[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年04月21日

「カタギリ君とヤツイ君」

棚の上で、のんびりまったり、すっかりおくつろぎのキジ白くん。カタギリ君といいます。

カタギリ君の暮らしているのは、都内のデザイン会社「NILSON」です。

あれ、お仕事中のパソコンの後ろから「なにやってんの～」とばかり、茶トラくんも顔を出しました。

カタギリ君の兄弟のヤツイ君です。片手であごをふにゅっふにゅかまってもらって、ご満悦。

2匹がこの会社にやってきたのは、まだ2か月くらいの子猫のときでした。

「えー、今日から、猫を飼うことにしました」
3年前の9月のある朝、社長がそう言ったので、社員一同、びっくりしました。
「え、猫・・・・ですか」
でも、猫嫌いは、誰もいなかったので、2匹はすんなり会社猫になりました。こんな風に、仕事現場に当たり前にとけこんで。

兄弟は、熱海の町なかに（たぶん）捨てられていたのを、出勤途中の編集プロダクションの社長が保護。里親を募集していたところ、前々から猫を飼いたいな、と思っていたNILSONの社長でデザイナーの望月さんがすぐに名乗りを上げたのでした。そして、子猫たちは、望月さんの好きな深夜番組のお笑いコンビの名をつけてもらい、事務所内で、すくすくと大きくなりました。

打ち合わせの席にも、同席したり、

お客様のコートにもぐりこんだり、

お仕事中の女性社員のひざ掛け毛布のなかでぬくぬくしたり。

ときにちょっとした事件も起こします。
パッケージデザインのため置いてあったカツオ節パックを、夜のうちに食いちぎり、朝、社員が出勤したら、事務所じゅう、カツオ節が散乱して香ばしい匂いがたちこめていたとか。
また、お客様のカバンの中に顔を突っ込み、中に入っていたアンパンをちゃっかりいただいちゃったとか。
そんなやんちゃコンビがいちばん夢中になるおもちゃは、自分の抜け毛を丸めた毛玉。飽かず、転がして遊びます。

「猫トイレの取り換えとか、しでかしたことの後始末とか、猫がやってきて仕事はふえちゃいましたけどね」と、望月さんは言いますが、デザイン会社は遊び心が肝心。きっと、アイデアに煮詰まったなど、猫たちの無邪気さは、いい風穴をあけてくれるのではないでしょうか。なにより、みなさん、会社に来るのが楽しみにちがいありません。

カタギリ君と、ヤツイ君が「ボクたちの会社でデザインした猫の本が24日の金曜日に発売されまーす」と、言っています。それは楽しみ。
この本だそうです。どうぞ、よろしく。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹茉莉子（さたけまりこ）

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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