[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

みにゃさま、こんにちは。
今日は最近読んでとても印象的だった一冊をご紹介したいと思います。

獣医師・川畑しのぶさんが書かれた小冊子『ハナより』　川畑さんが１６年間を共にした柴犬のハナカちゃん（２年前に旅立ちました）の一生をもとにした一冊です。



獣医師さんとして、動物を愛する一人の人間として、動物と接し暮らすにあたってのメッセージ、ハナカちゃんとの暮らしで学ばれたことをこの一冊にまとめておられます。

６歳の男の子のおうちに２ヶ月の子犬ハナちゃんがやってくることから物語は始まり、しつけ・お散歩・ワクチン・避妊手術・病気・介護・死とその一生が男の子の成長と共に描かれています。

興奮してつい男の子を咬んでしまったハナちゃん。「傷つけるつもりはなかったの。ちょっとずつ覚えていくから待ってて。」　私たちが幼いころ、大人に待ってもらったように、動物は私たちに「待つ」ということを教えてくれます。

「知らない人から急にさわられた怖いでしょう？ワンちゃんも同じよ。」と男の子のママ。動物に触れる時に「さわっても良いですか」と聞いていますか？ 写真を撮る時も同じですね。人間と同じ、「一言」が大切です。
ハナちゃんは動物への配慮、尊重を教えてくれています。

ハナちゃんはお散歩先の公園で、保護施設から引き取られたサチという女の子の犬と出会い、仲よしになります。「私たちはヒトを信じるしかないのよね」とサチは言います。

生まれた時からみんなに愛され幸せな日々を送るハナちゃんと、ある日突然捨てられたという悲しい過去を持つサチ。人を疑うという概念のないハナちゃん、人を信じるということに努力が必要なサチ。対照的な２匹はペットとして生まれてきた動物たちの現実を表しています。

「私たちはヒトが好きなんだけど愛してもらえないこともあるわ。」とサチは言います。疑うことを知らないというのは今の世の中では尊いことなのかもしれません。

サチが新しい飼い主さんの愛によって再び人を信じ愛し始める様子には胸を打たれます。

月日は流れ、高齢になり歩けなくなるハナちゃん。
「思うように動けなくなる日が来るなんて思ってもみなかった。」
ハナちゃんと同じことを口にする子は大勢います。寝たきりで人の役に立てず、自分のこともできず情けないと嘆き悲しむ子たち。
誰かの役に立ってこそ生きがいを感じる。私たち人間と何ら変わりはありませんね。

そして旅立ちです。
「ありがとうは私の一番好きな言葉よ。」とハナちゃんは言います。

生きている子も天国に旅立った子もみんな、こう言います。
「ごめんね」を「ありがとう」に変えるだけで動物たちは喜び、救われている姿を私は数えきれないほど見てきました。

「一緒にいた時は幸せだったのになんで悲しむの？　私たちの楽しかったあの時を思い出して。」とみんな口をそろえて言います。そして天国からは「ありがとう」しか聞こえてきません。

今動物と暮らしている方、見送った方、今から迎えようと思っている方。どんな方へも動物と人間の双方が学び合い、助け合い、心を豊かにし合って生きていることが学べる一冊ではないかと思います。小学生くらいのお子様から読める内容です^^

ご購入できる場所・方法などについては川畑先生のフェイスブックをご覧ください。
https://www.facebook.com/ShinokoTheAnimalDoctor/

川畑先生のブログより、この本に込めたメッセージを抜粋させていただきました。

ペットの飼い主さん、これからペットと暮らしたいと考えている方、ペットのことを知らない方など、全ての方へのバイブルとして活用するつもりで書きました。ワンコのお話ですが、ニャンコや鳥さんの飼い主さんにも読んで頂きたい1冊です。
動物と暮らすことに必要な気持ちや意識も含めて書いています。

本のモデルとなった、先生のご家族、柴犬のハナカちゃん。素敵な笑顔ですね。