猫に遭う確率の高い町、猫好きの多い町、猫の字のつく店の多い町、そして、なにより猫の居心地のよさそうな町を「猫町」と呼ぶとしたら、中央線沿線の阿佐ヶ谷も猫町のひとつでしょう。
仲間うちの新年の集まりを阿佐ヶ谷ですることになったので、ちょっと早めに行って、夕暮れ時の阿佐ヶ谷の路地を歩いてみました。まず、出会ったのが、このコ。
集合住宅の入り口で、人待ち顔でした。青いチェックのリボンが小粋で、外国の古い絵葉書にでも出てきそう。おずおずと甘えてきました。
「猫の隠れ処(が)」という古道具屋さんの店主は、6歳半の三毛猫のみすずさん。正統派の日本美人です。
もぐりこめば寝床にもなるコーヒーの麻袋の上にすっきりと座り、涼しげな瞳で接客。
客のえり好みなどせず、媚びず、店主とはかくあるべしというお手本のようなみすずさんなのでした。好物は和菓子ということですので、次は甘いものを手土産に遊びに行きますね!面白そうな物も店内にいっぱいあったし。
その先には、もと動物病院だった猫ギャラリーもあり、猫の絵や猫の名のついた店もちらほら。そのひとつ、「黒猫茶房」の名にひかれて、路地の角にある白いペンキ塗りのちいさなカフェに入りました。
ご夫婦でなさっている店で、マスターいわく、三毛もキジも茶トラもみーんな飼ったことがあるのだけれど、黒猫だけは飼ったことがなくて、黒猫へのあこがれからこの店名にしたのだとか。「店の前を黒猫さんが通るんですよ」と、奥さんはうれしそうでした。
マスターは歌舞伎町でバイトをしていた若いころ、3匹の仔猫を拾って、3匹とも持ち返ったとか。1匹は数年前に亡くなったものの、1匹は実家で、1匹はマスターの家で、いまも
それぞれ元気にしているそうです。その年齢を聞いてびっくり! 2匹ともなんと24歳!!
「フツーに元気に暮らしてますよ。長生きの秘訣? とくにないけど、ストレスがないからかなあ・・・」 今度、奇跡の24歳の写真を見せてもらう約束をしました。コーヒーもケーキもとってもおいしかった!
さて、時間です。新年会場の広島お好み焼きやさん「猫の助」へ。おや? 予約のテーブル席に見慣れないメンバーがすでに座っています。
お客さん大好きの茶太郎くん。やんちゃ盛りの7ヶ月です。とにかくマスター夫婦に叱られても叱られてもめげずに客席にちょっかいを出す茶太郎くん。もとノラの彼がここにもらわれてきたとき、仲介したボランティアの人は、茶太郎くんがあまりにもやんちゃなので、いつ戻されるかと毎日びくびくものだったとか(笑)。
もう1匹の先住猫イチローくんは、対照的にシャイで穏やかなオトコ。名コンビの2匹をかまいながらおいしい広島焼きをほおばって、笑いっぱなしの新年会でした。
「イチローも茶太郎も家族です!」とおっしゃったマスター夫妻。閉店間際に、くつろぐ家族写真を撮らせていただきました。
猫町で、猫ばなし。寒い夜も、ほっこりと暖まったのでした。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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猫が幸せに暮らせる街があるのですね。
虐待されたり、車にひかれたり...
悲しいニュースばかり耳にするので、
なんだか心が和みました。私もニャンズ連れて
そんなのんびりな猫町に住みたいです。
by アッコ 2013-01-22 17:26
いま練馬寄りに住んでいるので
杉並区は近いですが、阿佐ヶ谷は行ったことがなく。
こんな素敵な猫町だったんですね~!
by ゆうか 2013-01-22 18:38
こんなにかわいい子が待っている新年会っていいですね♪
猫がのんびりと幸せに暮らしている町へ行くとホッとします。
こんな猫町がどんどん増えますように。
by ちぃこ 2013-01-22 21:41
やっぱり、和みます。
猫が嫌いで石で追っ払う 人や、追いかけて追い払う人がいるなか、静かに、穏やかに暮らしているニャンコを見ると、地球は、皆んなで仲良く暮らす所なんだって。こんな街が増えるといいですね。
by マミコマミー 2013-01-23 12:06
先日はありがとうございましたにゃ〜。ご用意はできておりますにゃ。よろしくお願いいたしますにゃ。
by みすゞ 2013-04-03 21:44