[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

「特別なことはなにもしていないんですよ。」
連載最高齢となる21歳のキジトラ猫・寛太くん（男の子）の飼い主・おきょーさんは言う。
ここで私は、「はい、そうですか」と帰るわけにはいかない（笑）。


21歳？子猫のようなあどけなさ。

運命的な出会い

私がいままでに出会った猫の中でも最高齢の21歳。必ず長寿の秘訣があるはず！引き出さなければ......。

名古屋の繁華街、栄（さかえ）の道のど真ん中に突然子猫があらわれた。
「このままでは車に轢（ひ）かれてしまう！」見るに見かねたおきょーさんの母が急きょ保護することに。「寛太」と名付けられた猫は、それからは外の世界を知ることなく家猫として21歳を迎えました。

飼い主のおきょーさんは、旦那さん、息子さん（18歳）、娘さん（16歳）の4人家族。
それに生後6ヵ月の子猫から21歳の寛太くんまで合計6匹の猫がいます。
寛太くん以外は全員長毛種。いつもにぎやかだと容易に想像できます（笑）。


写真左より：リヒトくん（5）・グレイスくん（6ヵ月）・アンジュリーちゃん（6）・ルーチェくん（2）・アドリーちゃん（7）
ドイは勝手に「長毛ファイブ」と名付けた。


貫ろくあるなぁ。


妹、弟たちににらみをきかす寛太くん。


大好きなソファーの上からきょうだいの遊びに耳を傾け、いまはのんびりと猫生を過ごす寛太くん。

元気に動くから大丈夫という考えは捨てた方がいい

では寛太くんはいったいどんな猫生活を過ごして来たのでしょう。おきょーさんに幼少期からのお話をうかがいました。
「大型犬ビリーとシャム猫のシェリーと育ちました。」乳飲み子の寛太くんには犬と猫の分別がつかなかったのでしょう。とくに犬のビリーと仲よく活発に遊んでいたそうです。元気ゆえに脱走したことも（笑）。

「5歳のときには誤飲で腸閉塞になり生死をさまよいました。」糸を飲み込んだのが原因だとわかるまで、おきょーさんは何軒も動物病院をあたりました。「明日生きていられないかも......」と一度は覚悟を決めた家族でしたが、幸い経験のある獣医さんに巡り合い、寛太くんは奇跡的に回復します。

「14歳のときに去勢しました。」わけあってこの年齢まで去勢していなかった寛太くん。連れて行った病院で、手術とは関係ないけれど「歯がきれい」とほめられる新発見もありました。


犬歯はいまでも4本健在。

そして17歳のとき、大病を患います。「よく食べ、元気なのに痩（や）せていく」というサインの甲状腺ガンに。
高齢のため家族は手術に悩みましたが、決断して手術に踏み切り、甲状腺の片方を切除した結果、こうして21歳を迎えることができました。「あの時の判断は間違ってなかった」と、おきょーさんは安どの表情で私に話してくれました。


しっかり歩くし、高さのあるソファーにはジャンプして登ります。

私にはおきょーさんのようにベストな判断ができるのだろうか......。同じ猫の飼い主として、もっと病気のことを勉強しなければ。

寛太くんの食事メニュー

14歳までおきょーさんの実家で過ごした寛太くん。そこでは「ねこ元気」のカリカリが定番だったので、おきょーさんの家に引っ越してきてからもウエットフードは苦手。現在までずっとカリカリ中心の食事メニューです。中でもやわらかい食感の「シーバ」が、高齢猫には向いているのだそう。
1日の食事回数は6時半、12時半、19時、23時の計4回。
「食べられなくなったらおわり」。療養食を無理に食べさせるよりも、好きなごはんを適量与えることが必要だとおきょーさんは教えてくれました。
寛太くんの現在の体重2.9kg。（最大時は5.8kg）


やわらかいシーバがお気に入り。


ペロペロ。


ガブガブ。


「食べたら出すニャー」
おきょーさんのお家には仕掛けがいっぱい。猫トイレは抜け穴を通って。

特別なことはなにもない

「長生きの秘訣は特にない」と、おきょーさんは言いますが、私が感じたことをお話します。
寛太くんが長寿猫である理由のひとつに、家族が猫の変化に気づくことが挙げられます。それは家族の誰かが家にいるという環境だからなし得ること。
旦那さん、子どもたちも協力的でおきょーさんの「最後のその瞬間まで愛を注ぐ」という誓いは家族と共有できているようでした。
おきょーさんは寛太くんを「持って生まれた強運の持ち主」だと謙遜するけど、おきょーさんこそが強運の持ち主なのでは？

家族の気づきが猫を長寿へと導く。
おきょーさんは最高のパートナーだと、寛太くんもきっとそう思っていますよ。


「高齢でも寛太は猫。最後まで猫らしい生活を」
あるがままの姿で、自然体に、という接し方も長生きのコツなのかも知れない。


「なっ！」



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