[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

「うちで土地を貸している牧場におっきな猫がいるの。見に行きます？」と、誘ってくださったのは、手賀沼ほとりの農村にある馬小屋ギャラリー「志葉斎（しようさい）」のオーナー、ヨウコさん。去年の猫日記「昔猫的生活」でご紹介したティ―ガちゃんの飼い主です。
「行きます、行きます！」と二つ返事で、連休最後のきのう、案内してもらいました。ぽっかり浮かぶ雲の下、大利根川にかかる橋を渡り、茨城県利根町へ。「風RidingPark」という乗馬クラブもなさっている牧場です。

いました、いました！　牧場のかたが抱っこして連れてきてくれたミンクくん、うわさにたがわず、大きい！しかも　かなりの男前。

「大きいでしょう～　だけど、みんなで甘やかしすぎたもので、この子、狩りが苦手なんです（笑）」と、牧場のかた。よその牧場で生まれた仔猫の時に貰われてきて、6年。可愛がられすぎたのか、外見に似合わぬビビりくん。こんなにネズミやら鳥やらいっぱい獲物がいる、猫としたらわくわくする環境で、はじめての獲物を自慢そうに見せにきたのが4歳になってから。それも、脱皮したてのフニャフニャのザリガニだったとか。



　いまも語り草なのが、ネズミ騒動。牧場の備蓄飼料をネズミの害から守るためもあって、牧場には猫が飼われていることが多いそうですが、この牧場でも、数年前に飼料小屋にネズミが大発生したことがありました。そこで、猫の出番。「それっ」とばかり、ミンクくんと、当時いた子猫のアヤメちゃん（その後もらわれていった）の2匹を飼料小屋へ。アヤメちゃんは小さい体で果敢にネズミたちを追いかけたのですが、ミンクくんは・・・・。ギャアギャア叫んですくんでビビりまくっていただけだったんですって。

「いまも、鳥を狙うことは狙うんですが、とびかかる前にギャッギャッと大騒ぎするので、ハントに成功した試しがないんです」と牧場のかたに言われてしまったミンクくん。涼しい顔で「ボクの存在価値は、みんなに可愛がられることだもんね」とばかり、ベンチで爪とぎです。

　牧場生まれで牧場育ちの猫だけに、馬との距離は絶妙。我が物顔で牧場や厩舎内を歩き回り、好きな場所でお昼寝です。優しいお馬さんとは、こんな至近距離でも平気。

　
　
　牧場に、なんて猫は似合うのでしょう。ミンクくんのずっしり体型はいっそう牧歌的で、牧場のスタッフやお客さんたちのアイドルです。

「牧場をやってるひとは、根が動物好きだから、犬や猫も好きなひとばかり」と、ヨウコさんは言います。そう、ここにも、茶色い犬がいました。ジャイ子、5歳。

　

　牧場のかたの話では、5年前の選挙の日、村の投票所の入口に段ボール入りで、目もまだ開いてない子犬が5匹捨てられていたそうです。大雨の日で、３匹は助かりませんでしたが、2匹を牧場で保護。１匹は乗馬クラブのお客さんにもらわれ、ジャイ子は牧場の犬になったのでした。

　ジャイ子は一度、遠くにいってしまい、行方不明に。探し出したときは、遠く離れた他市の収容所で処分当日でした。ぎりぎりのところを迎えにきてもらったジャイ子さん、飼い主を見ておしっこをジャージャー漏らして全身で歓喜雀躍したそうです。2度もいのちを救ってもらったジャイ子さんは、番犬の仕事に熱心に打ち込んでいます。

「ボクは猫だもんね。仕事はごろんごろんしてることさ。よかったらまた来てね」とばかり、大顔の甘えん坊フェイスで見送ってくれたミンクくん。今度は乗馬しににくるからね！