岩津さんに聞く!
2015年05月08日
みにゃさま、こんにちは。今日は読者の方々がお寄せくださったご相談からひとつ取り上げさせていただきます。
<大阪府 ちーこママさまより>
「くに」は、6歳と8ヵ月になる男の子です。
生まれて6ヵ月くらいから、てんかんの発作を起こすようになり今も薬を飲ませています。最初は1年に2回くらいの発作がおこり、長い時は1週間発作がおこります。その時は私の勤める会社で昼間一緒に過ごしたり、病院に預けたりしています。
去年の7月くらいから、発作が2ヵ月に1回は起こるようになり、元にもどるまで1週間かかります。発作が多くなった原因は、薬を嫌がって吐き出すことだと思っています。口内炎もあって、痛いせいもあると思いますが、顔を振り回して、あげた以上の液体を吐きちらし、顔や体も濡れてしまいます。もちろん、私が薬を用意する時がわかっていて、トイレや隅っこに逃げたり後ずさりをして私を嫌がったり...
こんなイヤな目にあわせているのに結局吐き出してしまうから、もう意味がないのではないかと思うのですが、あげないわけにはいかなくて、私も毎日辛いです。くには、お薬のことをどう思っているのでしょうか。
くにの他にも、我が家には7匹の猫がいます。発作が突然起きて、暴れるのでくには他の猫から嫌われて、威嚇されています、くには怖い子だと思われて、かわいそうです。発作がなくなれば徐々にみんなも忘れてくれますが。
くにと仲良くしてくれていた、たったひとりの男の子の猫「とちお」が、去年去勢手術をして以来、まったく、くにに興味をしめさなくなり、一緒に寝てくれません、それまでは、二人でつるんでいたのに不思議です。くには、みんなが好きでなめてあげたりしたいのに、上手くいきません。
病気は仕方のないことですが、くにの気持ちを考えると私がどうにかしてあげたく、岩津さんに聞いていただきたいです。よろしくお願いいたします。
岩津さんより
くに君、しっかり目を見てお話は聞いてくれますが沈黙が続きます。私と見つめあったまま時間が流れていきます。言いたいことを我慢しているのと、気持ちを整理しているのが伝わってきます。
「ちょっと時間を置いてまた来るね。」と伝えて一旦コミュニケーションを中断しました。すぐにお話してくれる子ばかりではありません。くに君のように、考える時間が必要な場合もあります。飼い主さんを気遣っていたり、過去の大きな悲しみや恐怖故に心を閉ざしていたり、人に対しての信頼を得るのに時間がかかったり...
気を取り直して再度話しかけます。またしばらく見つめ合い、静かな時間が流れます。
「ゆっくり過ごしたい」とくに君がポツリと言いました。この一言の後も言葉に詰まっています。非常に言いづらそうにしているので、「大丈夫よ、くに君。お母さんは何を聞いても大丈夫なのよ。」と気遣っている対象のお母さんの名前を出してみました。
「言っていいの? 言ったら迷惑になると思う...」とちゅうちょしています。困ったようなその目を、「大丈夫」と気持ちを込めてのぞき込むと、覚悟を決めたように話し始めました。
「安らぎがない。楽しいこともない。いつまでがんばらなきゃいけないの? 何でこんなことになったんだろう。ぼくは自由になりたい。」と一言一言に力を込め、まるでその命を掛けているかのようにも聞こえます。
大好きなお母さんがくに君のために通院や投薬をがんばってくれているので、言い出せなかったのです。家の中で忙しそうにしているちーこママ、あらゆることが原因で疲れ切っているその姿を見て、「お母さん。ぼくも苦しいよ、辛いよ。」と側に寄って言っているくに君の姿が見えます。ちーこママさんが苦しんできたのと同じように、くに君も苦しんできたんですね。愛するお母さんとくに君の気持ちはいつも一緒です。
「お薬なんて飲みたくない! 一度でいいから安心してぐっすり眠りたいんだ。安らぎのある世界、猫のお母さんの行ったところに行きたい。それはいけないこと? もういいでしょ? もう十分でしょ?」と次々と私に問いかけます。私の立場では答えを出すことができませんので、くに君の想いはすべてちーこママさんに伝えると約束しました。
ちーこママさんから、ずっと我慢をしてきたくに君に、遠慮はしないで何でも言ってほしいと心から伝えてあげて下さい。くに君の口からは、「安らぎ」という言葉が何度も出てきました。飼い主であるちーこママさんの安らぎは何ですか? 家族である猫たちの安らぎは何ですか? 一家の安らぎは何ですか?
そして本音で、純粋な気持ちでくに君と、くに君以外の猫たちといっぱい、そしてとことんお話してみて下さい。必ず答えは見つかります。ご一家に、今まで以上の安らぎと笑顔あふれる日々が訪れますようお祈りしています。
くに君、心身ともに非常に疲れており、特に脚先と下半身が冷えています。お手当は心も体も安らぎ温まりますので、手を当てたりゆっくり撫でであげて下さい。愛情が発する治癒力はすばらしいものです。
くに君と仲のよかったとちお君は、「今まで興味や執着があったことに、興味が無くなったの。」と話してくれました。去勢手術で体も変わりましたが、心にも変化があったようですね。昔はくに君と一緒にいることが楽しくて安心にも繋がっていたようですが、それが無くなってしまったようです。嫌いというわけでは無いようですが、自分ではコントロールできない部分なのでどうしようもないようです。
闘病中であったり、突然の発病やケガに遭った子たちの生き方、最期に向けての望みは皆それぞれです。入院、通院、投薬は嫌だけど飼い主さんにお任せしますという子、何もせず自然なままで過ごしたい・逝きたいという子...様々です。その一生と最期を決めるのは人間ですが、飼い主さんでしたら愛する我が子の気持ちは分かるのではないでしょうか。表情、行動、鳴き声などよくよく観察して、お話をして触れて、意志を読み取ってあげて下さい。
ちーこままさまよりご感想をいただきました。
メールを拝見して、涙がボロボロこぼれてしまいました。何でも受け止めるつもりだったのに、正直、くにの言葉はショックで、とても辛いです。
もちろん、お薬が心底嫌いと抵抗していたくにだから、私もつらかったけど、くにも苦しかったのね。ごめんね、正直に話してくれてありがとう。でも、くにには生きていてほしいから。どうしたらいいの? これから、もっとたくさん話をしようね。
うちの猫たちはそれぞれ愛情表現は違いますが、肩にのったり、私を導いてお腹を撫ぜさせたりみんな、私のことが好きで困るほどですが、やはり8人という大所帯でくには気が休まらなかったのでしょうか? 私には、みんなが心地よく家に居ることが安らぎなんですが、猫たちにとっての安らぎを考えたことはありませんでした。お水と食事、排泄の処理などで忙しいですが、整えることが私の喜びで、猫たちの幸せと思っていました。
とちおは、やはりそうだったのですね。今のとちおは、いたずら好きな少年のようになっていますが、安心しました。
もっともっと、くにや他の猫たちと話をするようにいたします。岩津様にたくさん教えていただいた事を心がけながら、猫たちの気持ちをくみとり、大切に安らぐ生活ができるように、これから考えてまいります。
このような機会を与えてくださってありがとうございました。
くに君ととちお君
次回は、5月22日更新の予定です。お楽しみに。
くにくんの健気な気持ちに涙がでる。
飼い主さんとくにくん、どちらもお互いがとても思い合っているのにね。
お互いが幸せになるよう願います。
by 飼い主さんの気持ち 2015-05-09 12:22
>飼い主さんの気持ち様
飼い主さんとくにくん、同居猫ちゃん達みんなが幸せになれますよう、私も祈っております。
by 岩津 2015-05-09 19:21
くにくん、くにくんままどちらも思いやっているのですね。頭が下がります。肺癌で逝ったウチの子もくにくん見たいに言いたい事もあったのですね、反省してます、みんな幸せになって欲しいです
by 紫音 2015-05-12 04:58
>紫音様
紫音さんも家族である愛猫さんを思いやって、思いあっておられたと思いますよ。
by 岩津 2015-05-13 10:45
みなさま、岩津様コメントをありがとうございます。猫と上手くコミュニケーションのできない飼い主でありますが、一人ひとりの要望に答えるべく日々健闘しております。くにを含め、なんでこんなに可愛いのかとどんどんあふれる愛情にびっくりしながら、猫を撫ぜる時は自分も撫ぜられているような、ワサワサした気持ちが落ちついて、やさしい気持ちになれます。命をあずかる事は、難しいですが私を守ってくれているのは猫たちですし、私も猫に恩返ししなければと思います。
by ちーこママ 2015-05-15 12:03
ちーこままさま。いまのままでいいんじゃないかな。肺癌で天国に逝ったアーサーは多分、忘れないでといっていると思うから私は忘れてないし辛い治療や薬にも頑張ってくれました、くにくんとお話し沢山してね。きっと答え出てくると思います。応援してます。
by 紫音 2015-05-20 01:52
くにくんとちーこままさまが沢山お話しされていくウチに答えは見つかると思います!信頼し愛しあってるんだものね。毎日が宝物だと思います。ウチも5匹いましたがどの子も宝物です。応援してます。愛があるから大丈夫ですよ。
by 紫音 2015-05-20 02:04