ナルトくんは、所沢市の住宅街にある陶芸教室「月下陶房」の看板猫。
保護したのは、月下陶房のアヤコさんの友人でした。(月下陶房は共同経営で、事務をアヤコさんが、陶芸指導をオサム先生が担当しています)
ある日、友人宅にふらりと現れ、やがて家にもあがってくるようになりました。その馴れ馴れしさは、ご近所でも有名だったそうです。友人宅には、犬もいて、猫もいて、ナルトくんとは相いれませんでした。
どこかの飼い猫かもと、しばらくは外でご飯をあげて、様子見をしたのち、やはり去勢手術をすることに。
去勢手術をしてリリースをする予定だったのが、大きな猫さんにやられたのか怪我していたうえに、血尿も出ていたため、月下陶房で保養することに。
そしてそのまま、「耳カットのある飼い猫」になったというわけなのです。
横腹に、アメリカンショートヘア種の特徴のひとつである「ぐるぐる巻き模様」がはっきりしていたので「ナルト」と名がつきました。
ナルトくんは、人間が大好き。陶芸教室の生徒さんで猫好きがやってくると、制作の机の上でごろんごろんと、そばを離れません。
フレンドリーでカワイイ猫と一緒に陶芸が楽しめるなんて、近くだったら通いたい!!
ところが、「可愛い顔をしてるんですけどね・・・・実は問題児で」と、アヤコさん。
「このオトコ、ときどき人を襲うんです」
聞けば、ナルトくんにふくらはぎやかかとを後ろから思いきり噛まれて、病院送りされた人が、アヤコさん以外にもひとり。
「ほら」と、今も残る噛み痕をアヤコさんは見せてくれました。
いったいどうして、こんなに陽気で人懐こく、愛らしいナルトくんが?
ナルト君が攻撃的になるときは、ある特定の時とわかったため、現在は、猫好きの生徒さんの時だけに工房に出し、狂暴化の前兆が見られたら、近づかないよう、充分に注意してもらっているのだとか。
野獣化する時の、パターンはこんなとき。
窓辺でまったりしているナルトくん。この時はまだ異状なし。
おや、窓の下を、近隣のノラが通っていったようです。顔つきが変わりました。気がたっています。そんなとき、うっかりナルトくんに後ろを見せると、ガブリとふくらはぎやかかとをやられてしまうのです。
公園時代に他の猫にいじめられていた恐怖心がよみがえってパニックになり、反射的に、目の前で動くものを攻撃してしまうのでしょうか。
ナルトくんは、レッド(クラシック)タビ―に近い種のようですから、「純粋種ほど、狩りが好きで攻撃的」というのにあてはまるのでしょうか。
いずれにしても、流血はご免ですから、「窓の下を猫が通った後のナルトには要注意!」という不文律が工房内で確立したのでした。
猫が飼い主に攻撃的になるのは遊びが足りていない場合や、発情期の名残という説もあります。
ご覧の通り、ナルトくんの遊びの相手は、オサム先生がたっぷりしてあげているので、なぜ噛みつくのかわからず手をこまねいているという現状です。
自宅で2匹の保護猫と暮らしているものの、アヤコさんは工房で猫を飼う気などまるでなかったと言います。ナルトくんがやってくる前に工房で飼っていた「トラ」という猫にほれ込んでいたから。
3年前の1月にトラが死んだとき、あまりにも悲しくて、「アメショーになって生まれ変わってきて」と願ったアヤコさん。
「でも、ペットショップで買うことだけは絶対にしたくなかったので、その願いが叶うなんて思っても見ませんでした」
そこへ、ナルトくんが現れたというわけ。
やんちゃで甘えん坊のナルトくんと、落ち着いた渋いトラくんとは、似ても似つかないけれど、「いずれナルトも、渋いトラのような猫になる」と、アヤコさんは信じているのです。
ナルトくん、噛み付き癖を直して、早くトラ先輩のような渋いオトコになって、みんなが安心できる看板猫になろうね。
でも、もしかしたら・・・・ナルトくんは「ボクはボクだい」って、噛みつきながら訴えているのかも、なんてふと思ってしまいました。
さて、お知らせです。
本日10日、19時からBSジャパン「ポチたま」で、現在『猫ねこ展2016』でにぎわう松山庭園美術館の子猫たちが紹介されます。道ばた猫日記「やぎひげのある女の子」で紹介した「ふくちゃん」が画面狭しと走り回りますよ。
続いて20時からのBS日テレ「わんニャン倶楽部」では、猫日記「夏草の上」「ダムのさっちゃん」「ダムの猫たち」など何度か紹介した、里山カフェの半身まひ猫さっちゃんことサチオくんが仲間たちと共にたっぷりと紹介されます。
ぜひご覧ください~
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ナルトくん、早く噛み付き癖が治るといいですね! 『ポチたま』仕事で、リアルタイムでは観れませんが、早速録画予約しました。
by あるとはは 2016-05-10 15:03
うわ!うちのすぐ近所です!
陶芸教室があるなんて知らなかった。
今度行ってみようと思います。
by ゆうらく 2016-05-10 15:52
陶芸にも興味あるし、ナルトくんにも会いたいし、電車で行ってみようかなー。ちなみに虹の橋を渡って行っちゃった私の親友は、かなり黒っぽいアメリカンショートヘアのミックスでした。
by るんたた 2016-05-10 16:46
この可愛い姿から、そんな狂暴な一面があるなんて想像がつかないです。人間だって色々な性格や癖があるし、猫さんにあってもなんの不思議もないですね。この子の個性と受け止めてずっと愛して欲しいです。もちろん治れば、尚更良いですけど。
by ふみちゃん 2016-05-10 17:41
>あるとははさん
ポチたまでの、福ちゃんのカリカリ横取りシーンは大笑いでした。
ところで、あるとくんの「にゃに?」ポーズ派はたまらんですね~
by 道ばた猫 2016-05-11 08:57
>ゆうらくさん
お近くですか! こぢんまりしたとっても楽しそうな雰囲気の教室でしたよ。
体験教室があるので、陶房のHPをのぞいてみてください~
by 道ばた猫 2016-05-11 09:00
>黒っぽいアメショーミックスちゃん、るんたたさんと親友になれてよかったですね~
陶房は、電車に乗っていく価値あり、と思います。ぜひ。
by 道ばた猫 2016-05-11 09:04
>ふみちゃんさん
茶色・黄色系の猫は、若い時はやんちゃで、おじさん猫になると穏やかになると聞きますが、「一粒で2度おいしい」猫の性格を愛でるのも、また楽しからずやかも。
by 道ばた猫 2016-05-11 09:07
返信を頂き、ありがとうございます。ナルトくんは、亡き(そら)によく似ていて驚きました。そらは自分からベタベタと甘えることの少ない子でした。その代わりこちらから撫でたり、頬擦りしたりはけして嫌がらないで受け入れてくれました。但しキスだけはNGで、よく噛まれました。いまだに立ち直れない中で気づいたことは、彼が甘えていたのではなく、私が甘えていたのかな~と。人間が猫を飼うのではなく猫がそばにいてくれる。と言う映画の台詞を今、噛みしめています。
by ふみちゃん 2016-05-11 20:04
返信ありがとうございます! あるともほめていただき嬉しいです‼ ちなみにあるとはおんにゃのこなんですよ~
by あるとはは 2016-05-11 21:17
>ふみちゃんさん
はい、私もうちにいる猫たちにしっかり甘えてます。だって、猫のほうが確実に精神年齢高いんですもの(笑)。そら君も美形だったんですね~
by 道ばた猫 2016-05-11 23:43
>あるとははさん
失礼しました。あるとちゃんは女の子だったんですね。凛々しいお顔なので、オトコのこと思い込んでいました~ ちちとははに愛されて、しあわせなあるとちゃん!
by 道ばた猫 2016-05-11 23:46
なるとくんの気持ちは、岩津さんに聞いてみよう!じゃないけど、ほんと、理解できたら嬉しいですわね。
by ふー子 2016-05-13 16:42
なると君可愛いね。
うちにも噛みぐせのある子がいます。
しっぽと腰ふってがぶりと噛みます。
だいぶん避けるのがうまくなった私です。
先生は薬を使いましょうと言われましたが噛まれ血がにじんでまだ何か方法があるかもと思っている毎日です。
コロンボは注意の必要がある子です。
なると君いつかきっとトラ兄ちゃんを越えるような看板猫になれるとキミを見てそう思ったよ。
信じてるよ、頑張れ。でもぼくはぼくだいと思っているような気もします。
愛され愛する子になってね、応援してます。
by 紫音 2016-05-15 05:08
>ふー子さん
ほんと、ふくらはぎをかじる気持ち、鳴ると君に訊いてみたいですね~。案外「おいしそうだったから」なんて(笑)。
by 道ばた猫 2016-05-15 14:16
>紫音さん
コロンボくんは、一度噛んで噛み応えがあったから、味をしめちゃったのかな?
年齢と共に落ち着いてくるといいですね。海辺から来たコロンボくんを可愛がってくださってありがとうございます。
by 道ばた猫 2016-05-15 14:25