[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

  ほうれん草、ネギ、白菜・・・。畑の葉ものが、秋の陽に光る季節です。「土の上は気持ちいいにゃ～」とばかり、畑でごろんごろんしているのは、ティーガちゃん。手賀沼のほとりの村の、馬小屋ギャラリー「志葉斎」の看板猫です。

  ティーガちゃんは、雨降りでない限り、おばあちゃんの畑仕事についていくのが日課です。

  おばあちゃんは、このあたりでは、「猫ばあ」と呼ばれています。以前は牧場を持っていて、馬小屋もあったこの家には、いつも拾われてきた猫がいました。まだ小さかったお孫さんが、おばあちゃんの周りに猫たちがちょろちょろしているのを見て、「猫ばあ」と名付けたそうです。

  だから、おばあちゃんの畑は「ねこ婆の畑」。「ねこ婆の畑」と、畑用の雨水を貯めるドラム缶にペイントしてくれたのは、馬小屋リフォームの塗装の仕事で出入りしていた青年です。

 　ティーガちゃんがここの猫になったいきさつは、以前の猫日記「昔猫的生活」でご紹介しましたが、畑の脇道で啼いているところを、志葉斎オーナーのヨーコさんに「うちにくる？」と声をかけられ、ついてきたのでした。なんて牧歌的な出会い！

 　ティーガちゃんと仲良しのおばあちゃんとのツーショットが撮りたいな、と思って、抱っこをお願いしてみたら、「ティーガは言うことなんてきかねえよう。そこらで勝手に遊んでる」と、おばあちゃん。それでこそ、村の猫です！

 

　というわけで、「ここは、正しくは、猫ばあとティーガの庭なの！」と、言いたげなティーガちゃんの向こうに、小さく映っているのが猫ばあ（向かって右）と、隣の畑のおばあちゃんです。

 

 　お向かいの農家では、去年畑に捨てられていた子猫３匹を、畑の持ち主のおばあちゃんが見つけ、「かわいそうに」と、全員家猫にしたそうです。なんておおらかな土地柄でしょう。

  志葉斎のヨーコさんが「猫がいる美味しい店」が近くにあると、教えてくれました。「裕（ゆう）」というご自宅レストラン。ここの猫はブラック＆ホワイト。白猫リビちゃんと黒猫クロちゃんの仲良し兄妹です。レストランを自宅で開くにあたり、家猫２匹のために陽の当たる「猫部屋」を造り、営業時間内だけはそこで過ごさせることに。店内から、猫の様子が見えるので、猫好きのお客様は大喜び。

  オーナーのひとり息子さんが猫好きで、小さいころから、捨て猫をほっておけないたち。リビクロきょうだいは、１２年前、息子さんが通っていた中学校の校庭に仔猫４匹段ボール入りで捨てられていたのだとか。
  担任の先生が生徒たちに里親を割り振って、「きみんちは、もう２匹いるから、あと２匹くらいいいよね」と、息子さんに持ち帰らせたそうです。
「あと２ひきくらいいいよね」という先生の論理も、それをすんなり受け入れた親子も、すごく好き！都会ではこうはいかないに違いありません。

　さて、これまで撮りためた村の猫たちの写真に、村の風景を織り交ぜた、「村の猫（こ）」写真展を、埼玉県川口市の喫茶店「カフェ・ド・アクタ」で明日６日から開きます。（黒猫ネロ君のいる店です）

  村、といっても、厳密な市町村の区分けではなく、漁村、里山、町はずれ・・といった、ゆるいくくりです。土の匂いのする場所、といったらいいでしょうか。そこで暮らす猫たちの表情や目の輝きに魅かれています。ニンゲンも猫たちも、生きとし生けるものたちがどんどん暮らしにくくなっていくこの頃。日の光も、土や草や潮風の匂いも、雑草の小道もみな、大切に愛しく思えてなりません。そんな思いを象徴する「村」で暮らす猫たちです。

 

  久しぶりに会って、ちょっとはにかんで視線を合わさない、漁村の猫。

 

  洗濯びよりの里山を歩く猫。

 

「カラスが騒ぐからあしたは雨か・・」とでも思っているのか、玄関先に座って、海のほうを見つめていた、なんとも人間くさい漁村の長老猫など、人ずれしてない猫たちがいっぱい。

  近辺のかた、村の猫たちに会いに来てくださったら、嬉しいです。

  カフェ・ド・アクタ
  川口市栄町２の８の４
  「村の猫」展・・・１１月６日（水）～１２月１日（日）まで。１２時～１９時

　　　　　　　　　　　定休日・・月曜・火曜・第２第４日曜