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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2014年07月29日

デイサービスの癒し猫たち

 松戸市の住宅地路地にある「あやめデイサービス」には、3匹の猫がいます。おでん(5歳♂)に茶めし(5歳♂)に福太郎(16歳♂)。みんな元ノラ。いまは、ふくよかなおっとり猫たちです。

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 大テーブルの上でくつろいでいるのは、おでんと茶めし兄弟。ちょび髭があるのが茶めし、ないのがおでんです。2匹は、4年前の晩秋、手のひらに乗る小ささの時、ここにやってきました。よその庭で、ノラ母さんが産んだ子でした。ちょうどもらわれてきた日の、デイサービスの昼食の献立がおでんに茶めし。そのまま、子猫たちの名前になりました。

 2匹がやってくる前、2階の所長さん一家のお住まいには「福太郎」という猫がいました。

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 福ちゃんももと捨て猫。近所に捨てられていたのを、娘さんが拾って連れ帰ったそうです。おでん茶めしがやってくるまでは階下にはあまり下りてこなかったのですが、2匹が階下のデイサービスでお年寄りたちに大人気なのを見て、いつしか自分も参加。今では、3匹揃って、あやめデイサービスになくてはならない癒し猫をしています。

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「3匹とも性格温厚で、立派なアニマルセラピストなんですよ~」と、スタッフのかたも太鼓判。3匹は、室内を歩き回って、そっとお年寄りのかたわらに寄り添います。
 
椅子でうとうとしていた利用者のかたに、スタッフが「おでんを撫でてやってくださいね~」と声をかけました。昼間に寝ては、生活リズムが乱れてしまうから。


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 お年寄りが机に突っ伏して寝てしまったりすると、おでんは、そっと頭突きをするようにして「起きようね~」と、促すそうです。

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 茶めしは、お手玉に目がなく、お手玉タイムの時は、みんなが投げ上げるお手玉を片っ端から持ち逃げして抱え込み、笑いを誘います。自分もお手玉をしたいのでしょうね~

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 あやめデイサービスは、「家庭の中で家族のように過ごしてほしい」という理念のもとに運営されています。つまり、ここは猫が3匹いる「家庭」。兄弟猫をもらい受けて3匹になったとき、「猫の苦手な方はお断り」という方針にしようかと、思ったこともあったとか。でも、猫嫌いの方はひとりも現れませんでした。猫に興味のない方はもちろんいたのですが、3匹と接するうちに、「猫がそばにいるのは当たり前」という感じで、撫でたりもするように。

「とにかくみんな笑顔になりますね。何かの拍子に駄々をこねるかたもたまにいらっしゃいますが、そんなとき、猫を連れてくると、すぐに気分が変わって機嫌がなおります」

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 カードをめくって色合わせをするゲームが始まりました。「ぼくもいれて」と、おでんが駆け寄ってきます。

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 卓上でころがって、カードゲームに参加しているつもりの、おでん。穏やかな時間が流れます。

 ここでは、毎月1日に、利用者のかたの体重を測るのですが、3匹の体重も必ずそのとき測ります。現在、3匹合わせて、22.7キロ! 周りを笑顔にしてくれる幸せ太り猫たちです。猫がいる福祉現場、もっともっと増えるといいですね!

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

ノラ猫ちゃんも、このような施設で とても役に立つことが出来、
立派にお仕事をしたり、人を癒してあげることが出来るのだから
これからこのように 飼い主のいないノラちゃんを、有効活用するようにすれば
人間と動物の両者にとって、とても居心地の良い社会になると思いますね♪(^-^)

とても素敵な 試みだと思いました❤(*^_^*)
おでんに茶めしに福太郎、3匹共、とっても可愛らしい子達だと思いました~。

by 紅お蝶 2014-07-29 15:29

すごい!

動物を飼う福祉現場は多いのですが猫は初めて聞きました。
アニマルセラピーってどちらかと言えば犬ばかりが多くて猫ってあまり登場しないんですよね
いつも疑問に思ってました。
私は猫好きなので猫のいる福祉現場に憧れてます。いろいろ弊害があるかもしれないですが、この記事を読むと猫がいても大丈夫なんだって思えます。
猫ちゃんたちも子猫からお世話になっている場所だから恩返ししているのかも♪

by NIEE 2014-07-29 15:42

家庭の中で家族のように過ごしてほしいっていいね。

by toumeipaint 2014-07-29 16:58

猫ちゃん達と利用者さんの…癒しの時間が素晴らしいですねっ。
この様な時間を過ごすことが出来る…ディサービスも少ないので、素晴らしいと思いました。
私も猫を飼ってます…癒されますよねっ。

by mitsuko 2014-07-29 17:48

見ているだけで癒されているのが伝わってきます。
猫ちゃんたちも皆さんを見守っているようで微笑ましいですね!!
ふわふわした猫ちゃんたちの毛並みがおばあちゃんたちの脳も活性化してくれそうですね(^^)/

by マーサ 2014-07-29 18:28

 別の方も書かれてますがアニマルセラピーというと私も犬が多い印象なので今回の猫日記は格別に嬉しい便りです。うちのも元野良♂ですがひとにツメを出してひっかいたりなんてありません。
 こういった施設さんがもっと増えると・・・私も将来入れてぇ!!♪

by クックロネコ 2014-07-29 22:10

>紅お蝶さん

 ほんと、人間にとっても猫にとっても、お互いに有益な試みですよね~ 室内の雰囲気がのんびり穏やかなので、猫たちも穏やかないい子たちでした!

by 道ばた猫 2014-07-29 22:30

>NIEEさん

 たしかに子猫の時からお年寄りたちに混じっているので、阿吽の呼吸がわかるのかも。猫は、犬のようにはセラピーアニマルの訓練はできなくとも、そのままそこにいるだけで、触らせてくれるだけで、ゴロゴロ言ってくれるだけで、どれほどのセラーピー効果があることでしょう。

by 道ばた猫 2014-07-29 22:39

>toumeipaintさん
>mitsukoさん
>マーサさん

 スタッフは全員猫好きで、少人数のこぢんまりした家族的デイサービスだからこそ、この試みがうまくいっているのでしょうね。デイサービスもいろいろな特色を出して、選べるようになると楽しいですね。私は、ゼッタイここのような猫のいるところがいいです(笑)。

by 道ばた猫 2014-07-29 22:45

>クックロネコさん

 おでんくんは、大地震のあと、行方不明になり、外に飛び出したのかとみんなで一日探し回ったそうですが、なんと、ゼッタイは入れないような狭ーい家具のすきまの奥でビビッていたそうです。そんなやさしく繊細な猫たちなんです。介護現場にぴったりですね!

by 道ばた猫 2014-07-29 22:57

愛し愛されて、相手に何かを与えることで、生きる力って湧いてくるんだなって
記事を読んで思いました。
猫ちゃんたちの顔つきがとってもほこらしそう。みんないいお顔。
「お仕事してるんにゃん」って言う感じ(それもゆるやかな)の使命感が伝わって来ます。
こういう施設が、もっともっとふえるといいなあ。わたしもこういうとこに入りたい!
おでん、茶飯、福太郎…ほかほかでおいしそうでいい「にゃまえ」ですね。

by あずみん 2014-07-30 09:36

>あずみんさん

 猫アレルギーのかたもいらっしゃるから、利用者側が選べる場所、たとえば、喫茶店、食堂、本屋さん、雑貨屋さん、デイサービス・・・または、大学やお寺、農園などの広い場所に猫たちがもっともっと保護され、緩やかに働いてもらえれば楽しいですね~

by 道ばた猫 2014-07-30 11:58

テーブルの下から見上げている茶めし(?)の姿は、セラピードッグ・・・にみえるほど
立派な体型^m^
幸せ太りですね きっと

by にゃにゃ 2014-07-31 10:47

>はい、茶めしくんです。みんなでタオルをたたむ作業の監督中なんですよ~。

by 道ばた猫 2014-08-01 00:34

凄い! こういう施設本当に増えて欲しい!
処分するんじゃなくてこういう施設で飼育して欲しい!!

by しましま 2014-08-01 12:42

>しましまさん

そう、こういう施設がふえてこそ、本当の共生現場ですよね!!

by 道ばた猫 2014-08-01 21:04