岩津さんに聞く!
2015年10月09日
みにゃさま、こんにちは。
今回は、フェリシモさんの地元、神戸 三宮にある "猫と遊べるいやしのスペース" 「猫クラブ く~にゃん」さんにお邪魔しました。
く~にゃんさんは、今年の6月にオープンしたばかりで、たくさんの猫と遊んだり、写真を撮ったりできるお店です(飲食の提供はないので、猫カフェではありません)
お店には一部譲渡を待っている猫さんもいますし、月一回、保護猫の譲渡会も開かれていて、愛護活動にも積極的に関わっていらっしゃいます。
オーナーのHさんからいくつか相談したいことがあるということで訪問しました。
く~にゃんさんの猫たちはみんな人懐っこい子ばかりで、大人から子どもまでスリスリしてくれる子がたくさんいます。猫好きさんにとってはまさに楽園!
いつの間にかおひざにちょこんと。
さて、ひとつ目のご相談は、こちらのラナちゃんが2週間ほど前から急に店内のあちこちで粗相するようになったとのことです。らなちゃんはHさんによると、いつもは少し怒ったような表情とのこと。
「ラナちゃん、おしっこしてるの?」と私が聞くと、プイッとそっぽを向きます。明らかにご機嫌ななめで、「何で分からないのよ!」と心の中でつぶいています。不満があることを分かってほしい為に、わざと怒った表情をしているのです。粗相もそうです。
く~にゃんさんには最近になって子猫が何匹かメンバー入りしましたが、子猫たちが来るまで、ラナちゃんは末っ子の特権で皆にかわいがられていました。スタッフさんのラナちゃんに対する愛情は変わらないのですが、どうしても子猫の方に手がかかってしまいます。これが不満の原因ですね。
どんなに心では大切に思っていても、その思いが相手に伝わらないのは残念なことです。まずはラナちゃんに事情を話し、悲しく寂しい思いをさせてごめんねと伝えてください。そしてHさんの方から、遊びに誘ったり、頻繁に声を掛けてください。
ラナちゃんのような甘えん坊の子の場合は、皆の前で「見せる」ことも大切です。みんなの前でかわいがると、「みんないるのに私を選んで、私だけをかわいがってくれてる。大切にしてくれてる。」と彼女の自尊心を満たし喜んでくれるでしょう。
気持ちが満たされれば粗相することも減り、やがてなくなると思います。みんなの前で注意したり怒ったりすると逆効果になってしまいます。
(※猫部スタッフ注釈: 医学的に、粗相はストレスや病気の兆候の可能性もありますので、獣医さんへの受診もおこなってください。)
ふたつ目の質問。店内でケージに入っている上の猫さんの「らち君」。ケージから出すと他の猫を追い回して派手なけんかをしてしまうので、けがを防ぐためにケージから出せないそうです。「ねえ、お外に出たいよ。出してよ。」と鳴いています。ケージから出すときは、他の猫を隔離してからだそうです。
ケンカするようになったきっかけはこんな風でした。
らち君をお迎えしてすぐのこと、らち君が生まれたばかりの子猫の側を通り、「あ、赤ちゃんだ!」と興味津々で近づくと、神経質になっていた母猫に「あっち行って!」とこっぴどくやられてしまいました。それ以来、その母猫に恐怖心と敵対心を強く持つようになったのです。子育てが終わって母猫が落ち着いたころ、らち君は仕返しとばかりにその母猫とその子どもたちを攻撃するようになってしまったということです。
らち君は元々怖がりさんなので、母猫にやられたことを教訓に、「あんな怖い思いは二度としたくないから、やられる前にやっておかないと」とみんなに攻撃することに決めました。「ぼくはこんなに強いんだからね!」と強さを誇示しているのです。でも本来は気が優しくのんびり屋さんで、皆と平和に暮らしたいと思っています。けんかなんてしたくないのです。
今はケージに入っているストレスもあり、過敏で気が立っており、冷静になることが難しい状況です。
ケージに入れておくのもかわいそうなので、近々らち君はHさんのご自宅でケージから出て過ごせるようになるそうなので、環境に慣れたころに母猫との一件を振り返り、母というのは子どもを命がけで守るために攻撃的になる時期があること、らち君が嫌いで攻撃したわけではないことをお話ししてあげてください。
そして高ぶった気持ちが落ち着き、安定したころに、その母猫とらち君の間に入り、お互いの事情を話して誤解を解いてあげてください。改めてお互いの紹介もお忘れなく!
ケージに入れておくのも、らち君だけを仲間外れにしたわけではないと事情を伝えて謝ってくださいね。Hさんのお気持ちを受け入れてくれるはずです。
最後のご相談は、7歳の女の子、「みゃうちゃん」に関してです。
みゃうちゃんは1ヵ月前に乳がんと診断され、もう先は長くないと獣医さんに診断されたそうです。年齢とがんの症状から、手術はできません。がんは肺にまで転移し、乳がんは脚の付け根まで広がり、歩くこともだんだんと困難になり食欲もありません。Hさんはみゃうちゃんが今どんなことを考えているのか知りたいとのことです。
みゃうちゃんは体が辛い中、ぽつりぽつりとお話ししてくれました。
「子どもをたくさん産みたかった」と、自分の子どものようにかわいがっている猫たちを見渡して言いました。みゃうちゃんは避妊手術をしているので子どもを産んだことはありませんが、他の子をとても面倒見よくお世話していたそうです。とても母性が強く、愛情豊かな性分で、そのやせ細った体からみんなに対する愛情があふれ出ています。
「楽になりたい。今はその時が来るのを待つだけ。天国に逝ったら会えるかしら」と熱を持った体で、肩で息をしながら言いました。会えるかしら、と言うのは同じ乳がんで天国に逝った仲良しだった子のことのようです。
周りの若い猫たちが楽しそうに走り回っている姿を見て、「よかった。みんなが幸せそうで本当によかった。」と心からうれしそうにつぶやきました。みんなのお母さんのような存在であるみゃうちゃんの幸せは、く~にゃんにいる子どもたちが幸せであることです。
食欲のないみゃうちゃんに、「何か食べたいものはない?」と尋ねると、「プリン」と言います。プリンを食べる猫さんは今まで見たことが無かったので、「プリン?あのプリン?」と尋ねるとうなずきます。確かにプリンの映像も見えました。
Hさんにこの事をお伝えすると、娘さんの好物がプリンで、そのおすそ分けを昔ほんの少しもらったことがあるとのこと。そのことを覚えていたのですね。みゃうちゃんは体の内側、特に肺が熱いので、冷たくてつるりと食べられるものが欲しかったようです。プリンは本来、猫さんの食べ物ではありませんが、猫生の最後くらい欲しいものをあげるのもいいのではないでしょうか。(健康な猫さんはお控えくださいね)
食べられるものを食べ、我が子のようにかわいがっている子達に囲まれ、みゃうちゃんはその時まで幸せな時間を過ごすことでしょう。
【10/14 追記】 後日、Hさんからご報告をいただきました。
粗相をしていたラナちゃんにたくさん話しかけて遊んでいたら、粗相が止まったそうです。気持ちが満たされた証拠ですね。そして、病を患っていたみゃうちゃんは10月13日の朝、天国へと旅立ったそうです。天国では元気な姿で子猫たちのお世話に忙しくしてることでしょうね。
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猫クラブ く~にゃん
OPEN 12:00〜20:00、 不定休
TEL 080-3826-8428
住所 兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町4-3-1ヤナイビル2階
twitter : @catclub_kuunyan
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こんにちは♪いつも興味深く拝見させて頂いてます。こちらの枠からお話伺ってもよろしいでしょうか?。団地内の野良猫ちゃんに声かけています。様子を伺ったり気温の話をしたり…。
先日いつもと違う場所にいてベランダからの声かけをしました。すると3階にいる私に気づき見上げて鳴き始めました。"な~にどうしたの?と聞くとまた鳴き暫く続きました。
外で会う時は目はそらさずですが鳴くなんてありません。2日経ちますが見る度気になり具合でも悪いのかなと心配です
by SMACH 2015-10-12 12:58
> SMACH様
こんにちは。
お友達やご近所さんのように、他愛もない会話を日常的にされるっていいですね。
その猫さんは何を言っているのでしょうね。何か気になることがあるのでしょうか…言いたいことがあるのは確かだとは思いますが。
by 岩津 2015-10-12 16:56