埼玉県加須(かぞ)市は、鯉のぼりとうどんで知られる町。
市内にある「ほくさい美術館」で16日から開かれている「猫たちの遊々展」に作品搬入のため、加須への小さな旅をしました。
美術館の方によると「加須では、町でも店でも猫を見たことはありません」というお話でしたが・・・。
猫のいない町なんてあろうはずがない(笑)と、少し散策してみました。
じゃ~ん! ほら。
ちゃんといました、「オステリア・バル・ミーチョ」というおうちイタリアンに。。ミーチョとは、イタリア語で猫の意味。猫という名のイタリア厨房といったらいいでしょうか。
道の向かいは青々とした田んぼが広がり、青空にはためく旗には黒猫が描かれているのが気に入って、ふらりと入った一軒家レストランでした。
「いらしゃいませ」
ゆったりとした穏やかな接客が身についている看板猫さんです。
みーたん、5歳のオトコ盛り。
洋猫が入っているような大きさですが、5年前の真夏、まだ生まれて1か月くらいの時に公園に捨てられていた子猫だったとか。
散歩で通りかかった女性の足音に、草むらから転がり出て、足元にまとわりつくようについてきたそうです。捨てられたばかりで、さぞ寂しかったのでしょう。
でも、そのかたは、触れないほど猫が苦手でした。「うちでは飼えないからついてこないでね」と言い聞かせて、帰宅。
「捨て猫がいた」という話を、たまたま実家に遊びに来ていて、公園から帰ってきたお母さんから聞かされたのが、ミーチョの(まだ開店していませんでしたが)奥さんと、小さかった娘のくるみちゃん。猫好きなふたりがすぐに公園に行ってみると、またもや子猫は草むらから転がり出てきて、まつわりつきます。
くるみちゃんは、子猫が可愛くてもう手離せません。
家に連れ帰ってもらった子猫は、やはり猫好きのパパとお兄ちゃんからも大歓迎を受け、みーたんという名をつけてもらいました。
しかし、問題がひとつ。パパとママには、おうちイタリアンを開くという夢があったので、「飲食業で猫がいたらちょっと困るかなあ」と考えました。そこで、身内の家の子にしてもらうことに。ところが先住のきょうだい猫がタッグを組んで、新入りを断固拒絶。みーたんは数日で出戻ってきました。
そして、おととし12月にミーチョが開店してからは、ごくごく自然に看板猫に。「猫がいたら困るかな」は杞憂でした。それどころか、いまやみーたんファンをぐんぐん拡張しつつある招き猫なのです。
店内に流れる音楽に合わせて尻尾をゆらしていたり、フロアでうとうとしていたり。そんなみーたんを眺めながらいただく手料理のおいしさ!
なじみ客でにぎわうランチタイムが過ぎ、パパやママにかまってもらうみーたん。じつは甘えんぼさんなのです。
抱っこはあまり好きではないそうですが、くるみちゃんのこの抱っこだけは大好き。
そうそう、猫が触れなかったくるみちゃんのおばあちゃん。ここに来ると「みーたんはどこ?」といって、撫でてやるのですって。みーたん、拾ってもらうきっかけを作ってくれた恩人に魔法をかけましたね~
帰りがけに奥さんが教えてくれました。なんと、「この並びの『あいりがっと』という理容室には13匹猫がいますよ」ですって!
図々しく立ち寄らせてもらいました。
たまたまその日は、ほとんどの猫が自宅居間で昼寝中。お客さん大好きのさくらちゃんだけが張り切って看板猫をしていました。
いろいろなポーズで、かまってかまってのさくらちゃんです。
よく見ると、さくらちゃん、ずいぶんとアートな模様の猫さんでした。
店内にわらわらと猫がいる日もあるそうで、加須再訪したとき、また寄らせていただくことにしましょう。
加須の猫、来週に続きます。
◆オステリア・バル・ミーチョ・・・埼玉県加須市大室286-12
11:30~15:00(ランチ)
17:30~21:00(ディナー)
月曜休み
◆ほくさい美術館・・・・・埼玉県加須市北小浜146-1
「猫たちの遊々展」開催中。
月曜・火曜休館
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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うーん、みーたんオトコマエですねぇ! そしておっきいですね! とっても頼もしい看板猫さん。こんなお店で食べるランチは美味しいだろうな。大きな鈴がとってもお似合いです^^
看板猫わらわら(笑)の理容店も気になります。リポート楽しみにしています!
by さりゅ 2016-07-19 14:35
こんな可愛い子猫にまとわりつかれたら、連れて帰らずにいられないですね✨猫は本当に不思議で、魅力的な動物ですね。人間と違って、いやらしい下心もないし、よく猫は三日で恩を忘れるなんて言われるけど、それは大きな間違いだと思います。猫は恩を忘れたりしません。忘れるのは人間だと思います。みーたんも恩を忘れたりしていないから、こんなイケメンのいい子になったんだと思います。
by ふみちゃん 2016-07-19 15:08
>さりゅさん
ほんと、大きな鈴が似合うみーたんでした。まるで「優良看板猫」の誇りのような。
拾われた時の写真の首の細さがいじらしかったです。
by 道ばた猫 2016-07-20 06:48
>ふみちゃんさん
猫は自分の一生を預ける相手を直感で見つけるんですよね~。不思議ですごいチカラ! ふみちゃんさんのお嬢さんを見つけた(笑)そら君似の子猫さんは、何という名前になりましたか?
by 道ばた猫 2016-07-20 06:53
返信ありがとうございます。娘が引き取った子は(ちゃちゃ子)に決まりました✨茶色の毛色と自分の名前の(子)を合わせたそうです。この子はお兄ちゃんみたいに活発で少しだけビビりでそらと比べたり、生まれ変わりと思ってはいけないと分かっていてもあまりによく似てるのでつい思ってしまいます。病院の先生や私や娘からプレゼントの嵐で、プリンセスのように過ごしています。
by ふみちゃん 2016-07-20 08:43
>ふみちゃんさん
そうでした。この前のコメントで教えてもらっていましたね~
プリンセスちゃちゃ子、これは取材にいかなくちゃあ。
タイトルは決めました。「運命の子」です(笑)。
by 道ばた猫 2016-07-21 01:01
ネコがいる、いないレストランだったら、絶対にいるレストランに行きます! なんてかわいい、愛嬌のあるネコでしょうか!
by りさ 2016-07-21 03:59
みーたん素敵です!公園の猫といえばこの前、柳美里さんの「ねこのおうち」という小説を泣きながら読みました。みーたんは幸せを掴んで良かったなあ。レストランに行きたいです。
by ねこま 2016-07-21 10:38
>りささん
猫がいたら、そっちを選びますよね~ 私は、看板の猫のイラストや写真、猫関係の名前にも反応しちゃいます(笑)。
by 道ばた猫 2016-07-21 10:38
>ねこまさん
ねこ経済新聞で「ねこのおうち」を紹介なさっていて読んでみたいとおもってました。
今日本屋で探してみます~
by 道ばた猫 2016-07-22 04:10