15歳以上のいわゆる「高齢猫」の取材を続けてきて気づいたことがある。
それはどの猫も「逃げない」ということ。今回の高齢猫「ルイ」(17歳)もどっしりと構えてお出迎え。肝のすわり方が若い猫とどこか違うんだよなぁ。
しっぽは長めのほうがいい〜♪
ターゲットにされたファミリー
黒白猫のルイ(女の子)と飼い主・比良(ひら)さんとの出会いはいまから17年前。
ちょうど帰宅する比良さんの長男(当時18歳)とエントランスで合流、あとをついてエレベータに乗り、自宅のある6階までさりげなくついてきた猫、それがまだ1歳前後のルイでした。
私の作戦勝ちね。
当時比良さんは5人家族で、その朝、出勤や通学のタイミングで全員がマンションのエントランスで迷い猫ルイの姿を見かけていました。それは比良さんファミリーが過去に猫と暮らした経験があり、余計に気にかける性格も関係していたでしょう。そんな家族の「性分」を見逃さなかったのがルイ。その日エントランスを行き来する何十人の中から「この家族なら!」と比良さんファミリーにターゲットを絞り、中でも純粋な心を持つ長男を狙ったのがさらに功を奏したようです。その夜、帰宅したお父さんに「三日だけ面倒見るか。」と宣言させたら、もうルイの勝ち。ルイの見立てに間違いはなく、正式に保護され、比良さんファミリーの一員になったのでした。
ふっ、もう昔の話よ......。
食事とDIY
「ボイルしたホタテが好き。あとイカのお刺身も。」
「え!」
私はお母さんから意外な言葉を聞かされました。イカ?たしか猫のNG食材だったような......。帰って調べたところ生のイカにはビタミンB1を破壊する酵素があり、「ビタミンB1欠乏症」になるとのこと。症状が重いと立てなくなることも......。
しかし、ルイはいたって健康体です。1日に7〜8回は散歩に出掛ける程の健脚の持ち主で、この「イカ問題」はルイに関しては関係のないように思われました。(※一般的には、イカは猫NGの食材ですので、読者のみにゃさまはマネされないようにお願いいたします。)
ちょっとお母さん、あとで話(イカの件)があるわ。
ちなみにイカを毎日食べているわけではなく、あげてもその量はわずかで、通常はカリカリとウエットフードが主食です。食事は飽きさせないように各3種類をストックしていてローテーションを組みます。
現在比良さんのお宅には3匹の猫がいて、年齢も17歳、10歳、2歳とばらばらですが、みんにゃ同じ猫用フードを食べています。中でも3匹の最近一番のお気に入りは「懐石 2dish 海のおいしさ」とのこと。
ごはんを食べる場所は1階と2階にあり、水飲み場も多く用意されています。そこに多頭飼いならではの工夫がみられました。
この一軒家に引越してからお父さんのDIYの腕が冴えまくり、「猫タワー」や、天袋へ逃げる「はしご」などを自作されていました。このタワーやはしごが猫の高さへの欲求心をくすぐり、健脚を育て体力を維持する源になっていると思います。結果、それが長寿へと繋がるんだなぁ。
1階お食事処。蒸しホタテ大好きー。
2階お食事処兼ゴロゴロスペース。風の通り道だから気持ちがいいにゃー。
2階のベランダにはトイレが設置してありました。
お父さん手作りの猫タワー。まだまだ進化しそうです。
こちら末っ子2歳のキーコちゃんはシャイガール。
押し入れ上部、天袋へ上がるためのはしご。お父さんの「DIY」のひらめきはとどまることをしらない。
地域に恩返しする猫
長寿の秘訣は「イカ」ではなく、お父さんの「DIY」、その他は......。
冒頭にも書きましたが、高齢猫は総じて「逃げない」ものです。それに乗じて
ルイは子どもにも動じない猫。散歩好きなルイはリードを付けて毎日玄関先に鎮座します。そして朝の通学時間、近所の小学生たちはルイを見つけては駆け寄り、撫でてから学校へ行く。そんなルーティーンがどちらにも出来上がっているようです。「子ども」が苦手な猫って多いですよね?うちの猫も子どもが家に遊びにくるとダッシュで身を隠しますからね。
「ニャー!(散歩いくよー)」と言うそうです。
今日は雨降りだから軒先まで。晴れるとこの先の道路の際まで。道路に出れない長さにリードが調整してあります。安心ですね。
元々人間に愛想が良く、触られることが大好きなルイ。今度は自らが救われたエントランスという場所から、人間に恩返ししているのかな?地域の子どもたちの猫の教育係、猫啓発に一役買うことも、ひょっとして長生きの秘訣なのかもしれませんね。
そんな私の妄想、ご長寿猫探しの旅は続きます。
「車に気をつけて帰るんだよー。」もはや「緑のおばさん」的な役回り?!
おまけ的考察
ルイがお風呂場で水を飲んでいるとき、「あ!前にも似たようなことが!」と私はふと思ったのです。写真事務所に戻りデータを探してみるとそれがわかりました。
お風呂場で水を飲むルイ。
猫又トリップ2015年4月1日公開の
「ちいさいけど大物だ!」に登場した「ちいこ」もお風呂場で水を飲む姿を私に見せてくれました。実はこの2匹の飼い主さんたちは親戚(猫同志に血縁関係はない)なのです。離れた場所で同じ行動を、しかもなんだか猫の顔や体格も似ているから面白いなぁと。血縁関係にある人間の猫の飼い方、育て方は似ているのかなぁ?ひょっとして長寿猫を育てる人間側の「家系」「血筋」っていうのがあるのかも知れませんねー。とまたいつものアレが始まるので今回はこの辺で。また来週。
左が比良ルイ、右が西平ちいこ。名字もなんだか似ているし、同じチョビひげ女子という共通点も。
ケニア・ドイ ファースト写真集『
ぽちゃ猫ワンダー 』(河出書房新社)好評発売中
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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ご主人のDIYが素敵ですね!
by ゆーこ 2015-06-10 20:20
家にもちょびひげ女子(来月で8才)がいます(´・ω・`)
紹介されているルイさんや、他のご長寿さんたちのように、長ぁく一緒にいられたらなと思います。
次回はどんな猫さんが登場するのか?
楽しみにしています!
by きゃぐ 2015-06-11 02:10
きれいなグリーンの瞳がなにもかもわかっているかのようです。ちいこちゃんと似てること!ほんとに姉妹じゃないんですかと疑うほどです。縁を感じますね~~♪
by あずにゃん 2015-06-11 11:41
ゆーこさん
そのお言葉!ご主人のハートに火をつけましたね!
つぎに訪問したとき、どえらいタワーが完成しているかも?!
by ケニア・ドイ 2015-06-12 00:23
きゃぐさん
ちょびひげさんはきっと長生きの遺伝子を持っていますよ。
えーと、次回はですねー、18歳の女の子、メイちゃんが登場します。お楽しみに!
by ケニア・ドイ 2015-06-12 00:27
あずにゃんさん
そう、なにもかもお見通しなんですよ。あとルイさんもちいこさんも同じく保護猫出身、もしかして生き別れの姉妹??なんてまたアレが始まってしまいますよ!
by ケニア・ドイ 2015-06-12 00:30
ゆーこさん
猫タワーのバージョンアップ考えます。
天井を破らない範囲でですが、、、
by ヒラ主人 2015-06-12 10:52