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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年02月16日

里山の子

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雨上がりの陽ざしのなかへ、ゴローちゃんが踏み出しました。
ふわふわの白い毛が光り、目は好奇心で輝いています。

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原っぱで見上げる空は、青くてひろくて、いい気持!
里山の子になって一カ月半。もう食いっぱぐれることも、冷たい雨に打たれることも、大きな音や車にびくびくすることもありません。

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「ヒデキもヒロミもおいでよう。お日さまの下は気持ちがいいよ!」
3匹兄妹のなかで、いちばん体が小さいのにいちばん好奇心が旺盛で人懐っこいゴロー。ヒデキとヒロミは、ちょっとビビりで、猫小屋の入り口でもたもたしています。

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ヒデキとヒロミは見分けがつかないくらいそっくりで、両足の白いのがヒデキ。右足に黒い部分のあるヒロミは女の子です。
「ゴロー・ヒデキ・ヒロミ」というかつての「新御三家」と呼ばれた歌手の名をつけたのは、ママであるマリコさん。10代の頃、よく聴いていたのかな。
マリコさんは、あとからあとから、よそから持ち込まれる路頭に迷っていた子猫たちを、「私がNOと言ったらこの子たちはどうなるのだろう・・・」と、やむなく受け入れてきました。

でも、一年前、20匹目の子猫が持ち込まれた時、「もうこれ以上は無理。打ち止め!」とばかり、その子に「トメ子」という名をつけたのですが...・2匹旅立って、18匹になった昨年初冬、またもや「ここで引き受けてもらえたら」という切羽詰まった話が持ち込まれたのでした。
聞けば、捨て猫の名所となっている海辺の公園で、もともとは捨てられた猫である母さん猫が子どもを産んで、交通事故に遭い、遺された子猫3匹が冷たい雨に濡れて、身を寄せ合っているというのです。

そんなときのマリコさんの決断は、素早いのです。仕事で毎日忙しいので、「いわゆる猫可愛がりはできないけれど、ご飯と雨露しのげる猫小屋はここにはある。18匹が21匹になるだけ・・・・」と。
でも、マリコさんの心の中は、「もう猫を捨てたり、人に押し付けたりするのはいい加減にして」という思いでいっぱいです。

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そんなわけで、マリコさんにいのちをつないでもらった3きょうだい。
里山風景と先輩猫たちに囲まれて、のびのびと大きくなっています。畑の葉物が春の陽ざしを浴びてぐんぐんと生長するように。

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木や屋根に上ると、いっそう空がひろがって、里山風景が見渡せます。

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ヒデキちゃんも、ゴローちゃんにつられて木登りに挑戦。

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やはり保護猫のレモンちゃんも、新入りが可愛くってしかたないようす。そっと付き添ってくれています。
ここでは、以前に持ち込まれたワケアリ猫たちが、新入りワケアリ猫の面倒を見るという、「自治」が確立しているようです。

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早春の里山は光でいっぱい。
町の「猫ブーム」とは無縁の、ニンゲンに見捨てられた猫たちを受け入れ、その悲しみも寂しさもそっと溶かし込む大自然と、あたたかい家族がここにありました。

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「松山庭園美術館」で3月13日まで開催中の「房総~猫に戻れる場所~」展にあわせ、房総で暮らす猫たちを、このあともシリーズで何回かご紹介していきます。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

美術館に行ってしました。どの写真も素敵で、猫達がみんな与えられた命を懸命に生きている姿に笑いながら泣いているような、そんな不思議な顔になっていました。この子達が幸せになる手伝いができるのは人間で、不幸にするのも人間なんだなーと考えてしまいました。幸せにできる人間、佐竹さんや此木ご夫妻のような人が増えて欲しいと切に願います。もみじくんやふくちゃん、虎之助くん、みんなの可愛いこと愛情に包まれて幸せなんだなと涙が出るほど感動しました。これから何度でも足をはこびたいです。

by ふみちゃん 2016-02-16 17:16

確かに今はテレビでも雑誌でも猫がもてはやされています。
猫好きには嬉しいことですが、責任のない飼い主が増えないことを願います。
迎えたからにはせめて最後まで一緒に・・・
マリコさんのように沢山の命を守ることは出来なくても、うちに迎えた命は守りたいと改めて思いました。

by よーこ 2016-02-16 22:33

>ふくちゃんさん

ご来館ありがとうございました!
ノラや捨て猫だった虎之介・モミジ・福ちゃんたちがのびのびと遊んでいる美術館で、房総の大自然い暮らす猫たちを写真で紹介できて、それを猫好きの方がニコニコ見てくださる。なんともうれしい循環です~。猫ねこ展のときもぜひ!

by 道ばた猫 2016-02-17 09:32

>よーこさん

ブームがうわべの一過性のものではなくて、すべての猫たちのしあわせと、いろんな共生のあり方を考えるきっかけになるとうれしいのですけれど。「楽しくて、猫のためになるブーム」を猫部さんにひっぱっていってもらいたいですね!

by 道ばた猫 2016-02-17 09:38

私も美術館に行ってみたいです。
マリコさんの決断で3匹がまた路頭に迷わずにすみました。ありがとうございます。
うちの子になってくれたコロンボも大きくなり来月去勢手術の予定です。
ネコブームがただのブームで終わりません様にどのネコも幸せになります様に祈ります。

by 紫音 2016-02-17 18:14

ゴローちゃんが空を見上げている写真、可愛いですね!レモンちゃんを連れて歩いているゴローちゃんの足取りも、力強くて意気っている感じが、なんとも笑っちゃいました。レモンちゃんとの貫禄は比べ物にならないですけどね。
マリコさんのご苦労も大変だと思いますが、トメ子のあともこの三匹を迎えてくれて本当にありがとうございます!

by ちぃこ 2016-02-17 19:49

>紫音さん

じわじわ猫の味方が増えていき、世論や行政を巻き込んでいく永遠の静かな猫ブームであってほしいですよね~。 コロンボちゃん、すっかり家族のようですね! ぜひ美術館へ。

by 道ばた猫 2016-02-18 01:11

>ちぃこさん

3兄弟のなかで、いちばん体格のちっちゃいゴローだけが、いけいけどんどんなんですよ(笑)~
ゴロゴロゴロゴロと大音量で、先輩猫たちに見境なく甘えてます。だから、ゴロー?

by 道ばた猫 2016-02-18 01:16

私も松山庭園美術館に行ってみたいと思っています。
アクセス等の情報を載せていただけませんか?

by 名無し 2016-03-31 15:14

>名無しさん

美術館へは、車ですと、千葉東金道路最終出口の横芝光インターから20分ほど。(松山神社の脇の細い道を進み、ゴルフ場脇も通りすぎ、田んぼに囲まれた丘の上です)電車ですと、JR総武本線八日市場駅下車。タクシーで10分(1400円くらい)。バスの便は悪いので、タクシーが便利です。
4月15日からは猫ねこ展2016が始まりますよ~(6月まで) 金・土・日・祝日のみの開館です。

by 道ばた猫 2016-04-03 23:15