[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

　喫茶店をなさっているご夫婦が、いろいろな猫たちとの縁を話してくださいました。十数年まえの雨の日、店の近くで２匹の白いノラの仔猫に出会って、ほっておけずにごはんをやるようになったのが、そもそものことだそう。

「そしたら、仔猫たちの白い母さんも来るようになって。母さんは、生粋のノラで、なつくまでに５年もかかったんですよ。でも、最後は、私の腕のなかで安心して息をひきとりました」と、奥さん。

　母さん猫の産んだ子は、里親探しをしたり、自宅にひきとったりで、これまでに何匹もの猫たちの面倒をみてきたご夫妻です。

　現在は、自宅に２匹。店で面倒をみているのは、オクちゃんとチビちゃんの兄弟ですが、オクちゃんたちの母さん猫も、通い猫として外でごはんをあげています。母さんは、よそで仔猫を産んでは、ここへ連れてくるそうです。現役のノラで、ごはんを長年もらっているのに、触ろうとするだけでシャー～～ハア～～と威嚇するのだとか。そのため、避妊手術もできずにいます。街中でノラ母さんが子育てをしながら生きていくには、そのくらいの気迫がないと生き延びられないのでしょうね。「店猫になれないタイプの猫もいますからね」と、ご夫妻は、それぞれの猫にあわせた付き合い方で、できるかぎりのことをなさっています。

　弟のチビちゃんは、出たいときに外に出かける自由猫ですが、オクちゃんは、リードつきです。これには、わけがあるのです。

　「にゃ～～～！」とママ(人間の）を見上げて、オクちゃんが催促しました。一日に２～３回は、ママと一緒の散歩です。リードつきで外に出たオクちゃんは、店の中ではピンと立っていた尻尾がおしりにくっつき、ヒゲは前方に張っています。極度の緊張です。植え込みのかげを用心深く通り、駐車場のうらの狭い隙間を探検。これがいつものコースです。帰り道、自転車のおじさんに出くわすと、一目散に店に逃げ込むオクちゃんでした。

　そう、オクちゃんはノラあがりのくせに(笑）、ものすごい臆病なんです。だから、名前がオクちゃんとついたのでした。ノラ時代にさんざんこわい思いをしたのでしょうね。男性が今でも苦手なのだとか。ノラのままだったら、どんなにびくびくしながら生きていかなければならなかったでしょうか。「まだ、ノラだった頃、オクのきょうだいは、交通事故で死んでしまったので、もしかしたら、そのとき、オクはそばにいて、きょうだいの轢かれるのを見てしまったのかもしれない。それで、外がこわくてこわくてたまらないのかも」と奥さんは言います。

　「とにかく、オクは、店の中では、態度がデカくて、外とは顔つきもまるで違うんですよ～」と笑う奥さん。

　オクちゃんは、２つの顔を持つ猫。お店の中では、怖いものなしの涼しい顔で、きょうもアイドルをやっています。オクちゃん、店猫になってよかったね！！