ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年08月09日

子猫がやってきた!その②「小さな大物レオくん」

ミルクボランティア由梨さんのもとから巣立っていった子猫たちシリーズ、2週目は、茶トラのレオくんのお話です。

michibata20160809-1.JPG

レオくんは、茨城県で保護されたノラの子。きょうだいたちと一緒に由梨さんのところへやってきました。

michibata20160809-2.JPG

この春は、由梨さんのもとにはピーク時にはわんさか保護子猫が集まっていて、それはそれはにぎやかに育ちました。
ノラの子として産まれても、こうして家の中で先輩猫や保護猫仲間で遊んで育つことで、人とも猫とも友好的な子に育ち、里親さんに渡しやすくなるのです。

さて、レオくんを見初めて迎え入れた木下家には、13歳の先住猫三四郎くんがいました。三四郎くんはずっと1匹飼いでした。2匹の間がうまくいかなかったら?ということは考えていなかったそうです。なんとかうまくいく!と。三四朗くんは穏やかな猫でしたから。でも、とにもかくにも、三四朗くんの気持ちを優先して、子猫がやってきたことが彼のストレスにならないよう、ケアフルに見守りたいと考えました。

それでは、先住猫三四郎くんに新入りレオくんのことを紹介してもらいましょう。

michibata20160809-3.JPG

ボク、三四郎。動物病院の里親募集で、子猫の時、この家にやってきた。林檎と大地(木下家の姉弟)が生まれる前から、ボクはこの家で過ごしてきたんだ。
夏になる前から、ママたちが「三ちゃん、もうすぐお兄ちゃんになるからね~よろしくね~」ってボクに言ってた。「ふうん」と聞き流してたけど、6月のある日、突然、そいつがわが家にやってきた。
13年間、ニンゲンしか付き合ったことのないボクは、「猫」というのをケージ越しに見て、フリーズしてしまったよ。そして一目散に3階に逃げた。
林檎のベッドの上から窓の外を眺めながら、ボクはたそがれて、今見た光景が夢であってほしいと願った。この家で、ボクは13年間、一身に愛されて平和な日々を送ってきたんだ。

そのあと、恐る恐るのぞきに行ったら、そいつはまだいた。しかも「レオ」ってカッコいい名を付けてもらって、青い首輪をつけ、ずっと前からうちにいるみたいにくつろいでいた。夏の稲妻のように電撃的にわが家にやってきたそいつは、2度曲がっているイナズマシッポをもっていた。

ボクは何日か3階にひきこもった。
そして、2階にそーっとのぞきにいくたびに・・・。
レオはボクのご飯を勝手に食べている。(仔猫用を食べた後で!)
レオはボクのトイレを勝手に使っている。(自分のを用意してもらったにもかかわらず)
レオはボクのベッドで勝手に寝ている。(自分のベッドを用意してもらったにもかかわらず) いちばん許せないのは、ボクの特等席であるパパの膝の上でくつろいでいることだった。あいつに「長幼の序」ってのを教えてやらなきゃ!ボクは引きこもるのをやめた。

匂いを嗅ぎに近寄ったら、レオは「シャア~」って、僕を威嚇した。あんなチビのくせに。
「がんばれ、三四郎」って、ママたちが応援してくれた。
それで、お返しに、レオが匂いを嗅ぎにきたとき、「シャアアアア」って今度は僕が思いきり威嚇してやったさ。そうしたら、レオのやつ、アウ~とか鳴いて、ごろんとお腹を見せて「仲よくしてください。よろしくお願いします」って降参したんだ。
「こいつ、案外カワイイかも」って思っちゃったよ。

michibata20160809-4.JPG

気を許したら、さあ大変。ボクのしっぽを勝手におもちゃにして遊び始めた。
あんまりしつこいと「ボクの尻尾はお子様のおもちゃじゃない!」」って怒ってやるんだけど、レオはまるでめげない。
「遊んで~遊んで~」ってまとわりつく。しかたないなあ、ちょっとだけだぞ。ママも「遊んでやったら」っていうし。

かくして、2カ月。レオはすっかりわが家の一員だ。
相変わらず態度がでかいやつだけど、ボクのことがいちばん好きみたいで、遊んで遊んでってボクに甘えるし、ママもパパも林檎も大地もボクをたてようたてようとしてくれるから、「お兄ちゃんになってやるか」って気分になってきた。
なんでも、ママは新入りを迎えるにあたって、「先住猫を何よりカワイイカワイイって言ってやってね」って多頭飼いの先輩たちからアドバイスをもらったらしい。

夏休みのレオは、林檎と大地が家にいるから大はりきり。

michibata20160809-5.JPG

林檎が夏休みの宿題をするのを、背中に乗って監督したり、

michibata20160809-6.JPG

大地が算数の宿題をするのを直接指導しようとしたり、

michibata20160809-7.JPG

どうぶつ将棋の相手までしてやってる。
ボクはニンゲンでいったらもう初老期だから、夏はのんびり寝てるに限る。
だけど、パッと目が覚めるのは、ちゅ~るのおやつタイムさ。

michibata20160809-8.JPG

見てよ。ボクはお上品に舐めているのに、レオときたら、林檎の手に爪を立てていぎたなく舐めている。ほんとに食い意地のはったやつなんだ。
飼い猫としての年季が、僕とは全然違うんだなあ。
猫の品格ってのをじっくり教えてやらなくちゃ。

michibata20160809-9.JPG

michibata20160809-10.JPG

パパは、レオのためにキャットステップとキャットウォークを手作りしてやった。ボクも挑戦してみたけど、あんな狭い板はとてもじゃないけど歩けない。ちょっぴり悔しいけど、唯一レオに敵わないことさ。
でも、レオが来たおかげで、毎日に刺激が増えた。退屈はしない。パパもママも林檎も大地も僕たちの周りで一日中笑ってる。これまでと同じに、いや、これまで以上にボクのこともかわいがってくれる。
林檎は学校に提出する作文に、ボクの気持ちになりかわってレオがやってきた顛末を書いていた。『意外とかわいいところもあるんだな。これからちょっとは仲良くしてやってもいいかな・・・』って、なんで林檎にボクの気持ちがまるわかりなんだろう? 家族だからかな。
レオとも気持ちがわかり合える家族になれるかな。

michibata20160809-11.JPG

ちょっと心配なのは、あの食い意地を見ていると、じきにレオはボクよりでっかくなりそうな予感がすることさ・・・・。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

レオくんをみた瞬間に、叫びそうになりました似てるんです。そらに、彼も茨木で保護されて同じような大きさで我が家にやって来ました。茶とらはフレンドリーで優しい子が多いから、レオくんもきっといい子なんですね✨そしてお兄ちゃんもいい味だしてますね。年齢差はあるけどいい兄弟ですね✨

by ふみちゃん 2016-08-09 19:01

>ふみちゃんさん

そら君も茨城生まれでしたか! どこかで血がつながってたりして・・・。
たしかに茶トラはフレンドリーでやさしい子が多いですね~ 子猫が来ると、老猫は若返りますよね(笑)。

by 道ばた猫 2016-08-10 00:15

レオくん、素敵なおうちに引き取られて、本当によかったね! お兄ちゃんと仲良く大きくなってね!!

by あるとはは 2016-08-10 13:48

>あるとははさん

三四朗くんは毎夏、家族と岩手に帰省滞在するそうで、今年はレオくんも参加。
楽しい夏休みになりそうですね~

by 道ばた猫 2016-08-11 00:18

レオくん、うちのレオくんと似ています。
出身も同じ県だし、なにか縁のようなものを感じますね。
由梨さんちのレオくんも、うちのレオくんも、それぞれの家に保護されて幸せに感じているといいなあ。

by HM 2016-08-12 12:34

>HMさん

茨城生まれの2匹のレオくん、どちらも愛されていてうれしいです。
うちにも、以前トムという名の(ポターの童話のトムに似ていたので)チャトラがいましたが、とっても気のいい猫でした~

by 道ばた猫 2016-08-13 12:36