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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年04月26日

楽しきわが家

殺処分寸前だったところを引き出され、NPO「犬と猫のためのライフボート」のシェルターへ。まだ3カ月だったハチくんの里親になってくれたのは智子さん。ご主人のご病気の後遺症と、ご自身が定年を迎えたこともあり、都内のマンション暮らしから終の住まいとしての農村生活へと、居を移したばかりでした。青空と木立、畑、原っぱしか見渡せない、なんとものどかなところです。

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ハチを迎えたのは5匹の先住猫たち。
まずはシャ~ッ、フ~~の洗礼を受けた後、ハチは、仲間の一員に迎え入れられました。
「猫たちは、ハチのことを、体の大きな猫だとでも思ってるみたいです。やることは同じですから」と、智子さん。

猫たちもじつは、全員保護されたワケアリたちだったのです。
いちばん古参は、20歳になるサバ白のかりんちゃん。

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息子さんが車で大きな橋を走行中、猫が横切ったのを発見。すぐ下は深い川。橋脚の下に逃げ込んだところを車を停めて保護しました。猫は皮一枚でしっぽがちぎれかかっていて血だらけ。すぐ切断手術を受けました。頭の上に人の手がいくのをとても恐れるので、捕まえられていたずらされたのかもしれません。神経がダメになっていたので自力で排尿することができず、獣医さんに何度も安楽死を勧められましたが、家に迎え入れました。いまは智子さんが、毎日、7~8回、排尿の介助をしています。

8年前に保護したのは、生まれたてで捨てられたらしき「はづき」ちゃん。三毛猫らしく我が道を行く猫さんです。

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さらに、6年前には、ゴミ捨て場に捨てられていた子猫たちを保護しました。あわせて、「団子3きょうだい」。
「もう、1匹も3匹も5匹も同じだと思って」と、なんとも懐の大きな智子さん。ありがとうございます!

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パソコンの上でくつろいでいるのは、サバ白の雄猫げんちゃん。「何かあると相談したくなるの」と智子さんが言うほど、普段はどっしり構えていますが、ご飯時になると、人のお皿を横取りするほどの食いしん坊。甘えん坊で気まぐれな黒白ななちゃんは、猫缶ストックのバケツの中探検中。甘えん坊のサバ白ねねちゃんは、蛇口から水を飲むのが大好きです。

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食事時は、それはにぎやか。うかうかすると横取りされますから、食いっぷりのいいこと!

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周りは自然がいっぱいだし、車も来ない猫天国。猫たちは引き戸を自由に開けて散歩に出かけて行きます。
菜の花畑へ走っていく猫、新緑の木に登る猫、納屋の探検をする猫・・・。思い思いに春を満喫。

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かりんちゃんは、草むらで智子さんに下腹を絞ってもらっておしっこをした後、菜の花畑へ。

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ハチくんも、原っぱで、智子さんと追いかけっこでおおはしゃぎ。

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ああ、楽しかった。室内に戻って、遊び足りないハチくんは、猫たちとじゃれ合い。
抱きしめたりなめたり、「大好き」を体じゅうで表現します。
そして始まる、いつもの光景がこれ。

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食べちゃいたいくらい、キミが好きっ!
頭ごとガブリ。そっとそっと、大切にガブリ。 
あんまりしつこいと、「もうっ、いいかげんにして!」と、猫たちにシャ~されてすごすごひきさがるハチくんです。

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シェルターに保護されるまでのハチくんに何があったのかはわかりませんが、ハチくんは今でも男の人をとても怖がります。ベランダにデッキチェアが置いてあるのも、なぜかビビります。
いろんな思いをした末に集まってきたハチくんと猫たち。これからはずっと一緒に年を重ねていきます。そう、楽しき仲間と楽しきわが家で。
あれっ、ハチくんの口元、思いきり「スマイル」しています。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

読んでいてジーンと来ました。猫ちゃんたちも犬のハチ君もきっと辛い過去があったのだろうけれど、今、とても幸せそう。自然に囲まれて、優しいお母さん(とお父さん)との一緒の暮らし、本当に良かったねと思います。けがをしたかりんちゃんを助けた息子さんにも、ありがとうって言いたいです。

by ゆーこ 2016-04-26 21:46

>ゆーこさん

捨てた手、いじめた手、さしのべた手、可愛がる手・・・ハチくんや猫たちは、人間のいろんな手を知ってるんですね。手の温かさを知ってくれてよかった!

by 道ばた猫 2016-04-27 09:21

こんな素晴らしい環境の中でのびのびと暮らす事が出来て、本当に幸せなコ達ですね。
消えてしまうかもしれなかった6つの命。
それを想うと、ハチ君の笑顔を見ていてもじーんとしてしまいます。
智子ママ、息子さん、ありがとう。
そして道ばた猫さま、素敵なお話をありがとうございました。

by かよ 2016-04-27 10:30

本当に大切そうにガブリ! 素敵だなぁ。 猫さんを抱っこするハチくんの写真がとても好きです。
みんなかわいいけど、はづきちゃんはかなり好みの三毛さんです。みんな幸せになれてよかった!
智子さんご家族に感謝です。

by さりゅ 2016-04-27 14:44

ハチくんの幸せそうなこと!写真からだけでも、家族が、このおうちが大好きなことが良く伝わってきますね。僕の家族だよーって自慢しているようで微笑ましいです。
かりんちゃんも20歳とは思えないほどの美猫ですね。
我が家も猫軍団の中に犬一匹ですが、犬からすると猫ばっかりあまやかされてずるい!と猫のことをちょっとライバル視しているみたいです^^

by ちぃこ 2016-04-27 20:21

>かよさん

ハチくんの笑顔に、智子さんの笑顔。私もずっと笑いっぱなしでした。犬や猫との共生は、精神衛生にもバッチリだということ、もっと世にひろまってほしいですね!

by 道ばた猫 2016-04-28 11:10

>さりゅさん

ハチくんは、はじめて会う人が苦手で、最初はシッポが縮まっておどおどしていましたが、一緒に遊びだすと、おちゃらかぶりを発揮。猫もかわいいけど、犬もかわいいです!

by 道ばた猫 2016-04-28 11:16

>ちぃこさん

猫ばっかり甘やかされるのは・・・・犬が猫よりおバカで調子に乗ると止まらなくなるからでしょう(笑)。それぞれの可愛さがありますから、両方飼うと楽しいですよね~

by 道ばた猫 2016-04-28 11:19

運命が間違った方向に向いていたら、確実に亡くなっていたか或いは不幸な一生を送っていたかもしれないハチ君をはじめかりんちゃんたち…
運命の飼い主に出会ってからは一変して幸せな日々がやってきました♪
頭を甘噛みされてもされるがままの猫たち!
まるで兄弟喧嘩を見ているようです!!
その一瞬、一瞬を逃さず撮影出来る佐竹先生、お見事です!

by 川口 茂 2016-04-28 20:05

>川口茂さん
外で暮らす猫さんたちのほんの一部の、モデルケースみたいなことなんでしょうね。ところで、「先生」はやめてくださいね~。尋常でない猫好きライターの佐竹さん、でお願いします(笑)。

by 道ばた猫 2016-04-29 23:42

外にいた猫をずっと飼ってます
それぞれ、いろんな事、物に反応します。
ただ、総じて言えば、男性の事が好きではないですね。
虐めてるのは、男性が圧倒的に多いと確信してます。
危険な事、怖かったこと…
それ以上に今の幸せを感じて生きてほしいと思います

by 毛玉 2016-04-30 07:59

>毛玉さん

うちもずっと保護猫ばかりですが、怖がることがそれぞれ違います。きっと何かの記憶に結びつくのでしょう。ゴミ収集車を怖がるコもいたし、背の高い人を怖がるコもいたし、猫を怖がるコもいました。
抱きしめてあげることしかありませんよね。「大丈夫だよ」って。

by 道ばた猫 2016-05-01 01:00