[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

何回か通ううちに、オーナーのかたが、雛ちゃんの身の上話をしてくれました。6年前の4月。仕事中の若い男女社員の乗った車が十間橋通りを走行中、前方に小さな小さな物体を見つけました。生まれてそんなにたっていない仔猫が、バスやトラックも走る通りの真ん中で、進退きわまって動けなくなっていたのでした。車をとめて、抱き上げると、仔猫はガタガタ震えていました。捨てられたのか、ノラの母さんとはぐれたのか、どんなに怖かったことでしょう。
 
　「もしかしたら、近所で飼われている仔猫が表に飛び出したのかも」と思ったふたりは、仕事中にもかかわらず、そのへんの店に聞いて回りました。でも、手がかりなし。やっぱり捨て猫のようでした。ふたりとも猫を飼える環境ではありませんでした。でも、仔猫をそのへんに置いて立ち去ることもできたのに、そうはしませんでした。
 
　仔猫を紙袋に入れ、「この仔猫を飼ってもらえませんか」と、何軒か回って断られ、ふたりは必死の面持ちで真美い庵にやってきました。
 
　オーナーの女性は、すでに２階でうずらちゃんというわけあり猫を飼っていましたから、引き受ける気になれず、「えーーー」と言いながら、紙袋から出された仔猫を両手に受け取りました。そして、なんのきなしに着ていたセーターの裾をベッドのようにして仔猫を入れると、仔猫はコトンと寝てしまったのでした。
 
　　「きっと、恐怖と緊張が一気に緩んだのでしょうね。その瞬間、心が決まったの。かわいそうに・・・、飼ってやろう、って」
 
　　若いふたりの喜んだことといったら！　女性のほうははらはら涙を流したそうです。
 
　3月生まれだろうとの獣医さんの見立てで、名前は「雛ちゃん」に。ふたりは、何回か雛ちゃんに会いに来て、成長を喜んでいたそうですが、転勤になったらしく、その後の雛ちゃんには会っていません。
 
　最近、真美い庵にまた新入りがやってきました。ロングチワワの豆ちゃんです。あまりにも臆病な性格のため、２～３軒の家を転々といた挙句、ここに引き取られました。

 

「ちょっとした音も怖がるので、私、このごろ、とっても上品になりました（笑）」とオーナーさん。店内では、雛ちゃんが幅をきかせていますが、2階では、引きこもりの先住猫うずらちゃんと３匹、仲良く暮らしているそうです。
 
　雛ちゃんをここに連れてきたおふたりへ。このブログをもしも見ていらっしゃることがあったら・・・・・雛ちゃんはこんなに立派な店長さんになって、みんなに可愛がられています。おふたりのやさしさあって、救われた命です。ほんとうにありがとうございます！近くにいらっしゃる機会があったら、ぜひ、雛ちゃんに会いにきてくださいね！