[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

先週の続きです。
サナエさんちに次々にやってくる猫たち。
３年前には、高校の弓道場から黒猫ジルくん。おととしの秋には、団地の階段から長毛リリーちゃん。
そして３匹目は・・・。
まだ８カ月のキジトラ娘ハルちゃんです。



去年の夏のこと。時折見かける小柄なノラ猫が、庭に３匹の子猫を連れてやってきました。子どもたちにおっぱいをやったり、子どもたちが庭で遊ぶのを縁台から眺めたりして、また引き連れてどこかへ帰っていきます。



子離れの時期になったのでしょうか、やがて連れてくるのが２匹になり、１匹になりました。
その最後の１匹のキジトラは、お母さんにくっつきたがって唸られたり、おっぱいをまさぐって叩かれたりしていました。
そのうち、母猫はこなくなり、子猫が１匹庭に残されました。



ガラス戸越しにじっと見上げているキジトラの女の子。サナエさんの旦那さまが手をさしのべたら、おとなしく抱っこされ、そのまま、家に入ってサナエさんちの３番目の子に。母さん猫は、界隈を偵察して回り、「ここぞ」と思う家に、３匹をそれぞれ託したのでしょうか。このハルちゃん、可愛いお顔をしていますが、ゴミ箱をひっくり返したり、米袋や乾麺を噛みちぎったりの相当なやんちゃ娘に成長しました。

さて、４匹目は、ふわ毛のこの子。押しかけマロンちゃんです。



マロンは、ハルが家の子になる前から、庭の小屋で飼っている4匹のウサギのところに、しょっちゅう遊びにきていました。うさぎたちはみな、ジルくんを高校の弓道場から連れ帰った娘さんが小学生の頃、学校で生まれた子うさぎをひきとってきたものです。



ふわふわの毛並みの、幼さの残るマロンは、うさぎが好きで好きでたまらない様子。小屋で眠るうさぎの柵からはみ出している手足にスリスリ。うさぎが小屋のなかでぴょんぴょん跳ねると、自分も嬉しそうに跳ね回る、無邪気そのものの猫でした。



ある日、彼女は、小さなハルが家猫になって家のなかでおもちゃで遊ぶさまを、網戸にへばりついて、首を伸ばして一心にながめていましたが・・・。
たまらずに、網戸を手でこじ開けて、家のなかに入ってきて、おもちゃで遊び始めました。
ひとしきり遊ぶと、遊び疲れて、ソファーでぐっすり寝入ってしまったのです。初めての家でこんなにのびのびと。ほかの３匹は終始呆気にとられていたそうです。



あまりに無邪気だし、育ちのよさそうな綺麗な子なので、サナエさんはマロンのことを、よそで飼われている子が遊びに来ているだけだと、ずっと思っていました。でも、外に出そうとするとイヤイヤと抵抗するし、出しても、ずっと庭にいるのです。迷い猫かと、獣医さんにも届け、近所に聞いて回り、貼り紙もしましたが、飼い主は現れませんでした。

「ハルが来たすぐ後だったし、さすがに４匹も飼うのは...とも思ったんですけど・・・。でも、一度抱っこしてしまったらもうかわいくて、家族会議の結果、全員一致で家族に迎え入れました」と、おおらかに笑うサナエさん。

決め手は、４匹が仲よくやっている姿だったそうですが、それにしても、３年間で、次々４匹迎え入れるとは！　あっぱれです。



甘えん坊のハルは、やさしいリリーが大好き。



ハルとマロンも、新入り同士で仲良し。ジルは、みんなの優しいお兄ちゃんです。人も猫もおおらかでやさしいのは、ここの家風なんですね！

「リリーのように一人ぽっちでつらい思いをしてる子には、『大丈夫だよ～ 守ってあげるからね』と、話しかけてしまいます。そう言ったからには、約束は守らなくてはね」と、サナエさん。

猫好きもそうでない人も、みんながちょっとずつ、サナエさんのように心を広げたら、どんなに人も猫も暮らしやすい社会になるだろうか。ふと、そう思いました。