ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2016年06月22日

ナルシストな猫

飼い主さんが強要したわけでもないのに、自主的にギャラリーにあらわれ、接客をするようになった白猫クー。その堂々とした立ち振る舞いから、ギャラリーを訪れる作家さんやお客さんから「王子」と呼ばれ、メディアの取材も後をたちません。大阪・北浜の「10W gallery」(テンワットギャラリー)の看板猫、推定15歳のクーに猫又トリップ!

kd20160623-1.JPG


イメージとちゃう!


住居兼ギャラリーに引っ越し、ふと「この空間には猫がいいな。合うな。猫欲しいな」という謎の衝動にかられた酒井章子(さかい・あきこ)さん。そんな中、タイミングよくお友だちが親子猫(4匹)を保護したと聞けば出向かずにはいられません。そこには母猫と子猫が3匹。どれにしようか迷う間もなく酒井さんの胸の中に飛び込んできたのがクーで、「ほな、お前にしよか」と即決で連れて帰ったのでした。

kd20160623-2.JPG

すぐに「猫と暮らす」という願望は叶ったのですが、そこは猫のこと、イメージ通りにはうまくいきません。大人しいクーを家に連れて帰ると一変、見たことのない空間、匂いに驚き、部屋のどこかへぴゅーっと隠れてしまいました。そして同じ住居に暮らしつつも、決して顔を合わせることがない奇妙な共同生活がはじまるのです。

猫上級者の友人から授かった猫を飼う心得は2つ。「トイレとフードを用意」「ほったらかしにしたらいい」。これを忠実に守ること一週間、根負けしたクーが姿をあらわすようになりました。

追わずに根気よく待つと信頼関係がうまれ、甘えん坊の部分が顔を出します。今では酒井さんの膝の上を定位置にして、テレビを見る時も寝る時も、いつも一緒の甘えん坊のクーなのです。

kd20160623-3.JPG
お気に入りのチェア〜♪

kd20160623-4.JPG
どこにいても絵になります。この空間は猫が合う!



美意識高い系


友人の勧めもあって、クーの食事は子猫時代から「サイエンスダイエット」のドライフードがメイン。これに香り付け、食欲増進のために市販のドライフードをトッピングします。ウエットフードはほとんど食べたことがなく、大半の猫が好きであろう赤身の魚もまったく興味がありません。けっして食に興味がないわけではなく、「もずく」だったり「焼きのり」を好むシブさも持っているそうです。海藻類が好きなんかなぁ。

kd20160623-5.JPG

昔からのスレンダー体型をこの歳まで維持しているのは、看板猫としての務めなのでしょう。いまでもギャラリーオープン前にドアの前で鎮座し、「やぁ、僕のためによく来てくれたね」という感じでお客さんを先導しご案内するのだとか。(すべての人がクー目当てではないのですが......)また、作家さんに届いたお祝いのお花も、「これはおれに送られた花だ」と認識しているようで、なんとも微笑ましいです。

そう、クーは超がつくほどナルシスト猫。だから写真を撮られることも大好きで、しかも携帯カメラよりも大きい一眼レフカメラで撮られる方が好きなようです。ちなみに今日の撮影も一眼レフなので、お気に召されたよう。ほっ。

今日も大好きなブラシでおめかししてもらい、歩く姿を鏡越しにチェック!常に見られることを意識したモデル猫、だから老いることを知らないのかな!?

kd20160623-6.JPG
お手入れは入念に。

kd20160623-7.JPG
爪もといでと。

kd20160623-8.JPG
ギャラリーオープン5分前、スタンバイOK?

kd20160623-9.JPG
あれ?待ちくたびれた?

kd20160623-10.JPG
しかし、この猫......撮影スポットを心得ておる。今日の撮影はラクだにゃー。



おれがこの家で一番!


酒井さんにとってクーは人生で初めての猫。猫扱いせず、子ども扱いせず、人権ならぬ「猫権」を尊重して自由に育ててきました。結果、超わがまま猫の出来上がり!そのため、クーの2年あとに「チチ」(13歳・女の子)という三毛猫を迎え入れた時は骨が折れました。

「おれが一番!」のクーだからチチに注目が集まることは許せません。看板猫としてやる気になったチチがギャラリーにいると、「お前はここに来るな!下へ行っとけ!」と追いやってしまいました。それでも1年後にはチチを妹分と認めたようで、寄り添って寝るまでになったそうです。

kd20160623-11.JPG
ここはおれの聖域にゃ。

しかし、その時のトラウマなのでしょうか?今でもチチはギャラリーにあまり顔を出すことがなく、知る人ぞ知る猫に。この日の取材でも終始こたつの住人で、その姿を見ることはできませんでした。ちなみにクーは冬でもこたつに入ることがありません。なぜかって?自分の姿をみんなに見せるためさ!どこまでもナルシストなクーなのです。

住居には隠れ場所がたくさんあって、ギャラリーには遊び場があって、人がたくさんやってくる。クーにとってはいい気分、最高の家なんでしょうね。

kd20160623-12.JPG
猫とは愛しきもの。酒井章子

猫の展示も多めです
10W gallery/テンワットギャラリー
http://winfo.exblog.jp



jamaneko-w280.jpg
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!

写真

猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

X

Instagram

カテゴリ: 猫又トリップ
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

クー様最高! ケニアさんの文章があったかくてオモシロくて大好きです。

by こじぴ。 2016-06-23 17:34

こじぴさん
ありがとうございまーす。お近くならクーちゃんに会いに行ってくださいねー。

by ケニア・ドイ 2016-06-26 10:17