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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2014年09月09日

自分の名前を選んだ猫

 秋です。
 おや、段ボールハウスに憂いをふくんだうさぎ猫がいっぴき。ロマンチックですね~

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 と思ったら、今度は、反対側ののぞき窓を広げようと思いきりガジガジし始めました。アグレッシブですね~

 あれ?7月の猫日記「救われた子猫、チャコ」でご紹介した、あのチャコちゃんではないですか。心細げなチビ猫だったのが、ちょっと見ないうちに、こんなに表情豊かなやんちゃ娘になっています。

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 チャコちゃんは、この夏、大通りの植え込みに投げ捨てられてパニックになっているところを、優しい人たちのリレーで救われた子猫。雌としては珍しい一枚トラ(全身トラ柄)です。

 里親募集をしてもらって、現在は、イシグロ家全員の寵愛を一身に浴びて、のびやかに育っています。

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 イシグロ家は、お父さんとお母さんと、中3の大きいお兄ちゃんと、中1の小さいお兄ちゃんの4人家族。大切な家族だったキジトラのミーちゃん(やはり保護猫でした)を7年前に18歳で見送ってからは、猫はいませんでした。

 お母さんは言います。「子育てで手一杯だったので、猫をまた飼おうとは思わなかったんです。でも、子どもたちが中学生になったら、ちょっと時間に余裕ができて、気がつくと水槽の魚に話しかけたりして・・・そろそろ猫の迎えどきかな、と」
 そんなとき、友人から写メールが。動物病院に貼ってあった里親募集のチラシ写真を送ってくれたのです。ちょこんと座っている2か月くらいの子猫の愛らしさ! それに、小さいお兄ちゃんが「今度猫を飼うなら茶トラ!」とずっと言っていた願い通りの、茶トラの女の子でした。
 会いにいってたちまちチャコが気に入ったお母さん。翌日にはお試し期間としてイシグロ家に連れ帰られたチャコは、みんなに大歓迎されて、そのまま即イシグロ家の猫になりました。

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 初日こそソファの下に隠れていたものの、好奇心旺盛な彼女はすぐに家じゅうの探検開始。ここは安心とわかるとたちまち家族に馴染みました。

 さて、「チャコ」は保護された時の仮の名でしたから、お母さんもお兄ちゃんたちも、張り切って新しい名前を考えました。お母さんは、10近くの名前を考えた中から選び抜いて「まる」。大きいお兄ちゃんは、やってきた日の花言葉を調べて「ボタン」。小さいお兄ちゃんは、パッとひらめいて「クーちゃん」。3人とも、ゼッタイこの名前がいい!と譲りません。

 そこで、チャコ自身に新しい名前を選んでもらうことに。それぞれが推す名前を書いたメモ用紙を丸めて3個、、チャコの前にポーンと放ると・・・。 チャコが飛びついた紙には、小さいお兄ちゃんの字で「クー」と書かれていました。きっと、彼女は、「茶トラがいい!」と待ち受けてくれていた小さいお兄ちゃんに謝意を表したのでしょう。

 こんなに愛らしい盛りだから、さぞ取り合いになっていると想像できますが、チャコ改めクーちゃんは、毎晩日替わりで、気の向くままにみんなの寝室を回って寝ているそうです。昼間、居間のソファーの上などでうとうとして、目覚めた時に周りに誰もいないと、とてもさみしがってか細い声で鳴く甘えん坊さんなのは、母猫と引き離されて捨てられた時のよるべない記憶が残っているせいでしょうか。
 お気に入りは、小さいお兄ちゃんに「高い、高い」とゆらゆら揺らしてもらうこと。

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 もちろん、大きいお兄ちゃんだって、可愛い妹に注ぐ愛情は弟に負けてはいません。のぞき窓つきの段ボールハウスは内部に小箱の段々が仕込まれている力作です(絵は、お母さん)。受験が終わったら、クーちゃんのために手作りしてやるおもちゃ装置の設計図もすでに描きあがっています。

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 小さいお兄ちゃんに「クーちゃんが来てから、何か変わったことある?」と訊いてみたら...。 即座にこんな答えが返ってきました。
 「家の中が、すごく平和になった。兄弟げんかもしなくなったし、親子げんかもしなくなった」
お母さんも言い添えて、「末っ子のクーを中心に毎日みんなでよく笑ってますから。クーがやってきたとたん長男の反抗期が終わりました(笑)」

 すごい! 反抗期も終わらせてしまう猫のチカラ。
 小さな小さないのちだけど、すでにかけがえのない大きな存在として終生の家族に愛されているクーちゃんでした。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

かわいいですね~、うちの猫、ちーちゃんも
元ノラです今は7歳になりました。すごくかわいいです~

by メグ 2014-09-09 15:52

かわいいですね~、うちのちーちゃんは女の子です

by メグ 2014-09-09 15:56

佐竹さんの記事はいつも、じわんときます。
それも、幸せで嬉しくて、微笑みながらもちょっぴり涙がにじむ・・・そんなかんじ。
きっと猫たちもそんな気持ちなんでしょうね。

by にゃあ 2014-09-09 16:59

クーちゃんの段ボールハウスの完成が待ち遠しいですね ♪ 楽しみ~♪

by ruineko 2014-09-09 17:47

クーちゃん(ノ≧▽≦)ノ~~~~『゜+.かわいいっ!!゜+.』
良い家族が出来て良かったです。
松山庭園美術館のあの子は
貰い手が付かず、美術館の子になりました。
名前はもみじ朗です。
手足も治り、すっごく元気になりました。
黒豆ちゃんがお株を取られて
先週、2日間帰って来ないと聞きましたが
帰って来たかしら?
もみじ朗くんはうーちゃんが良く面倒をみているそうです。

by 花澤 2014-09-09 20:35

>メグさん

元ノラのちーちゃん、「すごくかわいい」っていってもらえて、猫冥利に尽きますね! メグさんもいっぱいお返しもらってるんですね~

by 道ばた猫 2014-09-09 22:11

>にゃあさん

 読んで幸せな気持ちになっていただけて、登場する猫たちも喜んでじわんとしていることでしょう!ありがとうございます。

by 道ばた猫 2014-09-09 22:15

>ruinekoさん

 子猫はあっという間におおきくなるから、お兄ちゃん、サイズ大きめにね(笑)!

by 道ばた猫 2014-09-09 22:17

>花澤さん

 やっぱり(笑)。うーちゃん、弟ができてよかったね! 館に行く楽しみがまた増えました~

by 道ばた猫 2014-09-09 22:19

茶トラって、癒し系のねこちゃんらしいです。我が家の茶トラもくうちゃんですがホントにいたずらをしない子で他の子のトイレの後を綺麗に隠してあげる良い子なんです。クーちゃんもこのお家でお兄ちゃん、弟くんといつまでも仲良しでほんわか家族の中心でいてほしいな・・。

by りんりん 2014-09-10 09:51

良かった良かった。くーちゃん、イシグロ家のマドンナとして頑張ってね^^
確かに、うちの実家に居たミミお婆ちゃん(阪神大震災の被災猫でした)も弟達の反抗期を見事終わらせましたしね(笑)
ミミお婆ちゃんが弟をコキ使っても弟達はずっと笑顔でした。
猫って不思議ですね^^

by キリ 2014-09-10 10:44

息子はパパが出張などで夜帰ってこなくても、何も聞いてこないのですが、
学校から帰って来たとき、自分の部屋から出てきたとき、必ず「にゃにゃは?」と聞いてきます。^m^
反抗期の男の子には猫 効果大だとわたしも思います (^.^)
それにしても・・・ダンボールの絵 本当いいですね~ 大好きです こういうセンス (^。^)
今パソコンで簡単に合成とかすごい写真すぐできますけど、完全にアナログで逆にすごくいいと思います

by にゃにゃ 2014-09-10 11:58

>りんりんさん

 そういえば、我が家に以前いた茶トラの「ちびた」も「トム」も、すごく素直な子でした。茶トラは少なくなってるそうですね。他の子のトイレの後始末をしてあげるくうちゃんって、なんていい子! 

by 道ばた猫 2014-09-10 22:49

>キリさん

 弟たちをこき使った(笑)ミミお婆ちゃんって、キリさんちの皆さんの心に永遠に残るんでしょうね、素敵な話。本当に猫って不思議です。

by 道ばた猫 2014-09-10 22:53

>にゃにゃさん

 周りの猫好きは、アナログ好きが多いんですよ~  「猫好き」と「喫茶店好き」「古本好き」「ひとり旅好き」、これ、けっこうダブります(笑)。

by 道ばた猫 2014-09-10 23:06

あっ…私も「猫好き」「喫茶店好き」「古本好き」「ひとり旅好き」だ‼︎
だから、今の彼氏古本屋(看板猫付き)好きになったのかな?(笑)

by 猫屋敷 2014-09-11 03:39

>猫屋敷さん

 でしょう?(笑) 相性ピッタリの彼氏さん(猫付き)を大事にしてください!

by 道ばた猫 2014-09-11 07:31

先日、チョットだけクーちゃんに会う機会がありました。
とっても美猫で、こんな魅力的な娘は今までお目にかかtった事がありません。

我が家も茶トラの兄妹猫がいて、女の子が茶トラの一枚皮です。
ナッツと言う名前ですが、子猫で保護した時は警戒心丸出しで、兄妹でケージの
隅で硬く抱き合っていました。
ようやく触れるようになり、里親に出したら二匹で脱走したり、色々ありましたが、
我が家で引き取り今ではナッツ兄妹は甘えん坊の猫になりました。
きっと猫を被っていたのでしょう。

飼ってみると茶トラはとても性格が穏やかで扱いやすいですね。

クーちゃんの成長をまた紹介してください。
お兄ちゃんたちとのエピソードもお願いします」。

by chisemama 2014-09-11 10:39

道ばた猫日記の写真も文も大好きで、火曜日が楽しみです。毎回テーマがあって、猫の気持ちが伝わってきます。短編小説のようだなあと思います。

by まるまるねこ 2014-09-12 07:39

>chisemamaさん

 承知しました!  クーちゃんの成長とお兄ちゃんとのエピソードをまたぜひレポートしたいと思います~   茶トラって、愛されキャラなんですね!

by 道ばた猫 2014-09-12 23:33

>まるまるねこさん

 楽しみにしてくださっていて、ありがとうございます。どんな猫も、猫そのものが短編小説かもしれないですね!

by 道ばた猫 2014-09-12 23:35

佐竹さんのこのブログ、大好きです。
前から行きたいと思いつつ、距離的になかなか行けなかった松山庭園美術館に行ってきました。場所がなかなか見つからず、方向音痴の私は結構迷いました(^_^;)。5匹のねこちゃんに会うことができ、美術館のご夫婦にも声をかけて頂き、なんとも穏やかな時間を過ごすことができました。佐竹さんのブログでこの美術館のことを知ったことを話したら、昨日いらっしゃったと聞きました…。お会いできずに残念でしたが、佐竹さんの書かれた本『猫が教えてくれた大切なこと』を購入してきました♪読むのが楽しみですが、絶対泣いちゃうんですよね~(ФωФ)

by のらすずめ 2014-09-14 20:59

間違えました!今パラパラと見てみたら『猫が教えてくれた大切なこと』は佐竹さんが書かれたものも載っていますが、佐竹さんが書かれた本ではなく、フェリシモ猫部の本でした。ごめんなさい!

by のらすずめ 2014-09-14 21:10

>のらすずめさん

そうでしたか! 一日違いでしたね、残念。新入りのチビ、もみじ朗くんには会えましたか?穏やかな時間を過ごされて何よりです。猫部の本を買ってくださってありがとうございます~

by 道ばた猫日記 2014-09-15 00:45

小さい子はいなかったです…。もみじ朗くんにも会いたいので、次回の猫ねこ展はぜひ伺いたいです♪全部で何匹いるのでしょうか(^_^;)?全員に会いたくなってしまいます♪

by のらすずめ 2014-09-15 18:37

>のらすずめさん

 美術館の猫は、白猫みいちゃん、黄色の金太郎、シャムっぽいチャム、黒キジのトラ、近くのゴルフ場に入りびたりのアカ、長毛キジのモモ、白黒うーちゃん、長毛黒猫黒豆ちゃん、茶白の子猫もみじ朗です。もう1匹いたかな…(笑)。

by 道ばた猫 2014-09-16 06:21

クーちゃんの幸せそうな振る舞いに、とても癒されます。
元気いっぱいで、先日一時我が家に里帰りしていたときも、まだ3歳の先住ネコを、追いかけ回して困らせていました。
段ボールハウス、素晴らしいですね。

by 平山 2014-09-20 06:05

>りんりんさん
我が家の3歳の男の子のネコは、トイレの後始末がちょっと粗雑です。
クーちゃんが我が家にいた頃、先住ネコさんのトイレの後始末を、丁寧にしていました(笑)茶トラの特性だったんですね。

by 平山 2014-09-20 06:11

>平山さん

 ルイさんチセさん植木職人さんたちの救出劇、そして、平山さんご夫妻のお預かりあってこその、今のクーちゃんの幸せです! ありがとうございました。それにしても、クーちゃん、里帰りしてソックスくんを追いかけたとは…チャトラおそるべし。白黒はうちのケンジもですがお人好し(ヘタレ)が多いんです(笑)

by 道ばた猫 2014-09-20 12:15