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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年10月20日

猫を迎えるその③・・・「見捨てられないいのち」

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市川市の住宅地にある「カフェジャスパ」は、地元の人たちのくつろぎの場として愛されている喫茶店です。
光の射し込む窓辺に、まだ初々しいお年頃の茶トラちゃん。「トラミ」ちゃんです 。

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「何見てんの~」とばかり、もう一匹三毛ねこさんが。

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「エル」ちゃんです。

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床の上では、「クロミ」ちゃんがおもちゃで遊んでいます。
好奇心今が盛りの看板猫たちです。

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同じお年頃の猫はもう一匹。ふだんは2階にいて店には下りてこない「エム」ちゃん。エルちゃんの姉妹で、エルちゃんと見分けのつかないくらいそっくりですが、名前があらわすように、サイズがちょっとだけ違います。
ときどき、気が向いた時に店に下りてくるのは、独眼の「マサムネコ」ちゃん(3歳)。

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このほか、2階には、トライチ(12歳)、ミケミ(12歳)、タロウ(8歳)、マロン(8歳)、フウ(5歳)がいて、なんと総勢10匹の猫たちがひとつ屋根の下で暮らしています。
すべて、ワケアリの保護猫たち。トラミ、クロミ、エム、エルの4匹は、去年の6月に、カオリさんが一挙に保護した8匹のまだ目も開かない仔猫たちのうちの4匹です。

「一挙に8匹!!」
驚く私に、カオリさんはそのいきさつを話してくれました。
近所の古いアパートにノラたちが住みついていて、ご飯は近隣に人からもらっていましたが、けっしてなつかない猫たちで、手術までは手が回っていない状態だったそうです。
そこへ、アパート取り壊しの情報が。近所の人たちが「仔猫が何匹か生まれているみたいだけどどうしよう」と話し合ってるうちに、解体業者が「廃材と一緒に仔猫もゴミで出す」と言っているという話が、カオリさんの耳に入ってきました。

すでに6匹の保護猫がいましたが、一刻の猶予ナシ。「考えている場合ではない」と、カオリさんは個人で仔猫たちの緊急保護に。まず5匹を無事保護しました。
これで終わりと思っていたら、目も開いていない仔猫がまだ3匹いることがわかり、その子たちも続けて保護。
「一度に8匹保護なんて、主人に言ったら、ダメと言われるにきまってますから、最初は内緒で店の奥の小部屋で面倒見てま した。でも、すぐバレましたけど(笑)」

それ以前に引き受けた猫たちも、持病の治療費にお金がかかるから要らないと飼育放棄されたり、捨てられたりしていた子たち。命を見捨てることのできないカオリさんなのです。アパートは仔猫保護の後、取り壊されましたが、母猫たちの避妊手術は有志で費用を出し合って済ませ、地域猫として見守っています。

さて、保護した仔猫8匹は、里親募集開始。一匹は残念ながら育ちませんでしたが、3匹はもらわれていき、4匹がカオリさんの元に残りました。
「10匹が限度。もうこれ以上はぜったいに増やせませんが、縁あってうちの子になったこの子たちは終生可愛がります」

10匹のお世話はさぞ てんやわんやだと思います。でも、それぞれに個性あふれる10匹はにぎやかに暮らしを彩り、笑顔にさせるお返しをいっぱいくれていることでしょう。

閉店後の店内は、猫たちの遊び場ですが、開店中も、「お客さんの要望や許可があれば」、人なつこいトラミ、クロミ、エムちゃんの3匹娘は店内フリーになるそうです。

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ハッスルしすぎて、テーブルに飛び乗り、ママに「ダメでしょ!」と叱られることも。抱っこされて、手をギュッとされるだけですけど、神妙な顔のトラミちゃんです。

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あれ、閉店間際の店内で、トラミちゃんに近寄る黒い影が・・・。

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トラミちゃん大好きの、保護犬の「ポッキー」です。
ポッキーは、遠くの町で飼われていた犬。最初の飼い主は、ポッキーが子犬の時に気に入って飼い始めたものの、「こんなに大きくなる犬とは思わなかった。小さいままの犬がほしかったのに」と、すくすく育っていたポッキーがこれ以上大きくならないように一回に数粒のカリカリしか与えないなど食事を極端に制限。見かねた人が保護した時は、ガリガリに痩せていました。
カオリさんはそんなポッキーをもらい受けました。これまでひもじい思いをしていた分、充分にゴハンと愛情を与えられ、近所の方も「つらかったねえ」とおやつを持参するので、みるみるポッキーは太ってしまい、 今度はダイエットする羽目に。
今では、無事、適正体重です。日中は、通りが見える玄関先でくつろいでいて、学校帰りの近所の子たちに可愛がられています。

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猫も犬も、愛されて安心すると、目がまあるくなってのんびりした表情になるのは、おんなじこと。
捨てる人あれば、迎える人あり。
でも、どんなことがあっても、いのちを捨てるような、そんな恥ずかしい人にだけはなりたくないものですね!


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

佐竹様
《カフェジャスパ》の猫ちゃん達、本当に可愛いですね。是非一度お邪魔したいと思っています。
注文した本が届きました。可愛い猫ちゃん達の写真と佐竹さんの暖かいコメントに感動しています。
「道ばた猫ものがたり」の見送り猫に泣けました。
「しあわせになった猫 しあわせをくれた猫」の黒猫リリコのおばあさんは、お母様なのですね。リリコがおばあさんのパイプベッドの下でうずくまって眠るところで号泣しました。自分の事ばかりですみませんでした。お母様の事、大変だったのですね。お悔やみ申し上げます。「リリコ、リリコ、かわいいリリコ」と歌うようにささやく声が、元気だったおばあさんの声のトーンと同じだったところで、又 号泣してしまいました。佐竹さんのその優しさと才能はお母様ゆずりだったのですね。

by 佐藤 眞弓 2015-10-20 14:46

我が家にご飯を食べに来る野良母さん、(サザエさん)額と耳の模様があのおなじみの髪型にそっくりです。初めてあった頃は威嚇しかしませんでした。今は子猫も自立して、避妊手術も済ませ、もう少し心を開いて欲しい所なんですが、可愛い声で鳴くようにはなったけど、控えめに威嚇はしてきます。よく見ると、しっぽの先端が不自然な形なのに気付きました。まるでハサミで切ったような。獣医さんによると、この子は五歳ぐらいとのことで、今までどんな風に生きてきたのかと思うと胸が痛みます。きっと心ない人間に虐待されたこともあるのかなとこれから時間はかかっても仲良くなりたいです新しい子を迎えても彼女には、ずっと側にいて欲しいから。

by ふみちゃん 2015-10-20 17:22

どんな人に出会うかで、いのちが左右されてしまうってとても怖いことだと思いました。
最近「生後半年くらいかな?」という猫をあちこちで見かけて「元気に育ってね」と思いながら見送ります。 (こちらは田舎なので今でも外と中を自由に行き来させてる方も多くて野良なのか飼い猫なのか判断のつかないことも多いです。) 
私も自分の出来ることから少しずつ…頑張りたいです。

佐竹さん、今更ですがうちの頭としっぽだけ黒い猫はセンター分けです(笑)

by さりゅ 2015-10-20 22:13

>真弓さん

何回も泣かせてしまったようで・・・心の中によく響く共鳴板をおもちなのですね~ じっくり読んでくださってうれしいです。
ジャスパにいらっしゃることがあったら、「猫に会いに来ました」とお店のカオリさんにおっしゃってください。会わせてくださると思います。

by 道ばた猫 2015-10-21 01:13

>ふみちゃんさん

かわいい声で鳴く、控えめに威嚇する・・・ノラさんなりに懸命に近づいてきているんですね~
仲良くなるのも、きっともうすぐの気がします。
なかなか手ごわかったコが、最初のスリンをしてくれる嬉しさは、たまりませんよ!
私は何度も何度も経験ずみ(笑)。

by 道ばた猫 2015-10-21 01:20

>さりゅさん

そうですか、センター分けですか。渋いですね~。
いっそう親近感が…(笑)。
さりゅさんに出会えてよかったね!

by 道ばた猫 2015-10-21 01:30

とっても素敵なお店、そして素敵な店主さんですね!
ニャンコもワンコもとっても幸せそうな顔してます♡
私の実家にも10匹の保護猫達がいるので10匹というにゃん数に勝手に親近感を覚えてしまいました。
(実は外にも4匹いるのですが(笑))
私の母は元々猫は苦手でしたが、今いる17歳のニャンコを保護したことがきっかけで今はすっかり猫達のばあやとなっています。(にゃんこはうすとして近所ではちょっと有名になってます(笑))
命を預かるということはとてもとても大変ですが、その分とても幸せな時間や元気をもらってるし、猫達のおかげで今までお付き合いのなかった人達ともお付き合いがあるようになったりしてるのでしっかりと恩返しもしてもらってると思います。
こちらのカフェのニャンコやワンコも素敵な看板ニャンコ、ワンコとしてたくさんの人達を招いて、たくさんの人達に幸せをあげて恩返ししているんだと思います。

by みぽこ 2015-10-21 10:26

とっても素敵なお店、そして素敵な店主さんですね!
ニャンコもワンコもとっても幸せそうな顔してます♡
私の実家にも10匹の保護猫達がいるので10匹というにゃん数に勝手に親近感を覚えてしまいました。
(実は外にも4匹いるのですが(笑))
私の母は元々猫は苦手でしたが、今いる17歳のニャンコを保護したことがきっかけで今はすっかり猫達のばあやとなっています。(にゃんこはうすとして近所ではちょっと有名になってます(笑))
命を預かるということはとてもとても大変ですが、その分とても幸せな時間や元気をもらってるし、猫達のおかげで今までお付き合いのなかった人達ともお付き合いがあるようになったりしてるのでしっかりと恩返しもしてもらってると思います。
こちらのカフェのニャンコやワンコも素敵な看板ニャンコ、ワンコとしてたくさんの人達を招いて、たくさんの人達に幸せをあげて恩返ししているんだと思います。

by みぽこ 2015-10-21 10:28

本当に人間て勝手です。小さいままが良かったからと言う理由なんかありません。生きてるから大きくなるんです。業者の方ゴミと一緒にと言ったのはある意味その方は仕方ないかもとは思っても生きてる命を処理とか言わないで欲しいです。でも元たどれば人間の勝手な行為なんですね。私も優しい方達の思いに賛同するだけで何も出来ないですが縁あって巡り会えた子達の事を責任持って生活しましょうと声だけはあげていきたいです。今回紹介して頂いた子達に関わった方ご苦労様でした。お世話頑張って下さいね。

by ひとみ 2015-10-21 15:29

ポッキーくん、優しくて可愛いですね^ ^
でも前の飼い主の話で、怒りが・・可哀想に
(/ _ ; )
動物飼う資格のない人が多すぎると思います!
本当に資格制にならないかな・・
特にお外で飼われてるワンちゃんは身動きが取れない分、酷い目に遭ってるコが多い気がします>__<
もちろんいい飼い主さんの方が多いとは思いますが・・

今は辛い過去があるとは思えないくらい本当にみんな幸せそうで嬉しくなります^ ^
カオリさんはじめ、保護に関わった方たちにお礼を言いたいです^ ^

by akiko 2015-10-21 19:13

>みぽこさん

ご実家に10匹! お母様、ありがとう。みぽこさんの言う通り、いのちを預かることは大変だけど、お返しもいっぱい。我が家もいちばん多い時は猫9匹、犬1匹でした。猫が大好きな犬で、亡くなるときは、お世話してもらった猫たちが円陣で見送りました。こんなおとぎ話のような世界も見せてくれるのも、素敵なお返しの一つだと思います~

by 道ばた猫 2015-10-22 00:25

>ひとみさん

いまの猫ブームが「うちの子カワイイ!」だけでなく、猫がこの世に存在してくれる根源的なしあわせを考えるきっかけになり、「しあわせな猫」「ふしあわせな猫」なんて区別がなくなっていくといいですね!

by 道ばた猫 2015-10-22 00:39

>akikoさん

学校帰りの近所の女の子がお店に立ち寄ってステイックジャーキーをもらい、ポッキーにおやつとしてあげるのが日課となっています。ポッキー、楽しき第2の犬生ですね!

by 道ばた猫 2015-10-22 00:59