犬部だった太期(だいご)家の元に突如あらわれた子猫のマロン。仕方がなく保護したつもりがどんどん猫の魅力にはまり気がつけば我ら猫部の一員に!
保護当時、乳飲み子だったマロンは大学生の長女さんに連れられて、キャンパスライフを楽しんだ結果、立派なインテリ猫に(?)。そして今回は2匹目の猫又さんを掘り下げます。
チビ15歳
太期家2番目の猫、きじとらのチビは15歳の男の子。じつは今回、うれしいことに飼い猫2匹が取材対象年齢だったのです。マロンを保護した半年後にご夫婦が営む
店先に突然あらわれた猫、それがチビでした。店の周りには野良猫(まだ地域猫という言葉はない)が存在していました。マロンと暮らし始めてから野良猫を見る目は
変わりましたが、もう1匹受け入れるほどの覚悟はありませんでした。しかしひっ迫した状況ならば話は別です。季節は春なのに雨のせいでその日は冷え込み、
店の陳列棚の下で目やにが固まり目が開かない、ずぶぬれで震える子猫を見てしまっては放っておけるはずがありません。すぐに保護して動物病院へ。その後自宅に連
れて帰り、家族会議で導きだした答えは「里親を探そう!」だったのですが、一向に飼い主が見つからず...... その間家の玄関で隔離していた子猫はどんどん成長し、ついに
封鎖を突破し2階リビングルームへとやってきたのです。そしてまっさきに飛び込んだのはご主人の膝の上。安定感のある大きなあぐらは温かくて、心地良くて、
すぐにゴロゴロ、ウトウトと。その様子をみた家族の誰もがこう思ったそうです。「これで(うちの子に)決まりだね」。一家の大黒柱を狙う辺り、
わりとチビは計算高いのかも?
3Fランドリールームにて。
日当りがよくて気持ちがいいんだぁ。
チビのお世話は次女が担当することになりました。次女の部屋で大半を過ごすという家庭内別居のスタイルが確立されたため、多頭飼いでおきる相性問題など
心配することもなかったようです。一人一匹制度、家庭内別居スタイルというのが独特で、愛情を独り占めでき、ケンカもストレスも少ないという点がきっと
ご長寿とリンクしているんだろうなぁと思います。
ちょっとは慣れてきたかな?
なんだ暑かっただけのようです。。
健康とごはん
2匹の食事はドライフードがメイン。お気に入りは「フリスキードライ 室内ネコ用」(ピュリナ)で、他にも2〜3種類のフードをストックしています。
同じ味で飽きて食べないというのはどのご家庭の猫にも共通するところ。やはり食べなくなって体重が減るのだけは避けたいところですからね。
いまでも与え過ぎないように乳製品好きのマロンにはバターやチーズを、魚が好きなチビにはマグロのお刺身を、また犬に与えたちくわのおこぼれをいまでもがっつく2匹です。
昔からスリム体型のマロンは現在2.5kg、対してぽちゃ猫体型で一時は6kgもあったというチビは現在3kg。年を重ねて懸念することは、耳が遠くなったことぐらい。
でも猫を呼んでも来ないというのは元々のことなのでは?と家族で笑って過ごせるぐらい穏やかな日常がそこにありました。
ジャンプ力は落ちたのですが、ご覧の通り階段はまだまだへっちゃら。
話せばわかるのです
次女が嫁ぎ実家を離れたときにこんなエピソードがありました。結婚もなにも聞かされていなかったチビは当然、毎日次女の帰りを待つのです。
一緒に寝ていたベッドで一匹、ぬくもりが欲しくて......。しかし待てど暮らせど育ての親は帰って来ない。
辛抱強い性格のチビにもやがて限界が...... 「わいは捨てられたんや」と悟ったように待つことをやめてしまいました。
そして、次女が里帰りした際、事件は起きるのです。チビは完全に次女に対して無視を決めこむのです。
その反応にはさすがにこたえたようで、次女はとうとう泣きだしてしまいました。
完全にすねていたチビ、双方が和解するまでには相当の時間が掛かったようです。そんなこともあり、次に長女が嫁ぐ際にはしっかりとマロンに事情を説明し事なきを得たみたいです。みにゃさま、実家を離れる際にはこのことを踏まえてお気をつけを!
気になる二人の仲は、程よい距離感なのだとか。
ソワソワ(早く帰ってくれないかなー)
じー。猫たちに嫌われる前に撤収だ!
取材される立場になってはじめて猫たちが長寿だと気づいた量子さん。工夫もなく手もかけない、与えられた環境に猫がうまく順応しただけのことと謙遜しますが、その言葉の裏に、量子さんが猫のことを一番見ていて、理解しているという自信みたいなものが感じられました。今は量子さんのベッドで一緒に寝るという猫たち。マロンとチビが同居することはありませんが、交互にやってくることからローテーションみたいなものが猫間にあるようです。
娘さんたちが嫁いだ後も肌のぬくもりと心の拠り所があるから安心ですね。
きょうもあったかいにゃー。
「
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
さみしくて、の完全無視ですね…
今はなかよしに戻られたのでしょうか
話せばわかるって信じているひとりです。
我が家にチャビを迎えるにあたって問題が。
新築だっこともあり主人が躊躇したのです。
でも私が「話せばわかる!」と信じてやってほしくないこと、それらをしたらうちのコにはなれないことを話して聞かせました。
そして見事にそれらを守ってくれて壁も柱も家具もいっさい爪研ぎあとはなし!トイレの粗相もなく同居してから今も変わりません。人も猫も同じ、話せばわかるんですよね!
by ちゃー 2016-05-25 14:37
今、多頭飼い希望の私と息子、反対の主人とで意見が分かれています。太期家のような家庭内別居スタイルという形を提案してみようと思います。これならみんな(生後10か月のネコちゃんも)が納得して過ごせそうです。
by ちゃっぴー 2016-05-27 11:08
育ててくれたお母さんの温もりが待てど暮らせど感じられず…諦めた時のチビさんの気持ちを思えば、ちょっとくらい無視されるのは仕方ないですね^ ^でも、多分、両方共に、泣きたかったんだと思います。
幸せな猫さん達ですね^ ^
by 毛玉 2016-05-27 11:42
ちゃーさん
安心してください。いまは和解したみたいですよ。
「話せばわかる!」って部分、すごい共感します。
この連載でいろんなおうちに行かせていただいて飼い主さんからそういった話をお聞きします。
by ケニア・ドイ 2016-06-16 10:46
ちゃっぴーさん
最初に部屋を分けるのは猫にとっていいことだと思います。
あとは猫同士、自然の流れに任せて。
うちもそうでしたが、猫はそれなりにテリトリーを持って守ってるみたい。
by ケニア・ドイ 2016-06-16 10:52
毛玉さん
悲しくも温かい物語がそこにはありました。
こうして猫に待たれてると思うとますますインドア生活になりますね。。
by ケニア・ドイ 2016-06-16 11:01