「大穴(ダイナ)は、他の猫たちと比べて何が違いましたか?」と質問を投げかけると、ひとこと「平凡」という答えが飼い主・竹前直子さんから返ってきました。
平凡こそが長生きの秘訣?
白茶猫の大穴は20歳のご長寿猫。性格はおっとりで甘えん坊、先に亡くなった2匹の先住猫にいつも寄りそっていたというやさしい心の持ち主。そんな行動からメス猫と間違われることもしばしば。その一方、そと猫には激しく敵対心を燃やす本能もあわせ持っている猫だといいます。
大穴さんは隙間が好き。
竹前さんのお宅には、過去に「人間用トイレ」で用を足す「足袋(たび)」という頭のいい猫がいて、それに比べて大穴は「頭がいいというわけではなく平凡な猫」という表現になった次第で、「平凡=長寿」を理由にしてしまうと、ほとんどの猫さんに当てはまるので、えーっと、次の理由を探ります!
色んな猫さんを取材してもはやなにが「平凡」なのかわからない私。
「あっ!大穴さん!今日はよろしくお願いします!」
うまくいった多頭飼い、散歩で健脚に
生後半年の大穴は紆余曲折を経て竹前家にやってきました。一度トライアル(お試し期間)で別の家庭で過ごすもうまく馴染めず猫ボランティアさんのところへ出戻り、その後竹前家へ。子猫はすでに「ダイナ」と命名されていて「変えると猫も混乱するだろう」ということで漢字好きの竹前さんが当て字で「大穴」と決定。ちなみに先住猫は「足袋(たび)」(13歳没)、大穴のあとにやってきた猫は「賛太(さんた)」(15歳没)と名付けられました。
ちょっとO脚?!そそるじゃないの!←キャラ設定にも迷いが。
先住猫の足袋と子猫の大穴、二匹の相性は良好で、はじめての多頭飼いはうまくいったようです。猫ボランティアさんのすすめもあり、最初は「完全室内飼い」を遂行していた竹前さんでしたが、そこはノラ出身、どうしても外の空気が忘れられず外に出たがる大穴にとうとう根負けする時が!
しかしこのピンチは犬の散歩をヒントにリードを付けて猫の散歩という打開案で切り抜けます。それから散歩習慣は20歳になったいまでも続いていますが、最近の滞在時間はわずか1〜2分。それでも大穴にとって「散歩」は生きがいであり、健脚や長寿に欠かせない要因になっていると思います。これだ!ストレスのない暮らしに乾杯!
きょうも庭を散歩ニャー!
縁側から二人が見ているものは?
夏のひまわりでした。
20歳からの多頭飼い
私が取材した日の2週間前に「ホワ」くん(10歳)という白猫が竹前さんの家族に加わりました。先住猫たちが亡くなり、家族を独占してきた大穴にとっては、新たな刺激です。ホワくんは仲間になるのか?それとも天敵に?!
まだまだ楽勝だよ!階段を難なく上り下りする大穴。
大穴の20歳という年齢を思うと、「年寄りにストレスを与えるのはどうか?」と一時は消極的だった竹前さんですが、息子さんの後押しや万が一相性が悪くても部屋を分けることができる住環境も手伝って、ホワくんを迎え入れることに。でも迎え入れた最大の理由は「大変なときに家に猫がいたおかげで心安らかに落ち着いていられた」という言葉の中にあるような気がしました。
猫に救われてきた竹前さんだからホワくんを救いたい気持ち、恩返ししたい気持ちが強かったんだろうなぁ。猫エイズ陽性、10歳という年齢で里親探しがとても難しい猫がいると息子さんから相談をうけたとき、まっさきに手をあげた竹前さん。まるでこの時を待っていたかのように。
遊びのあとは水分補給。主食は「カリカリ」です。
いまは1Fと2Fをそれぞれの住居スペースに分けています。ホワくんを迎え入れてから1週間がたった頃、不意に2匹はご対面するのですが、大穴は怒ることもなく、近づくこともなく、気にもとめない様子。一方のホワくんも同様でした。あとは時間をかけてお互いの存在を認め、距離が少しずつ縮まることを私も期待しています。また20歳から始まる多頭飼いが「吉」と出た!というご報告、心よりお待ちしています。
新人、ホワくんはタンスの住人でした。
もしかしてお昼寝タイム?じゃあ、そろそろおいとましますね。
「見えてるニャー。」はい、本当に失礼します......。
【おまけ】竹前さんお手製のウエルカムボード。猫も人も迎えことが本当に上手な方でした。
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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ダイナちゃんかわいいなー!
ますますお元気で!
ケニアドイさんの写真の雰囲気がとっても好きです!
by しましま 2015-08-26 12:00
うちにも21歳までがんばってくれたにゃんこが2猫いましたが、今年相次いでなくなりました。でもやっぱり特別なにかしてあげていたわけでもありませんでした。また最大14猫という多頭飼いですが、ちゃんと序列があって大丈夫でした。ホワくんって、もしやフェイスブックなどでシェアした子でしょうか? もしそうならその後が知りたかったので嬉しいです。続編まってます!
by Alicia 2015-08-26 13:49
しましまさん、こんにちは。
いつもコメントありがとうございます!
by ケニア・ドイ 2015-08-29 18:11
Aliciaさん、こんにちは。
そうです!あのホワくんです。元の飼い主さんが急死してしまい、ひとりアパートで残され保護されたあのホワくんはいま安住の地を手に入れましたよ。
by ケニア・ドイ 2015-08-29 18:15