岩津さんに聞く!
2014年09月12日
みにゃさま、こんにちは。今回は、お客さまから寄せられたお悩みを解決するために、岩津さんがお宅訪問してコミュニケーションするという企画です。
お悩みをお寄せいただいたのは、和歌山にお住いのMさんご夫妻。なんと合計10匹の猫さんたちと暮らしていらっしゃいます。現在、最年長の11歳 クーちゃんを筆頭に保護猫や拾ったネコを家族に迎えているうちに10匹まで増えたそうです。さらには2年前に猫たちにピッタリの環境を求めて大阪から移住されたというから驚きです。
そのお悩みはというと、一家のボス的存在の「クーちゃん」がほかの猫たちをいじめるというものです。ほかの猫たちがクーちゃんを恐れておしっこを漏らしたり、より気が弱い子にしわ寄せがいってるようで、ギクシャクした関係になっています。
くーちゃんは女の子なのですが、マーキングのようにトイレとは違う場所におしっこをしてしまいます。そして柵の外には決して出ず、庭の外から帰ってきた猫を追いかけ回したりもします。
いったい何が原因なのか、岩津さんに猫たちとじっくりお話ししていただきました。
こちらが今回の主役 クーちゃんです。童顔のかわいい顔した11歳の女の子。初めて訪問した私たちにも愛嬌を振りまいて、とても猫たちをいじめる子とは思えません。
さっそくごあいさつから入りました。
Mさんのおうちは郊外の一戸建てで広々としたお庭付き、柵を越えれば周囲には畑が広がり猫たちも出入り自由。ご近所さんにもかわいがられているという、猫たちにとってはまさに夢のような環境です。
一応、外とは2mの柵があるものの、外に出たい子はよじ登って出ていきました(笑)
話をするためにクーちゃんの側に行くと、転がったり足を伸ばしたりと一見くつろいでいるように見えますが、目が合うと射抜くような鋭い目つきです。いくら話しかけても心を開いてくれません。どうやら、そばにいるご夫妻の会話が気になり、話をするどころではないようです。ご夫妻には席を外してもらい、ふたりきりになって再度話しかけます。
「ねえ、何か気に入らないことがあるの? 何か伝えたいことや希望があれば教えてもらえないかな? 家族全員が心配してるのよ。」と言うと、伏せていた頭を起こし、キッと私をにらみつけ、「何が家族よ!家族なんて気安く言わないで!」と怒り出しました。実際、なでていた手に軽く爪を立てられました。
怒りながらも深い悲しみを目の奥にたたえています。「やっぱり何かあったのね?」と言うと、「何にも聞いてない!」と吐き捨てるように言い、そっぽを向いてしまいました。
この一言で彼女の心が開き、過去の映像が次々と見えてきました。
今いる10匹の中で、一番古株のクー。大好きなMさんご夫妻を家族・親として、何ひとつ疑うことなく信頼していました。
ところが家族であるはずなのに、クーちゃんには新たな家族を迎えるための相談も、迎えた後の紹介も無く、次々と新しい猫が迎えられます。とまどいながらも、親を信じようと最初は受け入れてきました。しかし、一向に相談も紹介も無いまま、猫の数は増えていく一方。ご夫妻がほかの子のお世話をし、かわいがっている姿を見て、寂しさと疎外感は日に日に強くなり、このままでは私が忘れられてしまうのでは?と恐怖さえ覚えるようになりました。
そしてクーちゃんの悲しさと悔しさ、怒りは、ほかの猫たちに向けられるようになりました。「私のママとパパなんだからね!私たち3人だけが本当の家族なの!ここは私たちの家なんだから、みんな勘違いしないで!」と彼女の考えつく限りのありとあらゆる方法で、ほかの子たちに見せつけます。
彼女が他の子たちをいじめればいじめるほど、ご夫妻はその子たちをかばい、またクーちゃんはそのかばわれた子をいじめる。彼女の「誇示」は止むことなく、エスカレートする一方です。
今まであったことを見終え、私が「辛かったね。寂しかったね。」と話しかけると、クーちゃんは泣き出しそうな表情でうつむいています。目に鋭さは消え、「寂しい」という素直な感情を向けてくれています。
「ねえ、ママもパパも必死だったのよ。あなたの遊び相手としてもいいと思ったし、あなたなら分かってくれてると思って甘えてしまったの。遅くなったけど、今からあなたをみんなのお姉ちゃんとして紹介してもいい?」と尋ねると、こくりとうなずきました。
そこで、Mさんご夫妻には、「まず今までのことをクーに謝ってあげてください。そして、クーの後に迎えた猫たちを一匹ずつ、クーをお姉ちゃんとして紹介すること。お姉ちゃんとして頼りにしていると日々伝えてあげてください」とお願いしました。
いろいろな謎が解けてきました。
夫妻の会話に敏感になっていたのは、また新たな子が入ってくるのではないかと聞き耳を立てていたからです。
出入り自由なのに、外に出ないのは、「私の家」だと常に誇示するため。
トイレ以外でおしっこをするのは、私の家(なわばり)という主張。
童顔なのは、甘えられなかったため子どものころで時が止まっているから。。。
コミュニケーションも終わり、Mさんご夫妻にも結果をお伝えし終えると、クーちゃんは「待ってました!」と言いたげに「何か私に言うことがあるんじゃないの?」とご夫妻の前をウロウロと行ったり来たり。心に溜まっていたことが言えて、すっきりした表情です。
「頼りにしてるからね、クーお姉ちゃん。クーちゃんしかみんなを任せられないわ。お願いね。」と言うと、うれしそうにお庭に出て、おしりふりふり、ぴょんぴょん跳ねて体いっぱい喜びを表していました。
10年近くの時を取り戻すべく、家族全員さらにしあわせになっていただきたいと願ってお宅をあとにしました。
さっそくMさんはその日の晩、クーに謝り、1匹ずつ猫たちを紹介したそうです。数日後、Mさんから経過をお知らせいただきました。
クーはあれからトイレ以外の場所におしっこひっかけることがなくなりました! あと、一度だけ外から帰った猫を追いかけましたが、驚くことにそれ以外は誰ともけんかしていません。そしてなぜか毎日よく寝ています。
今まで必要以上に気を張って神経が高ぶり、かなり疲れていたからだと思います。これからは心安らかに暮らせますね。
このように多頭飼いのお悩みはしばしば見られるケースです。どうぞご参考にしてくださいね。
猫部スタッフも岩津さんに同行してそばで見ていましたが、コミュニケーション後は本当にクーちゃんの顔つきが変わったのには驚きました。
クーちゃんのほかにも驚くような変化が見られた猫さんがいたのですが、長くなりましたので次回に続きます!
クーちゃん 淋しかったね。でもこれでスッキリしたね 良かったです。
うちも多頭飼いなのでなんとなくわかるような気がします。
私もニャンコとお話できれば・・・とおもいます。
by ちっころ 2014-09-12 13:55
人と人も、結構話さないとわからないことってありもすよね。お互いわかってもらっているつもり、わかっているつもり、って、ことあります。
猫さんにもきちんと理解を求めて、話すことがたいせつなんですね。
くーちゃんが、リラックスしてよく眠れるようになったとあって、読んでいてうれしくなりました。
by とっとろ 2014-09-12 14:09
何故、最初にコミニュケーションを取るのを怠ったのかが分からない。
色々、ボロカス言いたい面はあるが
ま、落ち着いて良かったですね。
by そが さねあき 2014-09-12 16:25
猫は人間の言葉をきちんと理解していますからね。
私は猫ボラとして被災地へレスキューに行ったり、自宅に保護猫を入れることがあるのですがその際には必ず「○○ちゃん(愛猫の名前)の仲間を助けに行ってくるからね。お留守番お願いね」、「ずっとのおうちが見つかるまで、(保護猫が)うちにいることを許してね」と口に出して伝えています。
by かおりんご 2014-09-12 20:19
4枚目の写真の、岩津さんと一緒にお庭で寛いでいる
クーちゃんの表情が、目が吊り上がっていて どこか怒っている様な
でも可愛い 何とも言えない表情だと思いました。
そっかー・・。猫の方は 人間の言葉が何となくわかるから
何かあったら自分にも、それを話して欲しい、事情を説明して欲しい、相談して欲しい、と
思っているんですね~・・・。ビックリです!!
クーちゃんが「何にも聞いてない!」とか「私達3人だけが本当の家族なの!」とか
そんな事を岩津さんに伝えて来たなんて、猫もそんな気持ちを抱くのですね・・・。
私も近所で関わる猫ちゃん達に、今まで以上にキチンと声をかけ
自分が思っていることをちゃんと伝え、説明をし、猫ちゃん達の気持ちも聞いてみるように
誠実なコミュニケーションして行きたいな・・・と思いました♪(^-^)
by 紅お蝶 2014-09-12 23:18
>ちっころ様
10年分の思いがすっきりしたお顔を見て、心の底から良かったと思いました(*^_^*)
by 岩津 2014-09-13 13:11
>とっとろ様
人間でもよくあることですよね。
くーちゃん、優しいお顔でぐっすり眠ってる姿が目に浮かび、私もうれしいです。
by 岩津 2014-09-13 13:36
>そが さねあき様
家族として再スタート!です。
by 岩津 2014-09-13 13:38
>かおりんご様
レスキューや保護、頭が下がります。
人に対しても、言葉にして伝えることを忘れたり甘えたりしがちです。
それを、動物にきちっとされている。
素晴らしいことだと思います。
by 岩津 2014-09-13 13:43
>紅お蝶様
そうなんです!4枚目の写真はコミュニケーション前なので、目が鋭いんです。
猫さんたちは、私たちと「きもち」は同じです。同じように感じて、思うんです。
どんな子も、お話しすると真剣に聞いてくれますよ。
動物の世界での噂の広まり方は驚くほど早いので、紅お蝶さんの誠実さがあっという間に広がるかもしれませんね=^_^=
by 岩津 2014-09-13 13:51
はじめまして。
フェリシモさんから発売されていた本を読んで感動して、こちらのサイトを知りました。
動物、特に猫が大好きで、出来たら猫を飼って、猫に関わる仕事をしたいと考えていたのですが、なんと猫アレルギーだと検査でわかってしまい…とてもショックを受けています。
猫アレルギーでも猫の命を助けたり、そんな仕事をされている方はいらっしゃいますか?
こんな相談の書き込みをしてすみません(>_<)
動物とお話できるって、本当に素晴らしいですね(^-^)
by ブルーノ 2014-09-15 21:13
>ブルーノ様
はじめまして。
本、読んでいただいてありがとうございます!
ここだけの話ですが、和歌山の10匹猫ちゃんのお父さんは猫アレルギーなんですよ(=^・^=)
軽い猫アレルギーで、保護活動されていたり猫を飼っておられる方の話はよく聞きます。
by 岩津 2014-09-16 09:40
はじめまして。
私の家の猫あんちゃん(メス、4歳)もクーちゃんと同じ気持ちなのかな。と考えてしまいました。
4か月前に、家の庭で眼が病気でつぶれてい子猫がいました。衰弱していたので、すぐに保護して病院で見て頂き、そのまま家猫に迎えいれました。(オス、カイ君)あんちゃんは子猫のころからよく話をしていて、私が言っていることをよく理解しています。なので、カイ君を保護した時は、病気のこと、その後家でずっと生活することを話してましたが、あんちゃんはなかなか受け入れられなくて、いつもカイ君を見ては唸って怒ってます。そのころから、私があんちゃんを触ると、唸って怒ったり、爪をたてたりします。ただ、外からかえって来たとき、ご飯のときと、夜寝るときは喉を鳴らして寄ってくるくらい。カイ君がいることで、寂しい思い、落ち着かない思いをさせているのかなと考えてしまいます。毎日あんちゃん、「大好きだよ」と言っていて話かけているのは伝わっているのかな?なんて思いました。もちろん、カイ君にも「大好きだよ」と伝えてます。(あんちゃんに見えないように)あんちゃんとカイ君が穏やかに暮らせるように、これからもたくさん会話したいと思います。
長々と、私のことばかりですみませんでした。
by あんこ 2014-09-23 22:52
>あんこ様
猫さんは、原因となったことの説明が必要です。
どんなに、「ごめんね」と言っても、何に対して謝っているのか、そして事情を説明しないと受け入れてはくれません。
そして、「だいすきよ」と言っても、その原因が解決していないと信頼してもらうのはなかなか難しいことです。
ぜひぜひ、振り返っていっぱいお話してあげてくださいね。
愛情は必ず伝わりますよ(=^・^=)
by 岩津 2014-09-24 08:56
岩津さま
コメントありがとうございます。
あんちゃんには話をしていたつもりでしたが、きちんと説明ができていなかったかもしれません。これからあんちゃんととカイ君に、たくさん話をしていきます。本当にありがとうございました。(^-^)
by あんこ 2014-09-24 23:40
>あんこ様
みんなでしあわせに♡
by 岩津 2014-09-25 20:11