護して、てんやわんやだったの」とおっしゃったのですが・・・・そのときの子猫にまた会えるとは! 保護したとき、足がつぶれていて、獣医さんに「切断かなあ」と言われたそうですが、看護の甲斐あって切断なし。歩き方はひょこひょこしているものの、なんとも人懐こい愛らしいレディになっていたのです。うれしい再会でした。
ことしを振り返れば、たくさんの猫たちとの新しい出会いが、行く先々で待っていました。
春生まれの路地猫は、まだ人を疑うことを知らない目をして、ダンボールハウスから顔を出しています。声をかけていると、「おや、可愛がってもらってるの。よかったねえ」と路地のひと。こんな町なら、ノラにあってもホッとします。
海辺で、いちどにこんなにたくさんの猫と出会った日もありました。
遊んだあとに「また来る?」といいたげな人恋しい目で見送られるたび、ことしもなじみ猫がどんどん増えてしまいました。外で暮らす猫は、次に必ず会えるという確証がないので、よけいに出会ってしまった縁がいとおしいのです。
いつでも会えるとばっかり思っていたのに、天国へ旅立ってしまった猫も何匹か。
猫実4丁目のひそかなアイドルだったミイちゃん、病気と共に生き、4歳で旅立ったあずみさんちのタロちゃん、立石駅前商店街の路地猫トシオ・トシミ兄妹。銀座の路地猫しいちゃん、近所の鼻つまみ猫だった極道ノラオ・・・。みんな、一生懸命生き抜いてりっぱだったよ。わたしたち人間はかなわないよ。たくさんの思い出をありがとう!けっして忘れないよ。
きのうイブの日、このブログ「まりやのハート」で紹介したるいさんから、「ケンタが逝きました」というメールが届きました。ケンタとは、夏に1回だけ会っています。すでに19歳で、かなりよれよれでしたが、食欲もあって、「うおー、うおー」と低音のだみ声で甘えていました。老猫特有の風格と可愛さを近々ブログで紹介したいと思っていたところの、悲しい知らせでした。
るいさんのメールには、こうありました。
「保護したときの仔猫のケンタは、ノミダニだらけで、啼き続けていたせいか、だみ声。おなかはゆるゆるで、トイレもなかなか覚えてくれず、1ヶ月で泣く泣くソファーを始末して、寝室は出入り禁止。13歳の先住猫すぐるに、噛み付くは追い掛け回すは。来客のバッグの中や膝の上で、うっとりした顔をしたかと思うと、おしっこ。さんざんな子猫時代のケンタでした。でもね、甘え上手で、ごはんのおねだりのときは、ちゃんと前足そろえて首をちょっとかしげて、子猫の時から変わらずのだみ声で啼くの。
おもちゃ箱から気にいったものをくわえてきて、足元にぽとんと落としては「投げて」と催促。投げると走ってくわえて戻り、また投げて・・・とエンドレスでした。夜中に目をさますと、スーパーボールをくわえたケンタのワクワク顔が目の前・・・ということもたびたびでした。ケンタ5歳のときにすぐるが亡くなって、甘えん坊のケンタは、次々にやってくる保護子猫たちの面倒を見る頼もしいおにいちゃんになりました。朝晩の玄関での夫の送迎は、すぐるからケンタ、そしてまりやへと代々受け継がれています。
一週間前、私の膝から落ちそうになって、思わず差し出した手にケンタの爪が刺さり、深い傷になりました。痛みが薄れてきたのが悲しいです。きょうは夫と静かにケンタの思い出を語り合いました」
なんとたっぷりと愛されたケンタでしょう。猫たちがみなケンタのように深々と愛された思い出と共に旅立つ世の中になりますように。
この一年も、このブログでみなさんと心を重ねることができて、暖かいコメントをたくさんいただいて、しあわせでした。ありがとうございます!!
来年も、町々で、けなげに生きている猫たちのものがたりを届けていきたいとおもいます。よい年をお迎えください。
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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夏頃こちらのブログを知りまして遡って読ませていただき、その後は毎日チェックしております^^
我が家には先住の1歳半のメス猫「あずき」がいたのですが、11月に新入り子猫メス(4~5ヶ月)が加わり、毎日追いかけっこでにぎやかです!
メス同士のせいか?なかなかプロレスごっこも激しいですが、2匹とも眠くなると寄り添って眠ったりもしています。最初はかなり気をもみました(先住猫ちゃんのストレス等)が、今は飼い主は見守る姿勢でいいのかもと思っています。
本当に猫ちゃんは可愛くて、それでいて毎日色々な気持ちを学ばせてくれます。こちらを成長させてくれる存在ですね。
ちなみに・・・
新入り猫ちゃんは、10月頃からゴミ捨て場の可燃ゴミ前夜にいつも姿をあらわしていたところを旦那さんが見かけて気にかけていたんです。
「ガリガリの三毛(さび?)猫ちゃんがいるんだよー」と。
きっと空腹のために、可燃ゴミ前夜からゴミを漁って何か探して食べていたのだと思われます。
見かけるたびに二人で「サビちゃん」と声をかけてたり、カリカリを差し入れしていました。
すぐにでも我が家へと思いましたが、まだそこまでサビちゃんが慣れておらず、先住猫もいるので迷っていました。
でもこのままでは、ゴミを出しに来た住民の誰かが保健所へ言わないとも限らない!と。(袋をやぶってしまうので)
そんなある夜、いつものように旦那さんがカリカリを差し入れに行ったのですが帰りが遅い・・・
ガチャとドアが開いて一言。
「気付かないうちに家の廊下までついてきちゃってた!」と。
そしてゆっくりとですが、玄関へと少しずつ入ってきたのです。
自分から我が家へきてくれたので、安心して家族として迎え入れました。
先住猫が不安がるため、最初のうちはキャリーに入ってもらう時間が長かったです、物怖じしない性格っぽくてすぐにくつろいでいました。
野良だったためか持病か、鼻炎のような感じでいつも「ぷくぷく」という呼吸?なので「ぷくたん」と名づけました。
我が家に来る前のぷくたんは、見かけるときは大抵ゴミ捨て場の袋の上にチョコンと鎮座していて、そのときも大変可愛らしかったのですが今我が家でぷくぷくと音を響かせながら安心してお昼ねしているぷくたんも最高に可愛らしいです。
この子達の命を預からせてもらっているということに感謝しています。
素敵なブログをいつもありがとうございます。
いよいよ年末ですね!
ゆっくりとお休みされてください。
また来年もブログの更新を楽しみにしています。
by あずきのしっぽ♪ 2012-12-25 13:19
自分の知らない街の猫たちのお話しに、その背景にいる人達のお話しに、いつもわくわく時には切なくなりながらブログ読んでいます!
来年も素敵なブログ、楽しみにしています。
この記事に書いてある「外で暮らす猫は、次に必ず会えるという確証がない」という言葉に、うんうんとうなずいてしまいました!
そうか、野良猫と別れる時のあの気持ちは、そういう事か!と。
また次会う時まで元気でねって別れるけど、明日元気でいてくれるとは限らない。
これが最後かもしれないと思うと本当に愛おしくなりますね。
by はしやん 2012-12-25 16:04
毎回、あっブログだあ。
楽しみで楽しみで。
毎回涙して、笑って。胸きゅんです。
私も猫と暮らし始めて13年。
救われました。
来年も猫と共に。
ブログ楽しみにしています。
ありがとうございます。
by 純子 2012-12-25 17:24
今年もこのブログを通していっぱいの猫たちに出会えました。
ありがとうございました。
わたしも猫と暮らす前はこんなに猫が好きになるとは思いませんでしたが、今は猫なしの暮らしは考えられません。
猫好きというだけで、お友達もできました。
来年も楽しみにしています。
by よーこ 2012-12-26 01:01
佐竹さん、いつもありがとうございます。
トシオ、トシミ達兄妹は、ノラ猫の子供として生まれ、避妊去勢をすませ、10年近く世話をしてきました。たぶんノラちゃんの子供だから、病気をもっていたかもしれません。出会いの数と別れの数が同じだという事を今感じています。
でも猫達のおかげで、いい出会いいい友達がたくさんできました。
とてもいい事ですね!
今年はいろいろとお世話になりました。ありがとうございます。
来年もブログ楽しみにしています!
by ナツキチの母 2012-12-26 07:13
いつも楽しみにしております♪
ブログの内容に笑ったり涙したりさせていただきました。
また来年も色んな猫さんに逢わせてくださいね。
by ますきち 2012-12-26 12:59
私も今年はたくさんの猫たちに出会いました。それだけでは飽き足らず?、毎週このブログでも猫たちに出会えるのを心待ちにした一年でした。
ケンタくん(君というより、さんかな?)立派に生き抜いたね。お疲れさまです。
来年も、まだまだたくさんの猫が、いろいろな街できっと待っていますね☆楽しみにしています。
by ちぃこ 2012-12-28 21:42
あずきのしっぽ♪さん、あずきちゃんとぷくたんの追いかけっこ、微笑ましいですね~。見てみたい。いつまでも幸せに!!
by 道ばた猫 2013-01-06 11:49