[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年05月28日

交番からやってきた子猫

ここは、東京の下町。Y金物店は、地下鉄の階段を昇ってすぐのところにあります。お店をのぞくと、生後１ヶ月くらいのキジ三毛の子猫（女の子）が店内で遊んでいました。なんという愛らしさ！

「このコは、交番からやってきたんですよ～」

　金物店の娘さんで、結婚後もお店を手伝っているノリコさんが話してくれた、子猫がやってきた顛末とは、こうです。

　金物店で店番をしていたノリコさんに交番から電話がかかってきたのは、先月末のことでした。地域猫たちに餌やりボランティアを続けているノリコさんは、交番と聞いて、苦情でも入ったのかと、ちょっとドキドキしました。

ところが、お巡りさんの話というのは・・・・。「うちの縁の下で、ノラ猫が仔猫を産んでまもなくいなくなり、仔猫が啼いてうるさい」と、年配の住民夫婦が子猫を１匹交番に持ち込んできたというのです。交番のルールとしては、動物愛護センターに送ることになります。お巡りさんは、なんとかしたいと、地域で保護活動に関わっている人に、片っ端から電話をかけている、とのことでした。

　すぐにノリコさんが駆けつけると、洗濯ネットに入れられた生まれて間もない仔猫がピイピイ啼いていました。こんな小さなわが子を母猫が見捨てるとは思えませんから、交通事故に遭ったかして戻れないわけがあったのでしょう。

　店にはボルトくんという、去年店に迷い込んできた黒猫がいます。連れ帰った仔猫は

仮りの名をニコちゃんとつけられ、里親を探すことになりました。そのニコちゃんの面倒を、ボルトくんが見始めました！

　里子に出すと、心を決めたものの、ニコちゃんの愛らしさに、ノリコさんの心は揺れ、せめていつでも会いにいける近くの人にもらってほしい、と思いは募りました。

　そんなとき、学生時代の同級生で、いまは町内で建設業をやっていて店のお得意さんでもあるM氏が来店して、椅子の上で遊んでいるニコちゃんに一目惚れ。翌日、奥さんと一緒にやってきて、正式申し込み。

　奥さんは猫を飼ったことがなく、M氏も子供の時にしか飼ったことがないので、ただ今ノリコさんから猫との暮らし方をワクワクと勉強中。準備が整ったら、ニコちゃんはM家の箱入り娘になります。ノリコさんも、いつでも会いに行けるので、ほっとしています。

ただ、ボルトくんはちょっぴりさびしくなるね。近くだから、ニコちゃんをお店に連れてきてもらって再会できるといいね！

お知らせです。残り会期２９日（水曜）から６月２日（日曜）ですが、埼玉県川口市のカフェ・ド・アクタで「猫祭り」開催中です。猫雑貨いっぱい、壁も猫写真でいっぱい。猫写真は、人気ブログ「街を歩けば、そこに猫」のろっちさんコーナー、石垣島在住のマドカさんの「モロッコ猫旅」コーナー、そして私の「猫のいる道」コーナーと、たっぷり楽しめます。

　この店の看板猫ネロくんも、生まれてすぐ、母猫から引き離されて捨てられていた猫。お近くの方は、幸せになったネロ君にぜひ会いに行ってくださいね！

　（アクタ・・・川口市栄町２－８－４　　電話０４８－２５３－７５５５です）

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹茉莉子（さたけまりこ）

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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