道ばた猫日記
2014年07月22日
チャコは、2か月ちょっとくらいの愛らしい茶トラの女の子。
その日、私が被っていった麦わら帽子が気に入って、中にちょこんと座ってゴロゴロ言い始めました。でも、こっちを見上げる目の中には、まだ人間への警戒心がほんのちょっぴり残っています。
「ほんとうに人間はいいものかしら」というのは、童話「手袋を買いに」の最後にお母さん狐がつぶやく言葉ですが、チャコもそう思ってるところかもしれません。
なぜなら、幼いチャコにひどい仕打ちをしたのも人間なら、そのチャコを救ってくれたのも人間たちだったから。
チャコのSOSを最初に聞きつけたのは、ルイさん。そう、道ばた猫日記に何回か登場の、あの猫助っ人です。
ルイさんは、その日、バタバタしていました。自分も飼い猫カムイも絶不調のなか、父の納骨のための帰省を明後日に控えていたのです。することが山積みでした。お昼には友人のH氏と会う約束があって、H氏が車で迎えにくる時間はもうすぐ。
ルイさんは高層住宅の5階に住んでいます。出かける前に急いでベランダで洗濯物を干していたとき。
真下で「ニャッ、ニャッ!!」という甲高い子猫の声。救いを求める必死な鳴きかたです。見ると、交差点に面した植え込みから、まさに、黄色い子猫が高層住宅の玄関がわの植え込みに走り込むところ。駅近くの交通量の多いところですから、子猫が歩いてきたとは思えません。通りから、植え込みに投げ込まれたばかり、としか考えられない状況でした。
「見なかったことにしよう・・・」
とっさにルイさんはそう思いました。いつもいつも後先考えず捨て猫を拾ってきたけれど、いっぱいいっぱいの今はゼッタイに無理!! 子猫なんて抱え込んだら、もう体がもたない・・・。
でも、数分後には、ケージと猫缶とお皿を持って、下におりていました。
餌でつっても、つかまらないので、違う階に住む猫友達のチセさんにケイタイでSOS。チセさんはすぐに駆けつけてくれました。子猫は餌はガツガツ食べるのですが、ちょっと近寄ると、たちまち飛びのいて、時間はたつばかり。
そこへやってきたのが、若い植木職人さんふたり。植え込みの刈り込みの日だったのです。刈り込みが始まれば、隠れ場所のなくなった子猫は、通りに飛び出して車に轢かれてしまうかも・・・。H氏がやってくる時間も迫っていました。
時間切れのルイさんは、職人さんたちに事情を話し、ケージを差し出して「もし子猫を保護できたら、この中に入れて、ケイタイで呼び出してもらえないかしら。すぐ受け取りにきますから」と頼みました。気のよさそうな若者ふたりは「いいよ」とこころよく引き受けてくれました。
ルイさんたちがエレベーターホールに戻るのも待たず、「捕まえたよ~」と、職人さんのひとりが追いかけてきました。嬉しそうにニコニコしているけれど、ケージをぶら下げたその手が血だらけ! 捕まえた時、パニックになった子猫にひっかかれたり噛みつかれたりしたのに、その手を離さず保護してくれたのでした。(もちろん、ちゃんと傷の手当てをして、お茶とお菓子を差し入れたそうです)
直後、約束の時間に車でやってきたのが、H氏。
「はい、おみやげ」とルイさんから子猫入りのケージを差し出されて、「えーーー」と、目を白黒。事情を聴くと、すぐに奥さんに連絡をとってくれて、ルイさんと子猫を乗せてUターン。自宅につくと、猫トイレから猫ベッドまですべて用意してありました。これまでも、カラスにつつかれていた子猫4匹を保護して里親を見つけた経験のあるご夫婦なのです。
というわけで、何人ものリレーで、助かった小さないのち。チャコは、現在、H氏宅で預かり中。近場で里親を探しています。見つからないときは、そのままH家の子になりそうな気配です。
チャコは、「一枚トラ」の女の子でした。茶トラの猫は、たいがいお腹や足先などに白い毛があるものですが、全身がトラ柄で覆われた猫を「一枚トラ」といいます。なかでもメスの一枚トラは珍しいのだそうです。
まだお客さんが怖くて、初対面はカーペットの下にもぐりこんで隠れたつもりでいた(小さな膨らみがあるのでバレバレ)チャコでしたが、紐で遊んであげると、すぐに目がピカピカに。
「にんげんって、いじわるなの? やさしいの?」
一緒に遊んだあと、警戒心のほどけた無垢な目が問いかけます。
「ごめんね。チャコはこうしてやさしい人たちに助けられたけど、助けてあげられなかった命がいっぱいあるの。でも、やさしい人たちが手を繋いで、みんなが安心して生きられるようにしていくからね」としか、心のなかでつぶやくことしかできない私でした。
とても素敵なお話でした。命はみんな平等であってほしいと切に願います。
飼い猫のむぎに会いたくなったので仕事はもう終わりにして帰ります
by xi 2014-07-22 20:21
>xiさま
お仕事を早く終わらせて帰ってきてくれる飼い主を持ったむぎちゃん(くん?)は、幸せ猫ですね!
by 道ばた猫 2014-07-22 22:41
チャコさんは神戸方面で保護されているのですか?
by 射手矢一恵 2014-07-22 23:01
私の家にも、ほってはおけずうちの子になった6ニャンがいます。すべての子を助けられませんが、今いるニャンたちを幸せにしてあげたいと改めて思いました。いつも素敵なお話をありがとうございます。
by メイ 2014-07-22 23:08
>射手矢一恵さん
チャコの保護されたのは、千葉県です。愛猫を老衰で見送ったご家庭と木曜にお見合いだそうです。その後のチャコのことも、猫日記で紹介したいと思ってます~
by 道ばた猫 2014-07-22 23:35
我が家も、捨て猫だったのを保護され、里親募集でやってきた「一枚トラの女の子」がいます。人ごととは思えませんでした。
素敵なご縁がありますように★
(でも、H氏の御宅でも幸せそうですね^_^)
by りょこ 2014-07-22 23:38
千葉県ですか。残念です。わが家にも4匹いたのですが次、次と寿命を全うし今は一匹になり淋しそうにしていたものですから。チャコさん、幸せになってね。また、ブログで会えたら嬉しいです。
by 射手矢一恵 2014-07-22 23:49
>メイさん
6ニャンのママですか~ それは元気でいなくちゃ、って張り合いがありますね。うちも5ニャンですから、張合い大有り(笑)。
by 道ばた猫 2014-07-23 08:34
>りょこさん
>射手矢さん
H氏宅には、ノラ母さんが縁の下で産んだソックスくんという先住猫がいるのですが、チャコはソックスくんと仲良くなって、追いかけっこをしているそうです。もらわれていっても、残っても、幸せになること間違いなしだと思います!
by 道ばた猫 2014-07-23 08:38
毎回、こんなふうに温かい人達に保護されていくにゃんこのお話を読むたびに涙が出てきます。たまたまのご縁なんでしょうけどこうやって保護されるにゃんこはほんの一部なんでしょうね。我が家も6にゃん
保護した子達ですけど、偶然の出会いで我が家にいるかと思うと本当に愛おしく思えて仕方がありません。野良として生きていく方法もあるのでしょうけど、どうか少しずつでもお家のある猫たちが増えますように・・・。
by りんりん 2014-07-23 09:25
**人間はみんなやさしいよ!**ってチャコちゃんに言ってあげたい・・・
by みゅうねこ 2014-07-23 11:14
佐竹さんの持ち物は、いつもにゃんこのお気に入りになりますね(^v^)
わたし茶トラのメスを飼うことが夢なんですよね~
nyaaに連れてくるように頼んでるんですけど、ケンカばっかり・・・(=_=)
by にゃにゃ 2014-07-23 13:44
いつも楽しみにしています♪
私も最近衣装ケースに入れて捨てられていた2匹の茶トラ兄弟を保護しました。
里親さんもみつかって、今は預かり中です。
せま〜いお家に6にゃんですが、すごく、すごく癒されて元気をもらってます♡
小さないのち。かけがえのないたった一つのいのち。世界中のにゃんたちがみーんな幸せなにゃん生をおくれるような世の中になりますように꒰ ♡´∀`♡ ꒱
by にゃにゃにゃにゃにゃにゃん 2014-07-23 16:01
茉莉子さん、いつも楽しみにしています(^^♪
チャコちゃん、よかったね!
我が家にも縞三毛と黒白ちゃんがやって来ました
里親募集サイトを見ていて、縞三毛の仔猫ちゃんに目が行き、問い合わせをしたら、うちの地元でNPOで動物を保護したりされているとのこと。
出来れば姉妹で2匹欲しかったのでお願いすると、大人猫の黒白ちゃんも仲良しですよとのお話だったので、引き取り手の見つかりにくい大人猫さんとのペアで譲渡してもらいました。
縞三毛さんは、兄弟4匹で公園に捨てられていて、保健所に持ち込まれた子だそうです。
先週の土曜に家に来て、大人猫さんはまだまだ慣れないけれど、少しづつ心を開いてくれているようです。
家で、幸せになって欲しいです(^^)/
by るな 2014-07-23 21:26
>りんりんさん
>みゅうねこさん
>にゃにゃにゃにゃにゃにゃん(あってるかな?)さん
こうして保護されて可愛がられる子のかげには、見つけてもらえなかった子やノラになった子もいるわけで・・・・こういう手の差し伸べ方もある、という様々なケースを紹介できれば、と思っています。飼い猫からもノラからも「ニンゲンっていいな」と思ってもらえる世の中にしたいですね!
by 道ばた猫 2014-07-23 22:16
>にゃにゃさん
nyaaくん、元気ですかっ? 近況知りたいです ブログ再開待ち望んでます!
by 道ばた猫 2014-07-23 22:19
>るなさん
そろそろ子猫が来た頃かなあ~と思ってました。三毛こねこちゃんと仲良しの大人猫まで引き取ったのは素敵な選択でしたね!、
by 道ばた猫 2014-07-23 22:21
チャコちゃんは、先住ネコさんが亡くなって10年くらい経ったご家庭で、新しい生活をはじめました。
中学生の男の子のご兄弟がいて、お子さん達もチャコちゃんをとても気に入ってくれました。
今では、下のお子さんが名付け親となったクーちゃんという新しい名前で元気に走り回っています。
クーちゃんは生活力のある闊達な印象のネコちゃんなので、新しいおうちで家族みんなをとてもハッピーにしてくれていると思います。
by 平山 2014-07-28 06:06
>H氏こと平山さん
嬉しい報告、ありがとうございます!!
お近くのとてもいいご家庭で、クーちゃんとして、終生愛されるのですね~よかったよかった。
くーちゃんは、捨てられた植え込みでじっとしていたら、みつけてもらえたかどうか。車道と反対に逃 げ込んだり、つかまるときに噛みついたりと、なかなか賢く生命力のある女の子。成長がたのしみ で すね~
くーちゃんのその後も、猫日記でご紹介する予定です。
平山さん、いま、嬉しいのと寂しいのと、半々のお気持ちではないですか? ほんとうにありがとうご ざいました!
by 道ばた猫 2014-07-28 10:44
nyaaのことを気にかけていただきありがとうございます
ブログはgooブログに移行し、ちょっと前に久しぶりに更新しました
ただ・・・悪乗りしたら苦情が・・・(^_^;)
by にゃにゃ 2014-07-31 10:50
>にゃにゃさん
nyaaくん、それでも毎日帰ってくるんですね~ うちのケンジはめったに帰らず(居場所は3軒さきのT家)、たま~に帰ってきたときは「記念写真」撮ってます(笑)。うちの子なのに・・・。
by 道ばた猫 2014-08-01 00:30