「朝食を用意するシーンが賑やかで面白いので是非。」
と奥様からのお誘いを受け、午前8時半にご自宅へお伺いしました。
ぽやー。フィガロさん!朝早くから失礼します!
「できるだけ生きた食べ物を」
「ここは日本なのか?」と洋式のインテリアや装飾にどきどき・わくわく緊張する私と、 「食事はまだか?」とどきどき・わくわく期待する犬・猫が交錯する現場(キッチン)から、撮影スタートです。
メニューはドライフードに、茹でたささみ。 トントントン、ブロッコリーを刻んで。 「早く早く!」と急かされて、手元はもとより足元にも注意が必要だ。 マー家には3頭の犬と2匹の猫がいます。それぞれの「カリカリ」に違いはあるけれど、そこに茹でたささみと野菜(キャベツ・大根・ごぼう・はとむぎ・まいたけなどをフードプロセッサーにかけ煮たもの)をトッピングするのは犬も猫も同じ。
「できるだけ生きた物を食べさせたい!」という思いで奥様の美奈さんが勉強し、行き着いたマー家の定番メニュー。動物たちにも好評のようで、愛情のトッピングがいまにもお皿からこぼれ落ちそうなほど!
愛情たっぷりの手作りごはんは「うまうま」らしいです。
保護猫だったアメショーのフィガロ
推定15歳以上のアメリカンショートヘアのフィガロ(男の子)が「保護猫」だったというのは、意外でした。ある夫婦の家庭の事情で「購入したペットショップに返却される」という不遇のときを過ごした後、巡り巡ってマー家の一員になりました。
じつは旦那さんのロビンさんは、それまで動物を飼った経験がなかったこともあって、フィガロを引き取ることにあまり乗り気ではなかったそう。でも一緒に暮らし出すと一転、「Why?なぜ自分はいままで動物を飼ってこなかったのかー?」と後悔するほど、毎日が予想を上回る楽しさでした。
味をしめたのか(?)今では犬猫5匹の大所帯に(笑)。
マー家動物王国のはじまり、それがフィガロ。 おっとりとして少年のような顔立ち。 一方、美奈さんは動物が大好きな両親の元(一時は犬2頭、猫12匹いたそうです!)に生まれ育ちました。ところが結婚した後、一時動物との生活が途絶えていたのです。そこへ突然舞い込んだのが、フィガロの里親募集の話。それはまるで必然でした。
キジトラのブラウニー(2歳)と暖炉の前でランデぐー。
家族が増えたことで愛情が分散
超が付くほど甘えん坊のフィガロは、遠くから目を合わせるだけで「嬉しよだれ」をたらすほどマー夫妻のことが大好き。幼少期から常にまったり、おっとりとした性格で、抱っこしたまま病院に行けるほど大人しいらしい。そんなフィガロの話をしてくれているとき、美奈さんが突然、「寂しい思いをさせたかな」とぽつり。次々に家族が増えて 愛情が分散されたことを、反省しているようでした。
フレンチブルのブルーファスとブラウニーの戦い(恒例の)が始まりました。 どうしても、手のかかる子に親の目はいきがちで、長男のフィガロはいつも後回しにされるという......、そこは人間も動物も同じなんですね。
これからは「一人一人に愛情を!」と改めて気合いを入れなおす美奈さんに、私は頷き、心の中で「うちもそうする!」と便乗させてもらったことは内緒です。
ロビンさんがフィガロをなでなで。
猫の恩返し
動物との生活は結婚生活の「礎」ときっぱり言いきるマー夫妻。そんなふたりに感化され、私は今、我が子(猫)のためにブロッコリーを刻んでいます。手作りの愛情ごはんを与え、それが伝わったとき、動物たちは「長生き」というカタチで恩を返してくれるという図式が、私には見えたからです。
フィガロを筆頭に、下のきょうだいもきっと長生きするのでしょう。大事なのは愛情のこもった「食」なんですね。
フィガロ聞いてる? そうでしょ? マー家の5匹はすべて保護された犬猫たち。でもマー夫妻は、「保護してきたのに、じつは守られているのは自分たちの方」と感じ、その思いを友人たちにも伝えつづけてきました。私も、マー夫妻に、この日出会えて良かった。
この記事が多少なりともみにゃさまの心をノックして、「食」をもう一度考えるきっかけになればいいな。 教えてくれたマー夫妻への恩返しになるといいな。
美奈さんが参考にしたという書籍はこちら↓
「てづくり猫ごはん」
古山範子(監修)/大泉書店
おまけ/マー家のゆかいな仲間たち
ある日突然玄関先にあらわれたブラウニー(推定2歳・ミックス)。 ブラウニーが来てからフィガロも遊ぶようになったとか。 ハチ(10歳・ミックス犬)。 瞳をうるませて、ずるいぞ!可愛いぞ! ラケール(10歳・ミックス犬)。 ロビンさんのチェアで、てへ。 ブルーファス(フレンチブル・8歳)。 たまにブルーファスにガブガブやられるフィガロですが、この日は仲良し。 フィガロさん、ありがとう!そして、おやすみなさい。 ケニア・ドイ ファースト写真集『
ぽちゃ猫ワンダー 』(河出書房新社)好評発売中
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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素敵なご家族!「フレンチブルのブルーファスとブラウニーの戦い」の写真が本当に微笑ましい(本人たちは本気かしら)ですね。
by ゆーこ 2015-06-04 00:24
ゆーこさん
本気ですよ!意地と意地の張り合い、犬と猫の優劣がいままさに決まろうとしています!
by ケニア・ドイ 2015-06-05 21:54