3年前、猫アレルギーの息子さんが巣立ったとたん、サナエさんのうちには、猫が次々と舞い込んできました。
4匹それぞれのいじらしいいきさつと、次々と迎え入れることになった顛末を、2回に分けてご紹介します。
まず最初にやってきたのは、黒猫ジルくん。
いまは、こんなに立派な青年になりましたが、やってきたときは、死にかけでした。
ジルは、サナエさんの娘さんが通っていた高校の弓道場そばの小屋で、ノラの黒猫母さんが産んだ4匹の黒猫のうちの1匹です。
母さん猫は1匹ずつくわえてどこかへ運び、3匹目を運んだあと、そのまま戻ってきませんでした。
鳴き声もたてなくなった生まれたての仔猫を、娘さんは家に連れ帰りました。
獣医さんには「母猫に置いていかれる仔猫は、体が弱いとか理由があります。覚悟はしてください」と言われたそうです。
たしかに、鼻も目もじゅぐじゅ。おまけにノミだらけ。
注射器でミルクを与え、お尻を刺激して排泄をうながすというサナエさんの懸命な子育てのかいあって、仔猫は大きな声で鳴くようになりました!
よちよち歩き始めた頃のジルのお気に入りは、サナエさんのスリッパでした。
旦那さまは初めての猫に「動物を家に入れるなんて」と拒絶気味だったのですが、すぐにジルの愛らしさのとりことなり、毎日写真を撮っては、会社で「今日のジルちゃん」と見せびらかしていたそうです。
「毎日おんなじ黒い小さなかたまりの写真なんですけどね」と笑うサナエさん。でも、毎日、ジルくんの写真の周りには、いい笑顔が集まっていたことでしょう。
いまでは、お風呂に入るときも寝る時も育てのママについて回る甘えんぼさん。
夏は、お風呂に水を少し張っての「プール遊び」が大好きだそうです。
そんなジルくん、去年の2月、外に出てしまって、行方不明になるという事件が。
チラシを配りまくり、ポスターもお店に貼らせてもらいまくり、朝は5時から夜11時まで必死に探し回りました。
「4日目に、すぐ近くでぱったりジルに遭ったんです。たった4日で、ガリガリに痩せて毛は抜け落ちていました。首輪でジルだとわかったほどのやつれようでした。ボロボロ泣きながらジルを抱っこして帰る私に、出会う人出会う人が『よかったねえ!』と声をかけて・・・・すっかり界隈の有名人になってしまいました(笑)」
たった4日で、サナエさんも3キロ痩せていたそうです。
ジルくん、もうママたちを心配させちゃあだめだよ。
さて、次にやってきたのが、長毛で青い目のリリーちゃん。
リリーちゃんも今はこんな美人さんですが...。
2年前の10月。近くに住む友人から「団地の階段に仔猫がうずくまってる」との電話に、サナエさんはすぐ駆けつけました。
最初は気づかずに素通りしてしまったくらい、小さな子猫が階段の隅っこに。震えながらも、耳を寝かせてシャアシャア威嚇してきました。
カーディガンにくるんで連れ帰りましたが、他の猫におしっこでもかけられたのか、全身おしっこの匂いでくさいことくさいこと!
鳴き疲れ、威嚇し疲れた猫をきれいに洗ってやりましたが、「とにかく、目つきの悪い子でした」と、サナエさん。どんな思いをして生きのびていたのでしょう。
ジルが子猫を嫌がったら、里親さんを見つけようと思っていたのですが、子猫はまったく人になつかない代わり、ジルにはすっかりなついて甘えます。ジルも、なめてやったりする、いいお兄ちゃんぶり。
ジルにつられて、そろりそろりと人間に近づいてくるようになると、リリーちゃんの目は三角から、どんどん丸くなっていきました。
おしっこ臭かった目つきの悪いシャアシャア猫は、今は昔。「美人さんですね~」と誰からも言われるリリーちゃん。鼻すじの通ったすっきりふわふわの穏やかさんです。
こんな安心しきった白タヌキのような寝姿も。
可愛がられて、安心して、猫の性格や風貌は作られていくのですね!
そして、今度は...。来週に続きます。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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道ばた猫日記いつも拝読させて頂いてます。
猫と人との出会いにいつも感動します。
不幸な猫達が居なくなって欲しいと願っています。これからもレポート楽しみちしています。
by まろすけ 2015-03-31 13:33
たった3年間に、次々とやってきて、4匹に・・なんて!
みんな命拾いをした猫たちなのでしょうか。
サナエさんの元に来るのが運命だったのでしょうね。
話の続きが待ち遠しいニャァ~
by イリス 2015-03-31 14:42
ジルちゃん、我が家にいる”てん”という子に良く似ていて読みながらついつい笑ってしまいました。
行方不明になって、大変でしたね・・。見つかって本当に良かった!でもお風呂でのプール遊びにはびっくり!!うちの子もやってほしいような・・・。リリーちゃんと仲良く楽しくサナエさんと過ごしていってほしいです。また次の日記を楽しみにしています!
by りんりん 2015-03-31 21:19
現在 過去 未来
小さな命に愛情そそがれ
なんと
白タヌキさん
最高です(*・ω・人・ω・*)後ろ姿の白黒さん
絆 感じます 素敵(*・ω・人・ω・*)
by ちゅうちゅう 2015-03-31 22:47
>まろすけさん
ありがとうございます~
猫の数だけ猫の物語。みんなハッピーエンドであってほしいですね!
by 道ばた猫 2015-04-01 00:30
>イリスさん
ふふ、4匹目がちょっと笑えるキャラなんですよ。
お楽しみに!
by 道ばた猫 2015-04-01 00:31
>りんりんさん
そう、あんなにお水が入ったなかで平気な猫さん、初めて見ました。
ジルくんは、目が開いて初めて見たのが人間のママだから、警戒心ない子なんです。
by 道ばた猫 2015-04-01 00:35
>ちゅうちゅうさん
ひとりぼっちだったリリーちゃん。隣に誰かがいてくれることで、どんどん顔つき・目つきが変わっていきました。
by 道ばた猫 2015-04-01 00:39
リリーちゃん、優しいお兄ちゃんとお母さんのおかげですね。
美しい~(~~v
次々に4匹もの猫さんのお母さんになるというのは ご縁があったのですね。
お父さんも、こんなに可愛らしい仕草のジルくんを毎日見ていたらメロメロになっちゃいますね♪
他の2匹の猫さんのお話も、楽しみ~*
by りょう 2015-04-01 08:47
家猫なってよかったね可愛い猫大好き(^_-)-☆
by wakabayasi natuyo 2015-04-01 09:59
まりこさん
こんにちは
さなえさんの道ばたねこちゃん達とのご縁が繋がって嬉しいです❤️
ジル君 うちのキキとよく似てますね
さなえさんの献身的なお世話と愛情を注いでもらって
幸せに暮らしているねこちゃん達の様子にジーンときます
道ばたねこと飼い主は出会うべくして出会って
寄り添って暮らしているのだな〜としみじみ思います
次のお話が楽しみです!
by あきこ 2015-04-01 15:02
うちの猫もそうですが、最初は助けたつもりが、しばらくすると、私のところに来てくれたんだって気が付くのですよね~。きっと、サナエさんの、ジルちゃんとリリーちゃんもそうですね。
リリーちゃん、うちの猫にそっくりです。目つきが悪かったところも!ウチの猫は、いまだに時々昔の目つきに戻ることがありますが^^
by ちぃこ 2015-04-01 21:22
>りょうさん
ここだけの話(笑)。「猫がテーブルに載ったらどうする」みたいなことを言って渋々だったお父さん、ジル君がおかずをまたいでもニコニコの、大甘らしいですよ!
by 道ばた猫 2015-04-02 00:18
>natuyoさん
ホント、子猫の時に出会いがあるかどうかで、ノラ猫の運命って大きく違ってきますね。
みんな安心して生きていければいいのですが…。
by 道ばた猫 2015-04-02 00:23
>あきこさん
サナエさんちの4匹を紹介してくださってありがとうございました~
まさに「来週でてくれるかな」「いいとも!」の猫の輪でした!
by 道ばた猫 2015-04-02 00:25
>ちぃこさん
そうそう、猫に選ばれてるなあって、感じます~ 猫は規律の厳しくないゆる~い家が好きみたい。 ちなみに、目つきの悪い猫、好きです(笑)。
by 道ばた猫 2015-04-02 00:31
皆様(*^_^*)
ジルを中心に家族の会話や笑顔が増え、
我が家に幸せを運んできてくれました。
リリーは心を開いてくれるのに何ヶ月も掛かりました。心配しなくていいよ、守ってあげるよってずっと話し掛けてました。顔つきも性格も一番変わったのはリリーです(*^_^*)
by サナエ 2015-04-03 00:32
>サナエさん
個性派揃いの4匹に会えて、楽しかったです~
わが家にも、2か月半、心を開かなかった保護猫菜っ葉がいますが、開いたとたん、開きっぱなし(笑)。一番の甘えんぼです。
by 道ばた猫 2015-04-03 18:46