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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年11月19日

しょいかご猫「笑(えみ)」ちゃん

カヨコさんは、地元の町の鍼灸院に務める、笑顔のやさしい女性です。自宅で、カヨコさんが背負っているのは、背負い籠(しょいかご)。おや、中に入っているのは...お弁当でも野菜でもなくて、猫さんではありませんか!

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入っているのは、笑(えみ)ちゃん、5歳の雌猫。カヨコさんは、しょい籠の中の笑ちゃんに話しかけながら、ニコニコと掃除や台所仕事をするのが日課です。

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「笑は背中に飛び乗るのが好きで、背中から下りないので、肩が凝って凝って・・・それで、ネットでしょい籠を買ってみたんです。そしたら、笑はしょい籠がすっかり気に入ってしまって、私が籠を背負うとぴょんと飛び込み、この頃はこの体勢でいつも一緒に家事をしています(笑)~」
笑顔の絶えないカヨコさんですが、笑ちゃんがこの家にやってくる5年前、一家をあげて笑顔をなくしていたそうです。というのも、21年間可愛がっていた、愛猫を亡くしたから。美しくて、賢くて、性格がよくて、気高い純白の、カヨコさん一家にとっては唯一無二の猫、うーちゃんこと「卯(う)」ちゃんでした。
「また猫を飼おうという気がおきるどころか、うーちゃんの後を追って死んでしまいたいほどでした」と、カヨコさん。そんなとき、福島県南相馬に住む友人から「目も開いてない仔猫が草むらに捨てられていた」との情報が。うーちゃんと同じ「白い猫」と聞いて、カヨコさんの心はふっと動きました。
「子猫を 福島まで迎えにいったのは、またそばに猫がいて笑いかける毎日を取り戻したかったから。そうしないと、このまま一生笑うことを忘れそうだったんです」
そんな思いから、「笑」と名付けられた白い子猫は、なぜかだんだんグレイの色付きの、やんちゃ娘に育ち、一家に笑いを取り戻させていきました。

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「うーちゃんに比べたら、 もうおバカさんこの上ないんですけど、この子なりにまた可愛くって」と、カヨコさんの目尻はさがります。

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買ってもらったしょい籠をことのほか気に入った笑ちゃんは、カヨコさんが背負ってないときでも、こんなふうに、籠猫になっていることが多いそうです。

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 ほんとうに、見ているだけでニコニコしてしまう愛らしさの笑ちゃんです。南相馬で大きくなっていたとしても、大震災に遭って、生きのびられたか・・・。笑ちゃんにとっても、運命を左右する縁でした。
 そして、3年前。またまた運命の猫がこの家に舞い込んできました。裏庭に、ボロ雑巾のように白黒の小さな猫が捨てられていたのです。。身動きもできない瀕死の状態でした。

 「獣医さんに担ぎ込んだら、子猫だと思ったら大人の猫で、『もうこの猫は死んでいくところですから』と言う先生に頼み込んで点滴やらできうる限りの手当をしてもらい、助かりました。でも、このコは、ほとんど目が見えず、大人猫なのに、足も未発達でした」

 どうやら、悪質ブリーダーに、繁殖用にケージ飼いされて、用済みで捨てられた可能性が高い猫だったのです。遊んでもらうことも、爪を研ぐことも、走ることも知らず、触ろうとするとぎくっと身を固くするのでした。

 いっしょの部屋で暮らすことを、先住の笑ちゃんが断固拒否したため、「梵」ちゃんと名付けられた年齢不詳のこの雄猫は、カヨコさんのお母さまの和室で暮らすことに。最初は「えー、私の部屋でー?」と不承不承だったお母さま、すぐに、梵ちゃんが可愛くて可愛くてたまらなくなりました。いまでは、「きのうの夜は梵ちゃんがね~」というにっこにこの報告で朝が始まるのだそうです。

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梵ちゃんは、目が不自由でも、部屋の中を走り回り、「ごあ~~ん」という催促をはじめ、「お帰り~」「遅かったね~」など、「ニャ~ヒャ~」と抑揚をつけて、たくさんおしゃべりするそうです。梵ちゃんもお母さんにとってなくてはならない相棒になっています。

 カヨコさんのベッドの上には、亡きうーちゃんの写真が置かれています。
「笑ちゃんと梵ちゃんを助けてくれてありがとう」と、言っているように、私には見えました。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

笑ちゃんふわっふわ!とても可愛がられているんですね。梵ちゃんもカヨコさんの家に拾われて本当によかったです。このブログを見ていると猫を幸せにできる人と寂しい猫が、まるで月下老人が赤い首輪でつないだかのように(笑)、うまく出会っていて、すごいなと思います。

by 名無し 2013-11-19 14:20

背負籠の中からこちらを見ているお顔、なんて可愛いんでしょう~*
ご家族みんなを笑顔にしてくれる、笑ちゃん梵ちゃん 
このご縁はうーちゃんがくれたのもに違いないですね(^O^)/
二人の猫ちゃんも幸せなはず、素敵なお話をありがとうございます。

by りょう 2013-11-19 16:12

ホントに いつもいつも心温まる出会いのお話しに心が洗われます
肉球を怪我したnyaaを今家に閉じ込めていて、わたしもかなりのストレスを感じています
今日が火曜日だとさっき気づいてここにきて、癒されました(^.^)

わたしもしょいカゴにnyaaを入れて家事をしたいです(=_=)

by にゃにゃ 2013-11-19 16:13

「ひとつのいのちを救う者が多くのいのちを救う」

そんな感動を頂きました。

by hidaka33 2013-11-19 18:46

私も!しょい籠、欲しいです!

by ちったーれ 2013-11-19 19:59

笑ちゃんはもとより、お母さんとぼんちゃんが幸せで癒されました。
わたしも環境が整ったらぜひ、震災のえいきょ

by あんたろう 2013-11-19 20:25

毎回このブログを楽しみにしています。笑ちゃん、こちらもつい笑顔になるかわいさですね!
梵ちゃんも幸せそう。このおうちに来て、本当に良かったですね。

by ももくる 2013-11-19 22:55

泣けました。
なんて命のある言葉がつまっているのでしょう。
ありがとうございます。

by 純子 2013-11-19 23:18

こんばんは。
1日の締めくくりとして、最高のお話を、聞かせて頂きました。
心温まるお話、ありがとうございました。
愛護とは・・・命の平等とは・・・難しく考えなくてもこのブログを拝見すれば、理解できますもの。できることをコツコツと・・・

by こまめ 2013-11-19 23:30

笑ちゃんかわいい〜♡

・・悪質ブリーダー憎いです!!!!
梵ちゃん、もっと幸せになるんだよ〜!

by akiko 2013-11-21 07:57

>みなさま

 笑ちゃん梵ちゃんにメッセージありがとうございます。

 ほんとうに、神様の采配(猫天使になったうーちゃんが申請?)としか思えない縁ですよね。

 カヨコさんにとって、梵ちゃんは「死んでいく猫」ではなく、「いま、生きている猫」だったということ。人間がなすべきことの本質を教えられます。

by 道ばた猫 2013-11-22 12:02

最後にうーちゃんの写真が出てきて涙がでてきちゃいました。カヨコさんのお気持ちも充分わかります。
でもきっとそんな人のところに家族として迎えられる子は現れるんですよね・・・。

by りんりん 2013-11-27 09:21

笑ちゃん、梵ちゃん、しあわせにしてもらって良かったね~☆

カヨ子さんご一家も しあわせになって 良かった ~☆

この記事を読んで わたしも しあわせな気持ちになりました~☆

by ruineko 2013-12-01 21:55

笑ちゃん、梵ちゃん、しあわせにしてもらって良かったね~☆

カヨ子さんご一家も しあわせになって 良かった ~☆

この記事を読んで わたしも しあわせな気持ちになりました~☆

by ruineko 2013-12-01 21:56

出会うべくして、やってきた子でしょうか。

笑ちゃんの、籠入りの姿にとっても和まされました。

by Emi 2014-01-24 12:03

>Emiさん

 出会うべくして・・ホントにそう思います! 大事にされて天国へ行った猫は、必ず次の猫を差し向けるんだと(笑)思います~ 「ここなら幸せになるよ」って。

by 道ばた猫 2014-01-27 12:40