[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

　今年最初の猫日記「お正月猫」で紹介した、南房総のカフェ・レストラン「カーサ・マリーナ」で大晦日に私が出遭った生後２ヶ月くらいの仔猫のことを、覚えていらっしゃいますか？

　そう、このふわふわのいたいけな女の子です。昼から暴風雨となった１２月３０日の早朝に海岸で保護されたばかりでした。前夜に捨てられたのでしょう。カーサ・マリーナの奥さまは「器量よしだから、すぐに里親がみつかるでしょう」と、おっしゃってました。あれから３ヶ月。あの子はどこへもらわれていったのでしょう。幸せぶりを聞きたくて、カーサ・マリーナに行ってきました！

 　「大晦日にここにいたカワイイ仔猫、どんなかたにもらわれていきました？」

 

　そう尋ねると、みるからにおおらかで明るい奥さん、ニッコリ笑って、こう言うのです。

 

　「うちの子になりました！」

 

 　えっ、里子に出さなかったということ？　可愛すぎて情が移ってしまったのでしょうか。

 

 　「２階にいますから、連れてきますね～」

 

　「ほら大きくなったでしょ。、チェリーです。もうものっすごいやんちゃなんですよ。いたずらを探して一日中歩き回ってます。チェリーの行く先々、モノが落ちて・・・(笑）」

　たしかに、好奇心のかたまりのような瞳をしたやんちゃ姫になっていました。彼女がカーサ・マリーナの３匹めの猫になったいきさつは、こうです。

 　「里親はすぐにみつかると思い、それまで２階でうちの犬や猫と一緒にすることにしたんです。そうしたら、マイケルとすぐに仲良くなってしまって」

 　マイケルは、半身不随でおむつをしている５歳の雄猫です。チェリーちゃんは、マイケルのおむつの中に顔を突っ込み、下腹のおっぱいをちゅっちゅっと吸い始めたのだとか。

マイケルおじさん、さぞびっくりしたことでしょうね。

 　「それで、マイケルに子育てをまかせることにしたの。マイケルのリハビリにもいいかな、と思って。このごろはもうおっぱいは吸いませんが、チェリーはマイケルの首に手をからませて、マイケルはたじたじ。犬たちとも仲良くやってますよ。マイケルと犬たちも連れてきましょうね」

　下りてきたマイケルくん、後ろ半身は麻痺していますが、前足を使ってすいすい移動します。彼は、車に轢かれて瀕死のところを、見つけた方が獣医さんに担ぎ込んで安楽死を頼んだそうですが、獣医さんはマイケルが「あまりに性格がよかった」ので、安楽死させられなかった、というエピソードの持ち主です。

　そんなマイケルを引き取ったのは、カーサ・マリーナのご夫妻。オムツを日に３回は取り換え、週に２回はシャンプーで洗ってやります。

 

 　２匹の雑種犬、モモちゃんとイブちゃんは、２匹ペアで飼い主が何回か変わり、最後の飼い主によって保健所に持ち込まれた犬たちです。マリーナの奥さんがその話を耳にして、救い出した翌日、イブちゃんは全身に発疹が出ました。獣医さんの診断によると、「保健所に送られた極度の恐怖とストレスによる分離不安症」とのこと。ですから、幸せになったいまも、イブちゃんはいつも飼い主(マリーナのご夫妻）の姿を探しています。

 

 

　ご夫妻の保護活動は、１５年前から。数え切れない捨て犬や捨て猫を救っては、里親を見つけてきました。お店のレジのわきにある募金箱のそばに座っているのは、これまた捨て猫だったハナコちゃんです。猫より人間が好きで、１階のブティックコーナーか庭にいます(猫たちはふだんは客席には入らないようしつけられています）

　「捨て犬や捨て猫を見てみぬふりができたら、どんなにラクかしら。でも、見てみぬふりなどゼッタイにできないし、そんな人間になりたくもないのよね。大変だけど、この子達は、みなうちの子になる運命だったと思ってます」

 　素敵な笑顔でそう言う奥さん。

　チェリーちゃんの居場所は、ここって決まっていたようです。

　チェリーちゃん、うんとやんちゃして、うんとマイケルくんやママたちに甘えて、すくすく大きくなあれ！！